医師求人会社の転職エージェント

医師の転職では医師求人会社を経由しての転職が一般的です。求人会社で実際に先生の転職をサポートしてくれるのは、求人会社の転職エージェントです。エージェントの能力や先生との相性が、転職成功のカギを握っているといっても過言ではありません。以下で解説をしていきます。

先生を全面的にサポート

転職エージェントは先生の希望する条件にあった転職先を探すことから、書類の手配、条件交渉、面接時の動向、内定後の対応まで、転職に関する諸々のことを全面的にサポートしてくれます。忙しい先生が自力でこれらのことをすべてご自身で行うことは現実的ではありません。それよりも、複数の求人会社に登録してアンテナを張ったり、先生の希望する条件を煮詰めたり、空いた時間に先生も求人サイトで検索して市場をチェックすることにリソースを割いた方が建設的です。現在の医師転職は、医師求人会社、転職エージェントの助けなくしては困難なものとなっています。

料金は無料

先生が転職に成功した際に、医療機関側から医師求人会社へ成功報酬が支払われるので、先生がお金を負担することはありません。そのため先生としては求人会社を利用しない手はありません。もちろん、転職活動の途中でやっぱり転職を辞めたり、希望したところから内定がでなかった場合などでも、先生のご負担はありませんので大丈夫です。

利益構造は参考記事で

医師求人会社の利益構造はこちらの記事も参考にしてください。(参考記事→医師求人会社の利益構造)。要するに、転職エージェントは先生に転職をしてもらいたいというわけです。先生の転職が成功して初めて報酬が発生するビジネスなのでそれは当然でしょう。そのため転職エージェントは必死に先生の希望に見合う転職先を探してくれます。事務的な準備も、条件交渉も積極的に行ってくれます。先生一人の転職で数百万円のお金が動きますのでそれは当然でしょう。エージェントの社内評価も転職成功の実績で決まります。そのため、行き過ぎたエージェントによっては強引に転職をすすめようとする人もいるので、その点は注意が必要です。

能力は個人差が大きい

私は今まで10人近くの転職エージェントと実際に面談した経験があります。その経験で感じたことは、転職エージェントの能力は個人差がかなり大きいということです。どういうエージェントが先生の担当になってくれるかで、先生の転職は良くも悪くも大きく左右されます。

転職エージェントには若手の方も、ベテランの方もいますが、年齢ではなんとも言えません。エージェント自身も転職して、この業界に入って間もない場合もあるからです。逆に若くても新卒から経験を積み上げてきたエージェントはかなり情報を持っていたり、やり手であったりします。

また注意が必要なのが、転勤して間もないエージェントの場合、その地域の医療機関についてあまり詳しくない可能性があることです。全国展開の医師求人会社も珍しくありません。例えば関東担当だった方が北海道に転勤した場合、転勤直後は北海道の医療事情については詳しくありません。たとえその方が優秀であったとしても、どうしてもその地域の事情を把握するには一定の時間がかかります。エージェントによってはその地域に詳しくない可能性もあることを覚えておいて頂ければと思います。

参考までに私が出会ったエージェントの方で何名かご紹介してみます。

エージェントAさん 

こちらの方は全国規模の大手医師求人会社の方で後期研修先を探しているときに出会ったエージェントでした。年齢は30代前半の比較的若い方でした。面接の際に私が気になっている求人をいくつかお伝えしたところ、面接時には、その求人に加えて、サイトには載っていない求人を含めて似た求人の資料を多く持ってきてくれました。また面接のときは表に出せないオフレコ情報を含めて色々と教えて頂きました。こちらの方は出会った中でも優秀な方であったと思います。

エージェントBさん

こちらも全国展開はしていますが、規模は中堅くらいの会社です。40代の方でしたが、あまり転職市場に詳しい様子はなく、不慣れな印象を受けました。もしかしたらこの方自身も転職して日が浅かったのかもしれません。そもそも最初からやる気があまり感じられない印象で、この方と信頼関係を築くのは無理だろうと思いました。転職エージェントとの信頼関係は転職成功には重要です。こちらの方の紹介で面接に行った医療機関がありましたが、先方にも話がうまく伝わっておらず、話も当然うまくすすみませんでした。また他のもう一つ他の医療機関に話を聞きに行った際は、〇〇社は評判がよくないから、先生も気をつけた方がいいと、先方の担当者が私のことを心配してくれる状況でした。結局それ以上話はすすみませんでした。先生も求人エージェントを選ぶ際は、信頼関係を築けるかが重要になりますので、この人は信頼できない、何かがおかしいと感じたらすぐに距離をおいてください。

