
転職をしていると、思うように進まないこともあります。ピンとくる求人が見つからない、転職エージェントとの信頼関係が築けない、面接で内定が得られない等、状況によって様々ですが、どうしても上手くいかない時期はあるものです。そのような時期をどのように乗り越えるか、また上手くいかないときの注意点について考えていきます。
まずは焦らない
まず一番避けたいことは、手っ取り早く転職できそうなところへ、転職してしまうことです。焦って、とりあえず転職をしてしまうことは後々後悔する可能性が高く、オススメできません。
状況によっては、現在の職場の退職時期が差し迫っており、転職先を見つけなければならない先生もいらっしゃると思います。その場合はひとまず転職してから、またゆっくり考えようと思われる先生もいらっしゃるかと思いますが、それもオススメできません。それなら数ヶ月、多少のブランクができてしまっても、一旦、元の職場は退職し、スポットのアルバイトをしながら数ヶ月、転職活動に専念するほうがよいと思います。
私にも経験がありますが、短期間での転職、退職、再転職の流れは、思った以上に精神力を消耗します。またブランクができるよりも履歴書の見栄えがよくありません。もちろんやむを得ないケースはあるということは、採用側も承知しているとはいえ、好印象になることはないでしょう。
時期をずらす
時間に余裕がある先生に一番おすすめの方法は、転職時期をずらすという方法です。もしいまの職場に留まることが可能なら、一旦転職活動はお休みして、転職から離れてみることをおすすめします。転職活動で煮詰まってしまうと、冷静な判断を欠いてしまいやすいです。普段ならば選ばないような職場を選んでしまい、結果転職に失敗してしまうこともあります。可能ならば一旦転職のことは忘れ、通常の業務を行いながら気分転換することをおすすめします。
転職を極論すれば、「先生にとって都合がよい職場と縁ができるかどうか?」という問題です。そして先生にとってよい求人が巡ってくるかどうかは、完全に運任せになり、先生が努力してもコントロールできることではありません。これが転職では難しいことの一つになります。もちろん求人会社の登録を増やしてアンテナを広げるなど、よい求人を手に入れる確率を増やす努力はできますが、それでも難しい時期もあります。これはなんとも悩ましいものです。
私の経験ですが、自分が欲しい求人が全く巡ってこない時期もあれば、いくつか選べるような時期もありました。これは非科学的ですが、「流れ、風向き」としか言いようが無いものと感じます。先生がもし上手く行かないと感じていたら、今はそういう時期なのかもしれません。そんな時期はジタバタせず、決して焦って転職先を決めないで、しばらく様子を見ることをおすすめします。
ケース別 転職活動が思うようにいかないときの対処法
転職活動が滞る際の理由はいくつかあります。いくつか想定されるケースについて場合分けをして考えてみます。
求人がみつからない
思うような求人がみつからない際の対処方法は大きく分けて2つあります。一つ目は求人会社を変えること、2つ目は思い切って、転職活動を休むことです。
①求人会社を変える
意外かと思われるかもしれませんが、単純に求人会社を別の会社に変えるだけで、あっさり求人が見つかり、転職が上手くいくケースもあります。医師求人会社は、求人に偏りがある会社も存在します。極端な例では、自由診療や美容系の求人に強い会社で、保険診療の求人を探しても上手く求人が見つからないことは目に見えています。最近は大手では総合的に扱うケースが増えていますが、それでも一定の偏りや、A社にある求人がB社にはない、または待遇が異なる等のケースはあります。先生が理想とする求人が検索して見つからず、エージェントに探してもらっても見つからない場合は、別の求人会社に登録して、新たな会社で求人を検索してみることをおすすめします。
②転職活動を休む
上記と重複しますが、転職活動が思うようにいかない場合は、時期やタイミングの問題である場合も多いです。単純に時間経過が解決してくれるケースも、実は少なくありません。可能なら転職活動をしばらくお休みすることも現実的な選択肢の一つです。
私にも経験がありますが、転職したあとに、自分が求めていた求人が出てきて、「あと2ヶ月待っていれば、、」と思ったこともありました。私の場合は、すでに前の職場を退職していたこともあり、なかなか悠長に待つことが出来なかったこともありますが、転職の難しさを実感した例でした。
