
シリーズ いま転職するならどうするか?
今回のシリーズでは、もしも管理人が今からある状況、条件で転職をするなら、どのような戦略を立てて、どのような就職先を選ぶか?についてケース別に検討してきます。先生方の状況や条件に、ピッタリは当てはまらないかもしれませんが、近い状況のものであれば、一つの参考にはしていただけるかと思います。転職戦略の一例として参考にして頂ければ幸いです。
今回は「子育て時間確保その1 午前勤務を中心の場合」というテーマで検討していきます。
状況、条件の設定
- 子育て世代の医師
- 終日勤務は難しいので午前中の勤務のみを希望
- お子さん、ご家族との時間を最優先したい
- 週5日勤務希望
- 共働きで収入はダブルインカムを想定
戦略
外来、健診を非常勤で組み合わせる
午前中だけの勤務というのは、常勤だとやや難易度が高いですが、非常勤では結構募集があります。午前中のみの外来勤務を非常勤でいくつ掛け持つことで、午前のみ働くという形態は現実的に可能です。また健診も午前の募集もわりとあるので、こちらも組み合わせて、週5日の午前中は勤務を入れるようにします。
午前の外来の単価としては、だいたい4万円前後です。13時までなど、少し勤務時間が長い求人では午前だけでも5万円ほどの求人もあります。今回は午前中のみの勤務を想定するので、4万円以上の日給の求人を選ぶようにします。
半日の日給が4万円で週5日、月の勤務日数が平均21日と仮定すると、月収84万円、年収1008万円でギリギリ1000万円を超えるラインを確保できます。
今回のモデルケース
月曜日 外来勤務(A病院)9:00-12:00
火曜日 健診業務(B健診センター)8:30-12:30
水曜日 外来勤務(Cクリニック)9:00-12:30
木曜日 外来勤務(Cクリニック)9:00-12:30
金曜日 外来勤務(A病院)9:00-12:00
土曜日 お休み
日曜日 お休み
上記であれば、平日は午後から時間を確保でき、土日もフリーなので泊りがけの旅行に行くことも可能です。
午前中のみの不利な点
勤務時間を午前中に限定すると、比較的単価の高い、訪問診療や自由診療のお仕事には手が出しづらいというデメリットがあります。これらは基本的には終日勤務が基本であり、また帰宅時間も遅くなりがちです。訪問診療は半日勤務もたしかにありますが、半日では外来の給与とあまり変わらないため、敢えて選ぶメリットは薄いです。
またどうしても勤務時間が短くなるため、一定以上の年収を狙うことが困難です。現実的には1000万円ほどが、現実的なラインとなると思います。
終日勤務出来る日があれば
毎日ではなくても、週1回でも終日勤務できる日があれば、上記のような、訪問診療、自由診療のお仕事を組み込むことが可能です。その場合は、年収を午前中のみの設定よりも、上を狙うことが可能になります。
いつまでつづけるか
この戦略は、基本的にはお子さんが小さい時を想定しており、ある程度の年齢になって手がかからなくなれば、常勤への復帰や、一日勤務を増やして給与アップを狙うことも可能です。もちろんこのスタイルをやってみて気に入った先生は、こちらの戦略を継続することも可能です。
ダブルインカムが基本
こちらの手法は、基本的にはダブルインカムを想定しています。先生一人の収入だけだと、収入的に医師の子育て世帯としてはやや厳しいかもしれません。どちらかがフルタイム、ないしそれに近い形で勤務をして頂き、もう一人がこちらの手法をとることで、世帯収入を確保できます。医師同士のご夫婦であれば、2人でこちらの手法を取ることも良いと思います。
当直、オンコールがないので子育てに集中できる。
非常勤勤務であれば、基本的にオンコールも当直もありません。そのため日をまたいで帰れない日や、呼び出しで緊急で出勤するリスクもなく、子育てに集中できます。また休日は気兼ねなく出かけることができます。これは非常勤の大きなメリットです。
午前勤務であれば、子育てに十分関われる
午前のみの勤務で、午後がフリーであれば、大切なお子さんとの時間を楽しむことができます。たとえ収入は減っても、この時間は何ものにも代えがたいものであると思います。
余談ですが、医師のように激務の仕事についていると、お子さんの小さい時期に十分に一緒の時間を過ごすことができず、晩年に後悔する先生も少なくないようです。たしかに、収入面やキャリア形成にはやや不利になることは否めませんが、今回のように子育てをきっかけに、仕事をダウンシフトすることも長い目でみれば選択肢の一つであると思います。現在は医師の働き方も多様化しており、先生は望めばこのような形態で働くことも十分可能です。フルタイム、常勤でないからと行って、全ての仕事を諦める必要はありません。非常勤でも勤務していれば、後々の現場復帰もスムーズです。お子さんが手がかからない年齢になれば、再度フルタイムで働くことは十分可能です。ぜひ一つの選択肢として、参考にしていただければ幸いです。