常勤転職の最適解

シリーズ 医師転職の最適解

医師転職は先生によって、状況、希望条件が異なるため、最適解は先生それぞれで異なります。それを承知の上で、当サイトでは、経済面、QOLを最大化する方針で、医師転職の最適解を考えてみようと思います。先生が転職する際の、ひとつの参考としてご覧いただければ幸いです。


今回は週5日の常勤勤務での最適解を考えてみようと思います。

常勤転職の最適解

在宅診療クリニックで働く!
私は常勤勤務の最適解の一つは、在宅診療であると考えています。以下でその理由と、デメリットについても考察していきます。

理由1 給与が高い。

在宅診療は診療報酬面で優遇されています。また訪問診療は月1-2回定期的に行うことが決まっており、患者数も安定しており、確実な収益が見込めます。そのため医師の給与も、通常の病棟管理や外来診療に比べて、給与が高めです。
週5日であれば、諸手当含め年収2000万円を超える求人も少なくありません。

理由2 クリニックによっては、オンコールや当直なしもある。

在宅クリニックでは、オンコールや当直を外部の先生にお願いし、常勤医師でも免除してくれるところも、探すと割と存在します。オンコールがあると夜間や休日も緊張が切れないので、入院患者さんを受け持っているのと同様に大変になってしまいますが、最近はオンオフの切り替えを重視する在宅クリニックも多いので、働きやすい環境が整ってきています。

理由3 多くの診療科から転向しやすい

在宅診療で必要とされるスキルは、専門的なものというより、医師として全般的な診療です。全身管理ができれば、特に診療科は問われない場合が多いです。在宅診療の経験がなくても、研修制度を設けているところも多く、在宅に参入する医師が少ない今のうちに、経験を積んでおくのはよいと思います。また皮膚科、泌尿器科、精神科など専門性を活かした在宅診療も出てきており、さらに活躍の場が広がっています。

デメリット1 診療報酬改定の影響は避けられない。

在宅診療の給与が良いのは、診療報酬が高いためです。そのため診療報酬が下がった場合は、医師の給与も下がることは避けられない状況です。
国としては、ハコモノの施設を作るよりも、在宅診療の点数を上げて、在宅でなるべく診てもらったほうが、トータルでは良いという方針のようです。今後この方針が急激に悪化することは当面はないかと思われますが、在宅診療が最も優遇されていた時よりは、保険点数も厳しくなっている状況ではあり、今後の動向には注意が必要でしょう。

デメリット2 オンコールや当直があるとQOLは下がる

在宅診療でQOLも重視したい先生は、オンコール、当直なしの在宅クリニックを探すことが重要です。オンコールがあると、QOLはかなり下がってしまいます。在宅診療で常勤を探すときは、求人エージェントにその旨をよく話しておくと時間を無駄にせずに済むと思います。オンコールに限りませんが、譲れない条件は、最初にはっきりと、遠慮なく伝えておくのが、転職成功のコツです。

デメリット3 在宅診療が苦手な先生もいる

在宅診療では、基本的に個人宅に入って、診療を行うことになります。先生によっては、見ず知らずの他人の家に入ることに、抵抗がある場合もあるかもしれません。ケースにもよりますが、衛生的に問題がある場合もないわけではありません。。。中には施設中心の在宅診療もありますが、個人宅が全くないのはかなり珍しいです。人の家に入ることに抵抗がある先生は在宅診療は避けるのが無難と思います。

また地域性を考慮することも結構重要です。比較的富裕層が多い地域では、きれいな個人宅が多いので、クリニックの診療範囲、患者層も転職の際には考慮しましょう。

給与を上げるためには?

給与に関しては、やはり都心よりも地方の方が優遇されている傾向です。居住場所にこだわりがない先生は、全国規模で範囲を広げて探してみるといいでしょう。引っ越し補助、宿舎の用意、単身赴任で帰省手当を出してくれる、などタイミングによってはかなり待遇のよい求人も見つかります。しかしその場合は、医師不足の地域であることも多く、ある程度の当直も必要になるかもしれません。

とある在宅診療の話

余談ですが、私はとある山奥の診療所に研修に行った経験があります。その診療所は高齢の先生が一人しかおらず、当直、オンコールともに、常にその先生が対応されていました。患者数も非常に多く、一人でその地域の医療を支えている状況で、地域の皆さんにも非常に尊敬されておりました。私にはとても真似できない環境で働かれており、本当に頭が下がりました。

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