転職活動中の精神状態

今回は転職活動中のメンタルに関する話題です。転職活動中はどうしても孤独になりやすく、なかなか上手く行かない時期は煮詰まってしまいがちです。そもそも転職活動は普段の仕事と並行して行うことも多く、ただでさえ忙しい日常に加えて、転職活動が入ることで時間的にもタイトになります。どうしても余裕がなくなると冷静な判断が難しくなり、平時であれば決してしないような判断をしてしまうこともあります。今回は転職期間中のメンタルの保ち方について考えていきます。

転職期間中は普通の精神状態ではない

もし先生がいま、直近の転職に備えて、転職活動を本格的に行っている場合、恐れながら、先生は普通の精神状態ではないと思われます。まずはそのことをご認識いただければ幸いです。

医師が転職活動をする事情や、転職活動中の状況は様々です。そのためなかなか一般化しにくいことではありますが、ほとんどのケースで精神的に追い詰められているケースが多いと思われます。これは私自身の転職経験や、その他多くの先生の転職活動中の状況を見てきた経験によるものです。精神的にゆったりとして、余裕がある状態で転職活動をしている先生を私は見たことがありません。すごく忙しい環境でなんとか空き時間を使って求人を探している先生もいれば、仕事的にはそこまで忙しくないものの、精神的にかなり追い詰められた状況で、半分病んでいるような状態で転職される先生もいます。程度の差はありますが、多かれ少なかれ追い詰められている先生が大多数で、軽く抑うつ状態の先生も少なくないように思います。

転職はライフイベントの中でも結構大きいです。場合によっては転居を伴うこともあり、特にご家族がいらっしゃる先生は大変です。もし思ったような職場でなくても、すぐ再転職というわけにもいかないと思います。また年収の確保、将来性の見通し、安定性など、先生が気に入るかどうか以外にも、色々な変数を考慮しなくてはなりません。ストレスを感じない方がおかしいでしょう。

異常な精神状態では、普段しないような判断をしやすくなる

このようなことをわざわざ先生方にお話することも気が引けますが、やはり追い詰められ、煮詰まった精神状態では、健全な判断は難しいです。普段なら選ばないような転職先を選んでしまい、転職後にしまった!と思ってしまうことも起こり得ます。

特に転職活動が長引いたり、他の仕事が忙しかったり、すごく疲れているような状況は危険です。このような状況では、正直何もかも面倒になってきます。転職先を選ぶことも面倒になり、とにかくどこでもいいから、この状況を終わらせたいような気持ちにもなります。その時期が一番危険です。極めてリスクが高い精神状態です。

そのようなとき、転職活動を一時的に中止して、元の職場に集中したり、非常勤やスポット勤務にひとまず着手して安定を図ることができればいいのですが、なかなかそうも行かないケースが多いようです。なぜか手頃な先に転職してしまうケースが多いように思います。私にもこの経験がありますが、そのときの精神状態はなんとも説明しづらいです。

ひとつあるのは、転職活動を始めた以上、なんでもいいから転職をしないと、負けや失敗のように感じてしまうことがあると思います。しかし冷静に考えればそんなことはありません。転職の目的は、今より良い労働環境を確保して、先生の人生を良くすることです。転職そのものが目的ではありません。しかし煮詰まって、視野が狭くなってくると、なぜか転職が目的のように思えて来るのです。かなり頭が良い先生でも、この罠にハマっているのを見たことがあり、どのような先生にも注意が必要かと思われます。

仕事をしていない状態も危険

忙しい業務の上に転職活動も加わると、追い詰められやすいという、先に言った内容と矛盾するようですが、実は仕事から完全に離れて転職活動に専念することも、それはそれでリスクがあります。仕事から離れて転職活動を行えば、時間は十分に確保できます。その面ではたしかに良いと思います。しかし先生の今までの生活から比べると、逆に時間がありすぎるのです。転職活動をするとしても一日中行うほどの業務量はありません。求人を検索したり、転職エージェントに問い合わせたり、病院見学に行っても、時間が余ります。このゆとりある時間を楽しめればいいですが、転職先が決まらない状態で楽しめる先生は少数だと思います。そのような先生は今回の記事をおそらく読んでおられないでしょう。

すぐに転職先が決まればいいですが、求人を探して、面談に行ってという転職活動の時間が、一ヶ月、二ヶ月と過ぎていくと大半の先生は焦りが出てきて、とにかく早く転職先を確保したいという気持ちになってくると思ます。その状態は危険信号です。妥協して転職してしまうリスクが高いです。

もし退職後に転職活動をされている先生は、是非スポット勤務に応募して、少しでも仕事をしながら転職活動をされることをおすすめします。半日の健診外来のような業務でも十分です。何も仕事をしない状態と、何か少しでも仕事をするのとでは、精神状態が全然違います。また少しでも収入があると、特に金銭面で困っていない先生でも、嬉しいものだと思います。

孤独が危険

転職はなかなか同僚に相談できる内容でもありません。必然的に孤独な戦いになりやすいです。こちらについては以前も記事に書いてみたので参考にしてみて下さい。(参考記事→転職は孤独な戦い

補助解説動画