
シリーズいま転職するならどうするか?
今回のシリーズでは、もしも管理人が今からある状況、条件で転職をするなら、どのような戦略を立てて、どのような就職先を選ぶか?についてケース別に検討してきます。先生方の状況や条件に、ピッタリは当てはまらないかもしれませんが、転職の戦略の一例として参考にして頂ければ幸いです。
今回は以前に記事にした、「10年で逃げ切り計画」というテーマを別の戦略で再検討していこうと思います。
「10年で逃げ切り計画」戦略の概要
・訪問診療クリニックを2院かけもち、それぞれ週2で勤務し、訪問診療を週4日
・自由診療のクリニックを週1で勤務
・合計週5勤務で、年収2000万円超えを目指し、生活費を削減し、可能な限り資産運用の投資にまわす。(資産運用は手堅いインデックスファンドまたは、高配当ETFを使用)
・10年以内に一定の資産形成(可能なら1億)を目指す。
・資産形成後は週1-2で訪問診療の非常勤を行いながら、それで生活費をまかなう。築いた資産は手を付けずに運用をつづけておき(ほっておくだけで大丈夫です)、完全引退の頃には膨れ上がっていることを想定する。
前回は主に自由診療の脱毛クリニックでのお仕事をメインにすることを想定しましたが、自由診療の業界は流動性が高く、安定性の面で考えると、ややリスクが高いです。自由診療のお仕事に興味がない先生や、再現性の問題を考え、今回は比較的安定している保険診療をメインにしていきます。そして保険診療の中でも単価が高い訪問診療のお仕事を中心にします。こちらは当面需要が安定してると思われ、少なくとも10年は仕事に困ることはないと思われます。10年逃げ切り計画には最適です。
実際には上記のように、リスク分散のために訪問診療のお仕事を、全く別の2つのクリニックでかけもちします。万が一、一方のクリニックで経営がうまく行かなくなったり、雇い止めにあったとしても、独立した職場であれば、天災や戦争などが起きない限りは同時に仕事を失うことは考えにくいです。どちらか一方が生き残っていれば、少なくとも食いっぱぐれはなく、別の職場を探せばいいだけなので余裕を持てます。
自由診療のお仕事をあえて週1で入れたのは、あまりに同じような仕事だと飽きる可能性があることや、問診の仕事を週1で入れておけば、その日は少しゆっくり過ごせるためです。もちろん自由診療のお仕事に抵抗がある先生は、訪問診療のお仕事でも、他のお仕事でもお好みでアレンジ可能です。
週間予定の想定
月曜日 自由診療のクリニック
火曜日 訪問診療クリニックA
水曜日 訪問診療クリニックA
木曜日 訪問診療クリニックB
金曜日 訪問診療クリニックB
土曜日 お休み
日曜日 お休み
あえて自由診療を月曜日にしているのは、自由診療のクリニックの場合は祝日も勤務が多く、訪問診療のクリニックは祝日は休みになることが多いためです。祝日は月曜日に多いので、極力仕事を減らさないという戦略です。土日は休みにしていますが、体力がある先生はもちろん追加して頂いても大丈夫です。
収入の想定
訪問診療の日給は10万円前後です。仮に平均の日給が10万円として、週5勤務、祝日も考慮して月に平均21日の勤務と仮定すると、月収は210万円。想定年収は2520万円となります。かなりの高額収入が期待できます。もちろんここから税金がガッツリと引かれてしまいますが、、生活費を抑えれば、年間1000万円超を資産運用に回すことも現実的に可能です。資産形成が上手くいけば、10年以内に億単位の資産を形成することも、十分に現実的なプランです。
資産運用はどうするか?
