
医師転職は医師求人会社を介して行うのが現在では一般的です。今回は医師求人会社を利用せず自力で転職することはできるのか?について考えてみます。結論から言えば自力での転職は先生にはデメリットが多く、また現実的でありません。以下で解説していきます。
医師求人会社を使用しないパターン
医師求人会社を利用せずに転職活動を行うパターンとしては以下のケースが考えられます。
①知り合いからの紹介
②医師会やハローワークなどの斡旋
③先生が探して直接応募
以下で詳しく見ていきます。
①知り合いからの紹介
友人の医師や、知り合いの医療関係者から声をかけられることもあるます。しかしこの方法での転職は以下の理由でオススメ出来ません。
まず転職先の選択肢が非常に限定されてしまい、他の医療機関と比べることが出来ないです。転職市場をみると先生の本来の収入は想定しているよりも高い可能性があります。当直回数など他の待遇についても同様です。これは他の医療機関と比べてみないことには分かりません。
また入職後に想定していた環境と違って再転職する際も、知り合いであることから辞めにくいというデメリットが生じます。しがらみがあるため、自由に転職はしずらくなります。非常に時間のムダを生じる可能性があります。
②医師会やハローワークなどの斡旋
医師会の会報に医師求人や継承物件の情報が出ています。しかしこちらも数が多くなく、他の様々な医療機関と比べることは出来ません。求人の絶対数が少なく、やはり不利です。
ハローワークでの求人は、募集する側に手数料がかからないというメリットがあるものの、先生に直接メリットはありません。ハローワークの職員は求人を仲介はしてくれますが、条件交渉などは基本的に熱心に行ってくれません。条件交渉はハローワークの職員の仕事ではなく、やってもメリットがないためです。この点については転職エージェントと比べるとモチベーションが全く異なります。
③先生が探して直接応募
近頃は医療機関がホームページを持つのが普通のため、ホームページ上で医師募集を行うところも増えました。中には直接応募した先生には、入職お祝い金として数十万円を支給する医療機関もあります。医療機関のことを考えると直接応募してくれた方が嬉しいのではないかと、ご自身で応募を考えている先生もいるかもしれません。
たしかに先生を採用する医療機関としては、先生が直接応募してくれた方が、たとえお祝い金を支給したとしても数百万円単位でお金を節約できます。医療機関としては助かるでしょう。しかし先生の立場で考えと微妙です。
医師求人会社を利用した場合のほうが、条件の交渉をすることにより、お祝い金よりもはるかに多くの利益を得ることができる可能性があります。給与や勤務条件次第では、数ヶ月で簡単に取り返せてしまうことも普通です。また事務的なことや、様々な雑務を考えると、全く割に合いません。
医療機関としては、コストはかかるものの、直接応募の人よりも求人会社を介した方が安心できるそうです。求人会社から事前に履歴書などを貰って情報を得ることができるので、全く求めていない医師からの応募はカットできます。また医師免許の確認など身元確認も医師求人会社に登録した時点でおこなっています。これは先輩の開業医の先生から伺った話ですが、医師免許を持たない人が、医師と称して応募してきて、非常に困ったことがあったそうです。医療機関によっては直接応募は受けていないのは、リスクマネジメントのためでしょう。
自力での転職を勧めない理由
自力での転職はオススメできず、医師求人会社を利用した方が良い理由を解説していきます。
求人を探すのが困難
そもそも自力で転職できる医療機関を探すことが難しいです。自院のホームページに求人案内を載せている医療機関もあるにはありますが、まだ数は多くありません。ホームページに求人を出していないだけで、先生の転職候補から自動的に外れてしまいます。またそのようなページは、多くの人目に触れるので、具体的な年収や待遇は公開されていません。もちろん採用担当の事務の方に問い合わせれば教えてくれますが、いちいちそんなことを行うのは非常に面倒です。自力で転職を行う最大のデメリットは、そもそもどこの医療機関が募集しているのかの情報を得るのが難しいことです。求人情報がなければ転職活動を始めることすらできません。
交渉ができない
給与や労働条件の交渉も自力の場合が先生ご自身で行わなければなりません。多くの先生は転職に慣れているということは無いでしょう。それに対して医療機関は多くの医師を採用したり面接をしてきた経験があります。交渉の場で経験値が不足しているのは圧倒的に不利です。場合によっては不利な状況での契約になってしまうリスクも十分あります。
労力がかかる
転職活動は、書類の準備や、面接の手配、日程調整、契約書類の締結など、思いの外やることが多いです。これらを先生が忙しい臨床をやりながら行うのはかなり労力がかかります。しかもそれが出来るようになったからといって、特に今後プラスになるようなことでもないです。医師求人会社であれはその点こなれていますので、おまかせしてしまった方が良いです。場合によっては履歴書の書き方なども添削してアドバイスしてくれます。このような雑務に時間を取られるなら、他のことにリソースを割いた方が転職が上手くいく可能性が上がります。
自力での転職は厳しい
求人を探すこと、情報収集、条件交渉、面接や書類などの手配、内定後の対応など、総合的に考えて、先生一人で転職活動を行うことは割に合いません。現在の状況では医師転職では医師求人会社を介するのが最適解と言えます。
たしかに自力で行うことにメリットもありますが、それは主に医療機関側のメリットです。先生のメリットはせいぜい入職時の手当なので、コストパフォマンスを考えると、自力の転職はオススメできません。
求人情報を得て、そこに直接応募はルール違反
医師求人会社のサイトに登録すると様々な求人が閲覧できます。ほとんどの医療機関は、その段階では医療機関名を公開しておらず、問い合わせて照会すると詳細な求人をみることができるシステムです。しかし中には医療機関をパブリックに公開しているところもあります。求人サイトから情報を得て、その医療機関にご自身で応募するのはルール違反に当たりますので禁止されています。これはやめましょう。
まとめ
結論として、自力での医師転職は難しく、労力的にもコストパフォーマンスが悪いです。先生は特に金銭的な負担もなく利用することができ、様々なサポートも受けられるので、医師求人会社を使わない手はないと思います。