
医師転職においては、転職してうまくいくパターンもあれば、なかなか思い通りの転職にならず、短期間で転職を繰り返すパターンもあります。正直転職は人の縁や運も大きく絡む世界なので、万全の対策を練っても上手く行かないケースもあります。相手がある世界なので、なんともし難いこともありますが、こちら側の対策で失敗を防げることや、成功率を少しでも上げる方法は存在します。今回はどのようにすれば転職成功率を上げることが出来るかについて、検討していきます。
時間をとる。
医師転職では時間的に余裕があるか、ないかはかなり重要です。たとえば転職時期が差し迫っており、1ヶ月で決めなければならないとすると、その1ヶ月の間に出会った求人しか選択肢はありません。逆に1年の猶予があるとすると、その間にかなり大きくの求人情報をみることができます。先生に希望に合致する求人に出会える確率も上がります。多くの求人をみると先生の求人を見極める目も慣れてきて、優良求人とそうでない求人を見分けることができるようになります。ご自身で求人票からある程度の判断ができるようになれば、しめたものです。あとは先生のご希望にマッチする求人が流れてくるのを待ち、タイミングを逃さないだけで転職は成功します。
求人エージェントに相談するケースでも、時間的に余裕がある方が、先生の希望にマッチするお仕事を提案してくれる可能性が高いです。転職においては、早めに手を打ち始めることが、単純ですが非常に有効な方法です。
先生の中には、あまりに早く探し始めると、退職のタイミングと合わないことを心配される方もいらっしゃると思います。もちろん急募求人など、明日からでも来て欲しいという求人も中にはありますが、全体からみれば少数です。多くの場合は先生の退職タイミングに合わせて入職時期を調整してもらえます。そのため転職活動を早く始めることをためらう必要は全くありません。もし先生を急かすような求人があれば、そのお仕事は避けたほうが無難と思われます。何か急がなければならない理由があるとすると、良い職場である可能性が高いとは考えにくいためです。
また転職活動を始めたからと行って、必ず転職しなければならないわけではありません。転職市場を見た結果、現在の職場に納得され、転職を止める先生もいらっしゃいます。それはそれで全く問題なしです。むしろ現状の職場に納得感をもって続けることができるならば、その転職活動は全く無駄になりません。
ただこの場合注意が必要なのは、転職エージェントは先生に転職を勧めてくるということです。転職会社としては、斡旋しなければ商売にならないのでこれは当然の心理です。当サイトは医師寄りの立場なので、一応注意喚起をさせて頂きます。ただ優秀なエージェントは経験上、無理には転職を勧めてきません。先生と信頼関係を構築する方が、長い目で見るとお互いに利益があることを知っているのでしょう。
複数サイトを比較する
転職ではいくつかのサイトを比較検討することが重要です。結構大手のサイトでも、A社にある求人がB社には載っていないなんてことは、ザラにあります。また経由するサイトによって、微妙に待遇が異なることもあるので、そのような意味でも、複数社のサイトを使用することが重要です。(A社では交通費実費支給の一方で、B社では給与にマルメなど)。当然ですが、高待遇のサイトから問い合わせをした方が先生に有利に働きます。
エージェントとの面談はあまりに多いと先生の負担になると思いますので、2-3人と会ってみると良いでしょう。何人かと面談すると、求人の目が磨かれるのと同様に、優秀なエージェントか、信頼できるエージェントであるか、段々見分けがつくようになってきます。いい転職エージェントに巡り会えると、転職には非常に大きな味方になります。
色々な人の意見をきく。
転職は孤独な作業です。だんだん煮詰まってきてしまうこともあると思います。そのような時は、色々な人に意見を求めてみることがヒントになったりします。もちろん転職エージェントは利害関係があるので、自社の求人を押すでしょうが、それでも話をしてみると気持ちが楽になることもあります。一番よいのは、フラットな第三者に話をしてみることです。同僚ではなく、他院に勤めている友人医師などがよいでしょう。意外にも同業者でない友人に話をしてみると、より客観的にご自身の状況を俯瞰できることもありオススメです。やはり医師は他業種に比べて、なんだかんだ言っても恵まれています。
もちろん最終的には先生のお気持ちが一番大切です。相談したことでかえってご自身の軸がブレてしまうと、転職失敗のリスクとなりますので、そこはもちろん注意が必要です。そのような意味では、相談する相手を選ぶことも必要です。たとえば友人医師に相談するにしても、急性期でバリバリやっている人に、先生がダウンシフトして働きたいと言ったら、おそらく良いアドバイスは難しいでしょう。
譲れない条件を明確にする。
転職活動を勧めていくと、途中で当初の希望がわからなくなってしまうケースがあります。たとえば当直をやめたいから転職活動を始めたのに、途中で当直はあってもいいから今より給与がよければ転職したい!、、というように最初の軸がブレてしまうケースです。特に時間がない場合や、思うような求人に巡り会えない焦りがあると、安易に妥協をしてしまいやすくなります。
そのため、可能なら転職活動を始める時に、先生の転職のきっかけや、希望の条件を明確にしていおくことをおすすめします。スマートフォンのメモなど、簡単なものでもかまいません。当初の気持ちや希望を記したメモがあるとないとでは、後に大きな違いがでてきます。こちらの条件は転職活動を進める過程で変わっても、もちろん問題ありません。転職活動中に新たな希望がでてくることも多いと思います。どんどんメモを編集していくと、先生ご自身の転職の軸が明確になり、成功しやすくなります。
ご自身の気持ちを貫く
最終的に一番大事なのは、先生のお気持ちです。上の色々な人の意見をきくことと、矛盾するかもしれませんが、色々な意見を聞いたことで、かえって当初の目的や希望がわからなくなってしまうことがあります。転職に煮詰まった状態が、一番妥協してしまいやすく、心理的には危ない状態です。もしどうしても気持ちがまとまらないときは、思い切って転職活動から一度離れてみるのも大事です。一度距離を置いてみて、客観視できるようになると、案外あっさり解決することもあります。
家族に応援してもらえる。
意外かもしれませんが、家族の応援はかなりプラスに働きます。最も身近な人の理解があるとないとでは、先生の気持ちの負担も全然違います。可能な限り家族には応援してもらいたいものです。家族との話し合いの中で、先生の本当に大切にしたいことや、希望がみえてくることもあります。特に家族との時間を作るために転職を始めようとする先生は、家族の希望も事前に聞いておくと、スムーズに進みます。家族の希望は、先生にとっては意外なものである場合もあります。転職をきっかけにご家族との今後のプランニングを見直して見ることも非常によいと思います。