
専門的なスキルをお持ちの先生は、転職でもお持ちの専門性を発揮したいとお考えになるケースも多いと思います。しかし医師転職では専門性を活かす職場が、先生が転職するタイミングで募集があれば良いのですが、専門性を求められる求人は全体で見ると数が多くありません。専門性を活かすことに固執してしまうと、転職先がなかなか見つからず、転職に難航するケースもあります。今回は転職と専門性というテーマで考えていこうと思います。
専門性を発揮できる求人は、絶対数が多くない
たとえば消化器内科の先生で内視鏡が得意な先生は、そのスキルを活かせる職場を選びたいとお考えになると思います。内視鏡の求人は単価も高く高待遇で募集されているというのも事実です。しかしながら、たとえば一般内科の外来や病棟管理のお仕事と比べると、どうしても募集している求人の絶対数が少なめというデメリットがあります。都心にお住まいで、ある程度広い範囲で求人を探せる先生は見つかる可能性も高いですが、地方である特定の地域で探そうとすると、タイミングによってはなかなか見つからないケースもあります。
専門性を活かすことにこだわってしまうと、転職の妨げになってしまうことも
専門性をお持ちの先生のスキルは非常に貴重で、上手くハマると高待遇の転職も可能ですが、そのような求人を探すことが難しいというのが難点の一つです。場合によっては、専門性を活かそうとすることで、求人がなかなかみつからず、転職が上手く行かない原因になってしまうこともあります。専門性を活かしたいケースでは自力で求人を探すことに限界があると思いますので、転職エージェントにも何人か声をかけて、求人を探してもらうほうが現実的であると考えられます。
専門性をもっていて、他の領域もみれるとかなり優遇される
たとえば、糖尿病専門医の先生が、専門性を活かす職場を探す場合、糖尿病の患者さんだけ診療したいという求人を探すのは、タイミングによっては難しいケースもあります。しかし糖尿病を中心に診療しつつも、一般内科を全般的に対応できるというスタンスの場合では、かなり求人の幅が広がります。
幅広く一般内科に対応できたり、全般的な全身管理ができる先生は、外来、病棟管理、施設管理、在宅診療など、かなり多くの求人があり、求人を探すというより、多くの求人から選ぶことができる状態です。そこにさらに専門性が加われば、鬼に金棒状態で、まさに引く手あまたの状態になります。
しかし先生によっては、ご自身の専門以外の対応に抵抗がある先生も少なくないと思います。ここは先生のお考えもあると思いますので、対応範囲は先生のストレスにならない範疇に留めるほうがよいと思います。安易に条件を妥協することは禁物です。
特に専門がなくても、幅広く診療が行えれば転職にはまず困らない
現在の医師転職市場では、転職という面だけでみれば、専門性の高いスペシャリストよりも、幅広い診療ができるジェネラリストの方が求人数でみれば多いです。優良求人に関しては、スペシャリストの方が比率は高いように思いますが、絶対数が少ないというデメリットがあります。
転職でどちらが有利かということは、一概に言えませんが、やはりジェネラリストの方が転職先がなくて困るということは無いです。外来診療、病棟管理、施設管理、在宅診療など、活躍できる場が多く、求められる現場が多いということがあると思います。
先のことはわかりませんが、総合的に診療が行える医師は、社会情勢や保険制度の変化にも対応しやすく、生き残れる可能性が高いように思います。しかし求人によっては給与的の面で、スペシャリストには敵わない場面ももちろんあります。そのため転職の際に、求人を吟味したり、非常勤をかけ合わせるなどの対策を立てていく必要があります。
専門しかみれないと、採用されないケースも
以前、私が勤務していた病院では、内科が一般内科で細分化されておらず、内科の医師はひとりで様々な内科疾患を受け持っていました。肺炎、脳梗塞、胆嚢炎、尿路感染、慢性期のリハビリなど、専門医であったとしても、ひとりでかなり幅広く担当する必要がありました。入職してくる医師にとっては、最初は戸惑いやストレスもあったようです。今まで循環器を専門でみていた先生が、急に胆嚢炎の患者を担当したり、神経内科の先生が肺炎の入院患者をするわけですから。もちろん専門的な処置が必要なケースは近隣の高次医療機関に依頼することができましたが、ある程度までは自分で対応しなければならないケースもありました。やはり風土が合わず、短期間で退職していく先生もいらっしゃいました。
ジェネラルに対応できる方が、多くの求人から選ぶことができるのは事実ですが、先生が望まれない形で転職しても意味はありません。場合によっては先生にとって負荷になり、短期間で転職となる可能性もあります。先生のご希望を一番大事にしてください。
数年研修という手もある
もし専門をお持ちの先生で、経験を積みたい場合は、たとえば2-3年と期間を決めて転職するようなことができる場合もあります。上記の病院では、経験を積みたい他科の先生も研修に近い形でいらしていました。研修というより転科に近いような形です。もともとの専門がある先生では、そのスキルを提供して、かわりに総合的な診療経験を積むということも現実的に可能です。むしろ歓迎されるケースも多いです。将来的な需要を見据えて、そのような経験をしておくのも、ありなのではないかと思います。
経験的には、都心部の病院よりも少し都心から離れた病院や、大規模より中小規模の病院だと、このような相談を受けてくれるケースもあるように思います。このような希望がある先生は、自力で探したり、交渉するのは難しいと思いますので、慣れているエージェントさんに探してもらう方がおすすめです。個人的には今回のようにやや難しいケースの常勤では民間医局さんが頼りになりました。ご参考までに。