転職エージェントとの折り合いが良くない
転職活動が上手くいかない場合、転職エージェントとの関係が問題となるケースもあります。転職エージェントは人間ですから、どうしても先生との相性の問題があります。転職エージェントとの信頼関係は非常に重要です。私は求人内容の次に重要であると考えています。極端な言い方をすれば、どの転職エージェントと組むかで、先生の転職成功が左右されてしまうと考えています。それくらい重要です。
転職エージェントとの関係が上手くいかない場合は、こちらも別の求人会社にあたってみることをおすすめします。転職エージェントは、基本的に先生が転職会社に登録したときや、問い合わせをしたときに担当の方が決まることが多いようです。そしてどの求人エージェントに担当してもらえるかは、先生が決めることが出来ません。これは転職で運任せになるところの一つです。
どうしても相性が合わない場合などは、会社側に言えば担当を替えてくれることもあるのかもしれませんが、私は経験がないためなんとも言えません。個人的には会社ごと替えてリセットした方が良いように思います。
先生のなかに迷いがある
もし転職が思うように行かない場合、先生の中で転職そのものに迷いがあるのかもしれません。そのようなときは無理に動かず、一旦転職活動をストップすることをおすすめします。このようなときはジタバタせず、下手に動かず、気分を変えるのが一番良いです。
また転職のきっかけや、転職で叶えたい条件を思い出すために、先生の希望を整理してリスト化することをおすすめします。(参考記事→転職希望条件のリストの作成)
病院見学にまでいくと、条件が合わず止まってしまう
転職前には、実際に転職候補の病院に見学に行くこともあると思います。特に常勤転職では人生の多くの時間を過ごすことになるため、労働環境は重要です。私も転職の際は可能な限り病院見学に行き、実際に働いている先生の話を聞くことをおすすめしております。(参考記事→入職前に実際に現場の医師に話をきく 実際に働いている先生へのインタビューについて)
しかし病院見学に行ったことで、嫌な面が見えて、転職する気がなくなってしまうこともあると思います。特に事前の情報で好印象だった医療機関で、このようなことがあると割とショックを受けます。冷静に考えれば、実際に転職する前に、先生に合わない面があることがわかったのですから、本来は良いことなのですが、その時は前向きに考えるのは難しいと思います。
そのようなときの対処法としては、諦めずに先生の候補になりそうな医療機関の病院見学は引き続き行いつつ、条件をもう一度見直すのがおすすめです。病院見学に行った2-3の医療機関で思うようにいかなくても、諦める必要はありません。日本国内に就職候補の医療機関は無数にあります。合わないと思ったら、すぐ次に移りましょう。またいくつか病院で実際の現場をみると、先生の条件によっては全ての条件を叶えることが難しいということも見えて来る可能性があります。安易に諦める必要はありませんが、実務上、全ての条件は満たせず、いくつか妥協せざるを得ない面もでてくると思います。
面接に受からない
先生にとって良いと思える転職先が見つかり、面接まで進んでも内定を得られないケースというのもあると思います。面接で落とされると、かなりの精神的ダメージを受けると思います。しかし先生に問題があるのではなく、医療機関側の勝手な都合であることも少なくありません。気にしないで、というのは難しいかもしれませんが、それでも気にせず前に進むのがよいです。
そのような際は、履歴書などももう一度見直してみることをおすすめします。転職エージェントが添削してくれることもありますが、転職エージェントが用意してくれた履歴書が、必要事項を殺風景に羅列しているだけで、先生の熱意や思いを上手くアピール出来ていない可能性があります。つまらないことですが、転職はこんな些細な印象で決まってしまうこともあります。
また可能なら模擬面接を行うこともおすすめです。普段から診療で人と話すことには慣れている先生も、人から評価される面接に慣れている先生はいないと思います。医者で気をつけなければならないことは、威圧感を与えてしまい、結果先方の担当者に怖い先生というイメージを持たれてしまうことです。最近は診療能力の高さよりも、人間性や優しさ、話しやすさを重視する職場も多いです。今さら馬鹿らしいと思うかもしれませんが、2-3回でもエージェントと模擬面接で練習することで、印象を大幅に改善することは十分可能だと思います。
