
今回は総合診療科への転科の話題です。一般内科と重複する部分も多いですが、認定資格のことなど総合診療科に特徴的な部分もあります。
概要は一般内科の転職とほぼ同じ
総合診療科は大学病院など一部と除き、普通の病院での勤務は、ほとんど一般内科の仕事であると思います。転職市場で総合診療科という募集は少なめなので、科目としては一般内科で検索をすると良いでしょう。
認定医は比較的、敷居が低い
総合診療科の特徴は、認定医になるハードルが比較的低いことです。臨床医としての活動歴が満7年以上あることが条件で特に診療科の制限もありません。内科の先生が取得する傾向にありますが、整形外科の先生が持っている例をみたこともありますし、比較的門戸が広いです。学会は日本プライマリ・ケア連合学会になります。特定の認定施設での研修歴も不要なので、臨床経験を満たせば、多くの先生が取得可能な資格になります。
専門医は3年間の研修が必要
専門医は認定医よりハードルが上がります。3年間の研修が必要で、そのうち一部の期間、いわゆる僻地での臨床経験が必要になります。しかし逆に言えば3年間の研修で受験可能になるので、状況が許す先生にはチャレンジする価値のある専門医であると思います。他の診療科に比べて、研修年数、難易度ともにチャレンジしやすいと思います。育児休暇、介護休暇などで中断しても、再開すれば行った研修はしっかり引き継ぐことが可能です。また総合診療科は他の診療科に比べて、比較的小規模の病院でも取得が可能です。小さい病院だと色々と融通が効きやすいというメリットもあります。もし新規に専門医を取得しようと思う先生には一考の余地があると思います。
今後のニーズは高いと考えられる
総合診療科は国が主導して専門医制度を作ったこともあり、今後伸びる可能性が高いと思います。まだ希望する医師も専門医の数も少ないため、チャンスがある診療科です。かかりつけ医制度が導入されれば、中心的な役割を担う可能性が高いです。在宅診療、開業、老健や特養などの施設管理も含め、担う仕事は多岐にわたります。そのため転職市場でも選択肢が多いです。どうしてもスペシャリストの方が花形であり、人気がありますが、ジェネラリストも今後は見直される可能性は十分あるでしょう。
ブランクがあっても復帰しやすい
総合診療科は育児や介護などを理由に、一時的に臨床を離れなければならない先生も現場に復帰しやすいということがあります。スペシャリストの世界は日進月歩なので、数年現場を離れるとその間を埋めるのは大変です。しかしジェネラリストが多く担う部分は、大きくは変わらないため、多少現場を離れても復帰はしやすいです。
時代にあわせて変化しやすい診療科
ジェネラリストは時代の流れに対応しやすいです。市場のニーズが変われば、これからは医師も変わらなければ生き残れない状況になって行くと考えられます。現在は在宅診療の診療報酬が優遇されていますが、ジェネラリストで経験を積んでいた医師はこの流れに上手く乗ることができました。今後別の領域が優遇されても、もっとも早く対応できるのはジェネラリストの医師であると思います。ライフステージで働き方が変わっても長く臨床を続けたい先生にも良いでしょう。
今回の記事で総合診療科に興味を持った先生がいらっしゃいましたら、是非一度考えてみて下さい。