入院患者さんを受け持つ場合でもオンコール免除の求人はあるのか?

医師の仕事が辛いと言われる理由の一つにオンコールがあります。入院患者さんを受け持っていると、24時間、365日、いつ病院から電話がかかってくるかわからないので、気が休まらず、プライベートも無くなってしまうためです。ご家族がいらっしゃる先生は、休日の予定もなかなか立てられず、家庭崩壊の原因になることもあるでしょう。そのため、家庭環境に変化があったときに、多くの先生が働き方を見直そうとお考えになるようです。

オンコール無しの求人を求め、外来や健診に特化した求人を探される先生もみえますが、オンコール免除希望の場合は、そのような求人に限られてしまうのでしょうか?今回はオンコール免除の求人について考えていきます。

入院患者さんを受け持つ場合は、オンコールはセットが多い

入院患者さんを受け持つ場合は、オンコールはありの病院が多いと思います。完全主治医制の場合は、夜間休日を含めて本当に休みがなくて大変だと思います。またグループ制で、数人で当番制を敷いているケースもありますが、オンコール当番が数日おきにあると、月に10回近くオンコール当番になることもあり、当直も合わせると、これもかなり大変だと思います。このような働き方では、ご自身の身体を壊す先生がいても不思議ではありません。

オンコールなしの仕事も探せばある

しかし時代の流れとともに、医師の働き方も見直されてきています。まだまだ上記のような形態も多いのが実情かもしれませんが、基本的には当直医師が対応し、オンコールは極力減らすような工夫をしている医療機関もでてきています。実際、オンコールなしの求人や、オンコール相談可能という求人は、常勤で入院や在宅で患者さんを受け持つ仕事でも、探せばあります。これは事実です。特徴としては、急性期の求人よりも、亜急性期、慢性期の対応が中心の病院の方が、この傾向があると思います。

実際私は入院患者さんを受け持っている病院で働いていましたが、その病院ではオンコールなしで、当直医師が全て対応するような体制でもっていました。自分が当直の時は、他の先生の患者さんも対応しなければならないので、やや大変ではありますが、それ以外の日はオン・オフの切り替えがはっきりしており、消耗してしまうようなこともありませんでした。

しかしそれでも年に一回くらいはオンコールがあった

基本的に当直で対応していただいていましたが、特殊なケースでどうしても主治医でないと変わらないケースでは、極稀に電話がかかってくることがありました。これはやむを得ないと思いますし、非常に稀なので、特に負担になることもありませんでした。たとえ電話にでれなくても、コールバックすれば問題なかったので、気は楽でした。

オンコールが苦手になった原因

少々話がずれますが、私がオンコールに対して苦手意識を持つきっかけをお話します。私は初期研修の頃に、病棟で何かあると、研修医に全ての電話がかかってくるような、かなり激しい病院にいたことがありました。その時は日中の忙しさに加えて、連日ロクに寝ることもできず、あまりの激務で体調を崩してしまいました。しかもすぐに電話に対応出来ないと怒られるような風土でした。それ以来オンコールが苦手になってしまい、一時期は電話をみるのも嫌な状況でした。そのため私は病棟を受け持って働くことは、難しいだろうと思っていましたが、幸いにも上記のようなオンコールが基本的にない病院と巡り合い、働くことが出来ました。

しかし、求人票の「オンコールなし」は、安易に信用しない

たしかに、オンコールなしの求人というのは、一定存在しますが、これをそのままの言葉で受け取るのは危険です。「オンコールなし」ではなく、「オンコール基本なし、必要な場合はあり、だけど普通よりは少なめ」というようなところもあるからです。これでは場合によっては、オンコールありとそう変わらないでしょう。

オンコールについてですが、これは本当に病院によって考え方が違います。たとえオンコールなし契約で入職しても、オンコールは主治医という考えが深く根付いている病院では、普通にかかってくる可能性があります。こればかりは求人票や、担当の人から話を聞くだけでは分かりません。可能な限り現場で実際に働いている先生に話を聞くことをオススメします。
(参考記事→入職前に実際に現場の医師に話をきく 実際に働いている先生へのインタビューについて

完全に免除希望の場合は、やはり、外来特化などの仕事を選ぶ

オンコールなしの勤務で、基本的に当直対応の病院でも、どうしても普段みている主治医でないとわからないことについて、コールがある場合もあります。これは職業上やむを得ないことなのかもしれません。年に一回というような頻度であっても、やはりオンコールが負担になる場合は、入院患者さんを受け持つ仕事は避けた方がよいと思います。外来や健診に特化した業務など、構造的にオンコールがおこりようのない仕事にする方が無難です。また訪問診療なども常勤の場合は入院患者さんを抱えているのと同じですので、非常勤の勤務を選ぶ方が良いです。

今の時代は転職が容易なので、仕事はご自身で選ぶことが可能です。わざわざ先生にとって負担になる仕事で頑張って消耗する必要は無く、先生が働きやすい環境を選べば良いだけです。オンコールなしの職場を選ぶことは、転職では一つの考え方であると思います。

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