転職エージェントとの付き合い方
転職エージェントは先生が転職に迷い、転職活動が滞る場合は、先生に発破をかけてくると思います。場合によっては先生を焦らせて、不安にさせるようなことを言ってでも、先生をなんとか転職させようとしてくるかもしれません。しかしここで冷静さを欠いた行動をとってしまうと、失敗してしまう可能性が高いです。
なぜ転職エージェントが先生にこのようなことを言うかというと、それは転職エージェントの利益構造を考えると簡単に理解できます。(参考記事→医師求人会社の利益構造)要するに、転職エージェントは先生に転職してもらわないと一円にもならないためです。転職エージェントにもノルマや上司からの圧力があります。はっきり言って先生の幸せな転職を一番に考えているわけではありません。一番に考えているのは、先生の転職を自分が斡旋することで、会社から高評価を受けることです。そしてそれは人間として当然のことです。全く責められるものではなく、普通のことであると思います。
少し話がズレますが、一般的な社会では、お客様のことを第一に考えるということはありえません。まず自分のことを第一に考えます。もちろん医師もご自身のことを大切にするとは思いますが、医師が患者さんのためを思って診療を行うことと、一般社会とはかなりギャップがあるように思います。そこまで考えてくれるとは思えません。転職エージェントにとって先生は患者ではなく、お客様です。先生が普段患者さんに接しているように、転職エージェントから接してもらえるとは期待しない方が良いでしょう。医療業界にいると感覚が麻痺しますが、それが本来の社会では普通のことだと思います。
自分の失敗談 焦って決めると遠回りの可能性
自分の失敗談を振り返ってみようと思います。転職が上手く行かない時期というのは、私にもありました。転職先は退職前に決めるべきか?の記事にも書きましたが、今回のテーマで少し補足してみようと思います。そのときは思うような求人がみつからず、無職の状態に耐えられなくなり、焦って転職した結果、失敗してしまったという内容です。そして実は転職してから数ヶ月後に、まさに私が求めていたような求人がでてきたのです。それも複数出てきました。今となっては仮定にしか過ぎませんが、もう少し待っていれば、結果は違ったかもしれません。焦るべきではなかったと後悔したものです。
しかし求人は水物なのでいつ、どのような求人が流れてくるかは、全く予想がつきません。長年待っていたけれども、ピッタリとくる求人が流れてこない可能性もあり、そこが難しいところです。ある意味投資のタイミングと似ているところがあります。投資でも流れを読んで、底値を待って投資するというのはプロでも困難です。
私の失敗談を振り返り、取るべきだった対策としては、転職活動は仕事を辞める前に行い、転職先を確保した状況で退職するべきであったということです。これなら焦って転職する必要はなく、いい求人が流れてくるまでいくらでも待つことができます。余裕を持ってできるので理想的な転職活動です。これなら転職で失敗する可能性は最小限にできます。
しかし状況によっては、そのようなことを言っていられない先生も多いことは、私も重々承知しています。労働環境が劣悪な場合や、人間関係の問題や、家族の急な状況変化などで、すぐに退職して転職しなければならないケースもあると思います。そのような場合でも、無理は承知の上で申し上げますが、先生が行きたくないと思うような職場には転職しない方が良いと思います。数ヶ月ならスポットでつなぐことも、求人を探すことが容易な現代なら十分可能ですし、非常勤を組み合わせて2-3年働いて、ゆっくり落ち着く先を探すことも現実的です。どうか焦って、先生の本意ではない仕事をするのは避けてください。それは先生にとっても、社会的にも好ましいことではありません。
まとめ
今回は少々長めの記事になりましたが要約すれば、転職が上手く行かない時期も、決して焦らず、先生が心から働きたいと思う職場を根気よく探して、転職して頂きたいということです。転職は先生ご自身の努力でコントロール出来ない要素の方が正直多いです。今までご自身の努力で道を切り開いてきた先生には、歯がゆい状況もあるかもしれません。そのようなときは今回の記事を思い出していただければ幸いです。