訪問診療への転職

訪問診療は保険診療の中でも給与が良い仕事の一つです。未経験の先生には、少し敷居が高く感じるかもしれませんが、実は未経験で転職を契機に転科する先生も少なくありません。今回は多くの先生に門戸が開かれている、訪問診療の転職について解説していきます。

実は門戸が広く開かれている。

訪問診療というと、経験がないと転職が難しいと感じる先生も多いかもしれません。しかし実は転職の中でもハードルは低めで、研修制度を設けているところも少なくありません。また教育制度をガッチリ固めている、とまでは行かないところでも、院長先生がサポートしてくれて、最初の数ヶ月は同行して仕事を教えてくれるようなところは、探すとかなりあります。一般内科や全身管理がある程度できれば、従前の診療科は問わないところも多いです。内科系が多いと思われるかもしれませんが、外科系出身の先生も意外と多いです。

保険診療中でも高額給与

訪問診療は保険診療の中では給与が高いです。診療報酬が高めに設定されてるという事情が大きいでしょう。保険診療は他の分野では縮小していくことが避けられない状況ではありますが、訪問診療については、今のところは比較的優遇されている分野になります。高給を狙いたいけれど、美容や自由診療には抵抗がある先生には、最も良い選択肢の一つになります。

高齢者が増えるので、当面需要が見込める

訪問診療の対象はほとんどが、高齢者です。言うまでもなく、日本は超高齢化社会ですので、訪問診療の需要は今後拡大していくことが見込まれます。人口は減っても、高齢者は増えていくため、当面訪問診療の需要が減ることがないでしょう。

注意点

人の家に入るのに抵抗がある先生も

訪問診療は、施設訪問もありますが、個人宅へ伺うケースも多いです。訪問診療は保険診療が使えて、1割負担では利用負担が少ないこともあり、色々な患者層が存在するのも事実です。正直、あまり衛生的でない環境に当たってしまうこともあります。訪問診療未経験の先生で、神経質な先生や、個人の生活環境に入り込むことに抵抗がある先生は、転職前に一度スポット勤務でチェックした方がいいと思います。訪問診療はスポット勤務もわりとあり、しかも高給です。未経験の先生は、ご自身に訪問診療の業務が合うかをチェックする意味でもオススメです。

地域性は必ずチェック

当然かもしれませんが、お金持ちの多い、高級住宅地での訪問診療では、きれいなお家が多いです。その反対に、やや治安が良くない地域などでは、衛生的に問題がある場合もあります。訪問診療の転職をする際は、どのような地域を拠点としているか、どのような患者さんを診ているかをチェックすることが重要になります。

施設中心だと人数は多いが、ストレスは少なめかも

施設のみの訪問診療のクリニックは稀ですが、施設訪問が中心の訪問診療のお仕事はわりとあります。施設と提携している医療機関は、一定の患者数が毎月確実に見込めるため、経営的にも安定感があります。施設では個人宅に入るようなストレスはなく、施設の職員も診療の補助をしてくれるので、外来診療に近いやりやすさがあります。患者さんも施設にいるので安定している方が多いです。(何かあると入院になるので。)しかしその反面、診療する患者数は多くなり、訪問が終わってから、クリニックでのカルテ整理などが、やや大変かもしれません。これは先生によって好みが分かれると思います。

オンコール、当直はあるところも。

常勤で訪問診療のお仕事をする場合は、オンコールや当直の問題もでてきます。特にオンコールについては、主治医制のクリニックでは、事実上休みがなくなってしまうので、かなり大変です。そのため最近は、オンコールはなしで、基本的に当直の先生が対応するところも多いです。オンコール体制は訪問診療では、非常に重要なチェックポイントになります。

オンコールなしで、当直のときだけ担当すればよいケースでも、当直の頻度は重要です。特に小規模の場合はドクターもギリギリの数で回しているところもあり、そのようなケースでは当直回数は多めになり、もし医師が一人でも退職すると大変なことになります。

しかし最近は、当直やオンコールを外部の先生に委託したり、首都圏では夜間、休日に当直のドクターを派遣する、訪問診療サポートに特化した会社も出てきており、訪問診療における医師の労働環境は改善されつつあります。一昔前の365日休みがないような環境は、かなり少なくなってきてると思います。

非常勤にする手も。

もし当直やオンコールを確実に避けたい場合は、常勤での就職ではなく、非常勤にする手もあります。非常勤ではオンコールはないのが普通です。当直も先生が希望しない限りは、まずありません。週5日がっつり働く必要もなく、緩めに働きたい先生にもオススメです。もし週5日働きたい場合は、いくつかのクリニックを掛け持つ形になります。常勤と非常勤の違いはこちらの記事も参考にしてください。(参考記事→常勤か非常勤か?

診療報酬改定の影響は避けられない。。

現在は単価が高く、診療報酬も優遇されている訪問診療ですが、他の保険診療と同様に、診療報酬改定の影響を大きく受けることになります。もちろん現在の状況を鑑みると、急激な改悪は考えにくいですが、徐々に厳しくなっていくことは予想されます。保険診療全体が縮小していく傾向は避けられないので、やむを得ないとは思います。

まとめ

訪問診療のお仕事は、給与面、QOL、やりがい、仕事内容、将来性など色々な要素を考えても、保険診療の中でオススメの仕事です。ただ医療機関によって待遇や働きやすさの差がある業界でもあります。訪問診療への転職に興味がある先生は、入念な事前リサーチと、未経験の先生にはスポット勤務をぜひオススメします。

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