
転職経験がある先生の中には転職後に、思っていた条件と違ったことや、想定していた忙しさや環境とギャップがあった!という先生も中にはおられるのではないかと思います。これは譲れない条件のはずだったのに、入ってみたら話が違った!という経験がおありの先生もいらっしゃるかもしれません。実は私も転職後に、こんなはずではなかった!という思いをした経験があります。私の失敗談をご紹介することで、先生に同じ轍を踏まないように注意して頂き、いまから振り返ってみると、もう少し対策をとれたのではないかという反省点についても共有させて頂こうと思います。
オンコールなしの契約で入ったのに、実情はオンコールありだった!
これは私が転職に失敗したなかでも最大の失敗です。私はどうしてもオンコールがあると、帰宅後や休みの日にスイッチが切れず、心身が休まらないので、オンコールなしの職場を探していました。同じようなお考えの先生も多いのではないでしょうか?エージェントのさんが紹介してくれた、ある医療機関に繋いでもらい、オンコールなしの契約で転職をすることになりました。私としては、先方の採用担当の方にもオンコールなしの旨をお話し、雇用契約書にもはっきりと「オンコール:なし」と記載をしてもらい、契約をしました。その当時は、今ほど転職に関する知識もありませんでしたが、私としては万全の対策をとったつもりでした。年収はそこそこだったものの、専門医取得を目指して5年くらいのスパンで、しばらくは腰を据えて勤めるつもりで入職をしました。
しかし入職してみると、どうも様子がおかしいことにすぐに気が付きました。同僚の医師はオンコールにも普通に対応しており、しかもそこそこの頻度でかかってくるようです。極めつけは、ある若手の医師がカンファレンスの際に、早朝の電話にでなかったことで、上の先生に怒鳴り散らされているところを見たときに、ああこれはしまった!と思いました。実際に私が何かされたわけではありませんが、これはどう考えても続けることはできないだろうなと、すぐに理解しました。結論としては、試用期間が一応設けられていたので、その期間中に辞退し、退職する方向になりました。短期間で再転職する手間もあり、かなりメンタルも削られ、、、本当はあまり思い出したくない、苦い失敗です。
今振り返って、私にできた対策
当時の私としては、オンコールなしで入職してそれが覆されるとは正直考えていませんでした。しかし今から振り返ると、私にも確認不足だった面はあったと反省しています。
今になってやっておけばよかったと思うことは、実際に働いている先生に入職前に話を聞いていれば、おそらく避けられた失敗であったということです。採用担当の事務さんでも、実際の現場を良く知っているとは限りません。私が実際の現場の事情にまで踏み込めなかったのは、私の詰めの甘さであったと反省しています。先生が転職される前には、特に常勤転職の前には、実際に働き始めた時に立場が近い現場の先生と、一度お話をすることを強くおすすめします。転職前にこの一手間を行うことで、大半の転職ミスマッチは防げるのではないかと思っています。
(参考記事→入職前に実際に現場の医師に話をきく、実際に働いている先生へのインタビューについて)
しかしそれでも、完璧はない
もちろん実際に話を聞いて、雇用契約書でも確認して、考える限り取れる対策を行ったとしてもそれでもミスマッチは完全には防げないと思います。特に最初の数年はよかったけれど、たとえば途中で医師の退職が相次いて、人手がどうしても足りなくなってしまい、守備範囲外の業務を頼まれてしまうなどのケースも起こり得ます。具体的には最初は当直免除で入ったけれども、このような理由で途中から頼まれてしまい、どうしても断れず一度受けてしまった結果、その後もズルズルと頼まれるようになる、、などは結構あることだと思います。これはどう対策を取ったとしても、防ぐことは難しいと思います。
最善を尽くしても上手く行かなかったケースでは、これはもう諦めて再転職をすればいいと思います。幸いにして医師の転職市場は、他の業界と比べれば、だいぶ恵まれています。先生を求めている求人は正直いくらでも見つかります。
大切なことは、上手く行かないことがあっても、決して諦めないで頂きたいということです。転職が思うように行かないときも、思うような求人が見つからないときもあるかもしれませんが、決して諦めなければ、先生にとってよい職場は見つかります。このことは本サイトで繰り返しお伝えしていきます。
病棟をもつ場合、オンコール完全免除は難しいかもしれない。
ここでオンコール免除のことについて、考えてみようと思います。もし病棟で入院患者さんを受け持つ場合は、オンコールを完全に免除というのは、難しいかもしれません。オンコール免除で契約をしてもです。グループ制ならまだいいですが、主治医制の場合は、カルテ記載を丁寧にして、当直で対応の先生に分かりやすくしていたとしても、どうしても主治医でないと判断が難しいケースも起こり得ます。これは職業的にどうしても難しいことかもしれません。
もし完全にオンコールを免除したい場合は、入院患者さんを受け持ったり、訪問診療でも常勤のお仕事をすることは、避けた方が良いと思います。外来のみの仕事だったり、訪問診療でも非常勤であれば、オンコールのリスクは避けられます。構造的にオンコールがない職場を選ぶという方法が考えられます。
私は以前、オンコールなしの職場に勤務していたこともありますが、年に一回くらいは電話対応をすることがありました。これはもう仕方がないと思いましたし、すぐに出れなくても責められるような職場でもなかったので、そこまで気負うことなく対応できました。このくらいの負荷であれば問題ないという先生であれば、上記ほど神経質に職場を選ばなくても良いと思います。