資産運用については、多くの先生に手軽かつ、再現性が高い、投資信託またはETFによる資産形成を想定します。インデックスファンドであれば、全世界株式(VT)や米国株式(VTI、 VOO)、高配当ETFであれば幅広く分散されたVYM等を想定します。これらであれば、一時の増減はあれど、長期的にみれば勝てる可能性が高いと考えられます。純粋に資産の拡大を目指すのであれば、インデックスファンドを、配当金もある方が精神的にゆとりを持てるという先生は高配当ETFをオススメします。
資産運用についてはややテーマが大きくなりすぎるのでここではあまり深入りしませんが、最も避けたいのは、先生が稼いだ大切なお金を失わないことです。特に詐欺まがいの投資案件や、投資ではなく投機(ギャンブル)は避けるべきです。上記のような優良なインデックスファンドであれば、一時的に資産の増減はあれど、長期的な視点でみれば資産が拡大する可能性が高いです。(しかし中身は同じ投資対象でも、手数料がぼったくりの投資信託もあるので注意です。)資産運用についてはこちらの記事も参考にしてください(参考記事→医師の投資先その1)
投資の方法は不動産や金融商品を含めて本当に色々ありますが、私の個人的な見解は、得意な先生以外はあまり深入りしないほうが安全だと思われます。不動産で成功する先生もいらっしゃいますが、せっかく稼いだ資産を失うリスクももちろんあります。またFXや海外口座での投資も避けたほうが良いと思われます。これらは投資というより投機であったり、思わぬ落とし穴にハマる危険があります。繰り返しになりますが、どうか先生の命を削って稼いだお金を、つまらないことで失わないで頂きたいです。
前回との違いについて
前回(参考記事→10年で逃げ切り計画編)は自由診療のお仕事を中心にしました。たとえ永続できないとしても、なんとか10年集中して仕事をして逃げ切ってしまえば良いという想定をしたため、ややリスクが高い自由診療に振り切りました。しかしその後、果たして今の状況が10年続いて本当に逃げ切れるだろうかという懸念も浮かびました。また完全に仕事を辞めるのではなく、週1-2でも非常勤の仕事を続けたほうが、一定の収入も得られますし、診療能力も維持できます。診療能力をキープしておけば何らかの理由で働く必要が生じてもスムーズに復帰できます。
そもそも働く能力があるのに完全に医者を辞めてしまうのはもったいないです。医師免許はたとえ週イチの非常勤勤務でも、適切な対策をとれば、それだけでサラリーマンの平均年収近くを稼げてしまうゴールドライセンスです。しかも収入が減れば、税金の割合も減るので手取りの割合は増えます。一定の資産形成後に仕事をセーブして継続することは戦略として有効であると考えます。また完全に仕事がなくなってしまうと、さすがに暇で時間を持て余すのではないかとも考えました。
前回はマイクロ法人というややこしい方法もかけ合わせましたが、今回はやめました。多くの先生にはコストパフォーマンスが悪いと考えられ、話がややこしくなるだけと考えたためです。社会保険料の負担は増えてしまいますが、おとなしく払った方が、ややこしい事務仕事を行うよりも、コストパフォーマンスは高いと思います。マイクロ法人のために休日を事務仕事に当てるくらいならば、医師の場合は給与単価が高いので、暇な日に優良なスポットバイトを入れた方が良いと思います。前回の記事は一つの思考実験として参考にして頂ければ幸いです。
ただ診療以外の副収入を作ることはやはり良いと思います。法人を作っての追い込まれた状況でなくても、副業にはチャレンジしていく価値が十分あると思います。診療以外の副業や収入は。セミファイアー達成後にもきっと財産になると思います。
まとめ
今回は前回と異なり、保険診療を軸として、10年を目安に資産形成をおこない、一定の資産形成後もダウンシフトして非常勤勤務を続けていくというプランを想定しました。適切な職場を選び、生活費を節約して、適切な投資先を選んで資産形成を行えば、多くの先生にとって再現性が高いプランなのではないかと思います。もちろん全て今回の通りに行う必要はなく、先生好みにアレンジして頂き、先生にとって最適なプランを調整して頂ければ幸いです。
そもそも訪問診療に参入しにくい診療科の場合はどうするかというご意見もあると思います。この場合は訪問診療を、単価が高めの非常勤勤務に読み替えて応用して頂ければと思います。また訪問診療は内科のイメージが強いですが、実は外科の先生も多く、皮膚科や精神科など専門性の高い診療を提供する場面も増えてきています。全身管理ができる先生であれば、特に診療科を問われない場合もあり、実は想定されるよりも門戸が広い現場でもあります。