エージェントCさん

こちらはやや規模が小さめの会社のエージェントでした。年齢は40歳前後の方です。こちらの方は会社の規模が小さいこともあり、扱っている求人がそもそも多くはなかったようです。私がこちらの方で印象的だったのが、私をなんとしても転職させようとする執念です。明らかに希望に合わないような求人も提案して来たり、ある時は標榜する診療科を変えて好きにやっていいから転職しないかという、かなり怪しいというかブラックな求人まで、どこからかはわかりませんが引っ張ってくることもありました。私はこの時は自分の転職のことで頭がいっぱいであったので、求人会社の利益構造にまで頭が回りませんでしたが、おそらく彼は自分自身の実績を上げること、もしくは会社からのノルマが大変だったのでしょう。よく思い返すと、こちらのエージェントと電話をした際に、電話の向こう側の忙しい、慌ただしい会社の様子がこちらにも伝わってくるほどでした。おそらく他の社員を含めて会社全体に余裕がなかったのでしょう。

優秀なエージェントの特徴

私が様々なエージェントと出会うことで感じた、優秀なエージェントの特徴について書いてみます。特徴としては以下の通りです。

①レスポンスが早い 
②こちらの想定以上の提案
③交渉してくれる 

①レスポンスが早い 

私が優秀と感じたエージェントはみなレスポンスが早いのが特徴でした。メールは遅くともその日のうちに返信がありましたし、即レスも普通でした。また時間がかかる内容は、その旨をすぐに知らせてくれました。状況が進んでいるのか、忘れているのかで何日も悶々とするようなことはありません。条件の問い合わせなども、医療機関にその日のうちにコンタクトを取ってくれるなど、フットワークが軽く、一体いつ休んでいるのだろうと思うほどでした。実績を出しているエージェントは複数の案件を同時に抱えているので多忙です。多忙な人ほどどんどん仕事を片付けないと溜まってしまうので、返信が早い気がします。レスポンスの速さは一つのポイントです。

②こちらの想定以上の提案

初めて転職エージェントと面談する際は、事前に気になる求人を伝えることが多いです。そのため面談時にはかならずその求人資料は持ってきてくれます。優秀なエージェントだと、似た求人の資料も持ってきて提案してくれます。その中から、こういうような求人が良いと伝えると、後日メールで該当する医療機関の情報を大量に送ってくれます。しかも対応が早いです。こちらが想定している以上の提案をしてくれるエージェントは優秀な方である可能性が高いです。

③交渉力が高い

交渉力もエージェントの大切な力の一つです。医師の転職では、少しの交渉で年収が数百万円単位で変わったり、オンコールや当直の回数が変わることは普通です。時短勤務なども個人で交渉するのが難しいですが、慣れた転職エージェントの場合は先生の願いを叶えてくれる場合もあります。もちろんあまりに無理な要求は通りませんが、少しの交渉で転職後の状況が大きく変わることは普通です。希望があれば交渉してもらう価値は十分あります。そして交渉力はエージェントの力量にかなり左右されます。同じ求人でも誰に仲介してもらうかで、待遇がまったく変わってしまうこともあるのです。優秀なエージェントを味方につけることは先生の転職で大きな力になります。

合わない場合は、深入りしないで他に移った方がいい

転職エージェントは優秀かそうでないかに関わらず、この人とは相性が良くないと思ったら離れたほうがよいです。結局のところ人間同士の関係なので、どうしても相性の問題はあります。相性が合わない人と信頼関係を築くことは正直難しいです。転職活動では、エージェントと先生は一蓮托生です。思うように転職活動が進まないときほど、信頼関係が大切になります。信頼できないエージェントとが提案してきた求人に、多くの先生は転職しようとは思えないはずです。相性がよくないと感じた場合は早めに他の会社に移りましょう。それがお互いのためであったりもします。

まとめ

転職エージェントはうまくハマると先生の転職の大きな助けになってくれます。最初からうまく良い人が見つかればよいですが、これについては運になるので、最初から複数の求人会社を利用した方が良いです。先生も実際何人かのエージェントと会ってみると感覚がつかめると思います。特に最初の転職時は先生も転職に慣れておられないので、注意して転職活動を勧めて頂ければ幸いです。