
シリーズ いま転職するならどうするか?
今回のシリーズでは、もしも管理人が今からある状況、条件で転職をするなら、どのような戦略を立てて、どのような就職先を選ぶか?についてケース別に検討してきます。先生方の状況や条件に、ピッタリは当てはまらないかもしれませんが、近い状況のものであれば、一つの参考にはしていただけるかと思います。転職戦略の一例として参考にして頂ければ幸いです。
今回は「いま私が転職するなら行う最善策」というテーマで検討していきます。
私が現時点で考えられるすべてを動員して、給与、QOL、将来性、すべてをバランスよくとって、最大のパフォーマンスを上げることを目指します。今回は執筆時点で私が持つ知識を詰め込んだ、決定版とも言える回です。少しでも先生方の参考になれば幸いです。
状況、条件の設定
・QOL、給与を最大限に上げつつ、将来性を考えて、保険診療の能力も維持したい。
・事務的なことを行うのは苦痛ではない。
・少しでもできる節税策は行いたい。
・週5日勤務を希望
戦略
医療脱毛クリニックの非常勤+訪問診療の非常勤+マイクロ法人設立
今回の戦略では、医療脱毛クリニックの非常勤を週2日、訪問診療を週3日で週5日は全日勤務とし、週休は2日とします。また社会保険料を節約するために、プライベートカンパニーを設立し、マイクロ法人戦略を取ります。
今回のモデルケース
月曜日 脱毛クリニック(A美容クリニック)11:00-21:00
火曜日 脱毛クリニック(B美容皮膚科)10:00-20:00
水曜日 訪問診療(C在宅クリニック)9:00-18:00
木曜日 訪問診療(C在宅クリニック)9:00-18:00
金曜日 訪問診療(D訪問クリニック)9:00-17:30
土曜日 お休み
日曜日 お休み
収入の試算
脱毛クリニック、訪問診療ともに、高単価を見込めます。脱毛クリニックは日給8万円を目標に、訪問診療クリニックでは日給10万円以上の求人を選択します。
仮に、平均日給9万円であると仮定します。
週5日勤務で週に45万円、4週間で、180万円の収入となります。働く週を年間50週と仮定すると、年収は概算で2250万円となり、十分な収入の確保が可能です。
マイクロ法人の設立
プライベートカンパニーを設立し、マイクロ法人を設立するのは、社会保険料を節約する目的があります。非常勤で高収入を得た場合、国民健康保険料は上限マックスとなります。また国民年金は配偶者の分も負担しなくてはなりません。マイクロ法人戦略をとり、社会保険料を節約することで、手取りを増やすことが可能です。しかしこれは事務手続きが正直面倒です。先生によっては時間と割にあわない方も多いでしょう。しかし私はあえてこれを行います。以下で理由を挙げてみます。
マイクロ法人戦略をとる理由
脱毛クリニックでの時間を使う。
今回のケースでは脱毛クリニックを週2日確保しているので、ある程度空き時間が十分あります。その時間を事務的な仕事に当てれば、時間を有効活用できます。
社会保険料を気にしなくて良くなる。
これは完全に好みの問題かと思いますが、法人を作って一度手続きをしてしまえば、あとは自動的に一定額が引き落とされるので、社会保険料のことは気にする必要がなくなり、頭がスッキリします。最初は面倒ですが、流れに一度乗ってしまうと後が楽です。
将来的に診療以外の収入源を確保するきっかけにする。
先生が法人を設立した場合、診療以外の収入源を確保する必要があります。もっとも簡単なのは、ETF等での資産運用ですが、それだけでなく、副業を確保することがベターです。脱毛クリニックで空き時間はあるので、デスクワークで管理できる副業にチャレンジするきっかけにします。
週の日程の意図
モデルケースで示した週の予定ですが、実はこちらにも意図が隠れています。脱毛クリニックは事前にしっかりと申請すれば、有給休暇をはじめとした、休みを取得することが容易です、元々の土日と絡めて、金曜日から火曜日まで休みにすれば、ちょっと長めの国内旅行も容易になります、(もちろん海外旅行を行う場合は、在宅クリニックと調整すれば休みを取ることは可能です。)
また祝日は、在宅クリニックは休みになる所も多いですが、脱毛クリニックは祝日も営業のクリニックが多いです(むしろ祝日はかき入れの日なので)。祝日は月曜日に多いので、あえて月曜日を脱毛クリニックの勤務日にすることで、勤務日数を減らすことなく、収入をしっかり確保できます。
保険診療の能力の維持
訪問診療を週3回入れているのは、保険診療の能力を維持するためです。現時点では、QOLだけ考えれば、脱毛クリニックに振り切った方が合理的です。しかし今後どうなるかはわかりません。事実脱毛クリニックの経営破綻も立て続けに起きています。自由診療は流動性が高いため、数年後の未来も予測しにくい状況です。
しかし保険診療の能力を維持しておけば、どのような時代が来ても、生き残れる可能性が高いです。また給与のみで考えると、現状では訪問診療の方が自由診療を上回ることも少なくありません。収入的にも悪い選択ではないと思います。
訪問診療は、今後他の仕事をする際にも役に立ちます。外来にも、療養病棟の管理の仕事に移行するとしても、相性がよく、ツブシが効きやすいといえます。また当面は需要が減ることは考えにくく、保険点数も他の分野に比べれば優遇されています。
この戦略の欠点
この戦略は、常勤で勤務するよりも給与がよいです。またマイクロ法人戦略により社会保険料を削減し、手取りを多く残す対策も取っています。QOLについても、当直もオンコールもなしで、脱毛クリニックでは空き時間も活用出来るのでかなり良いです。また保険診療も行うことで、医師として将来的なリスクヘッジも出来ています。また上手くいけば、診療以外の副業で、新たな収入源が確保できる可能性もあります。この手法は現時点で考えられる、最適解の一つであると考えています。
しかし最大の欠点が一つあります。それは先生が倒れてしまったら、そこで全てが終わってしまうということです。これは今回の戦略だけでなく、非常勤を掛け持った場合に負うリスクでもあります。この戦略を選択する場合、健康には本当に気をつける必要があります。医師は意外にも自分の健康管理に無頓着である場合も少なくありません。私にも思い当たる節があります。もしかしたら先生にもおありになるかもしれません。お互いに健康には気をつけて頑張りましょう!