一般内科への転科

今回は転科の中でも人気である一方、敷居の高さからなかなか踏み出せない内科への転科についての記事です。

一般内科への転科は現実的

まず最初に申し上げたいのが、一般内科への転科はきちんと対策を立てればかなり現実的な転科のひとつということです。循環器や呼吸器など専門の内科はハードルが高いですが、比較的小さい病院の全般的な内科を診るのであれば、そこまでハードルは高くありません。元の診療科にもよりますが、転科後1年くらいは勉強することも多いのでやや大変です。しかしそれを乗りえれば後は道なりになります。

元の診療科の知識が活きる

また一般内科では先生の元の診療科の知識を活かすシーンが必ずあります。他科の経験は決して無駄になりません。またある程度内科の経験を積んだあとは、内科以外の専門知識も持つことで、他の内科医と差別化することが出来、先生独自の強みとなります。再転職の際もよりよい条件やキャリアアップが期待できます。

転職例

ここでは友人医師の内科への転職例を2名ご紹介してみます。

精神科→内科

元々精神科専門医の先生でしたが、精神科病棟での内科的な管理をご自身で出来るようになりたいとのことでいらっしゃいました。最初は救急科から研修医と混じって仕事を開始され、その後内科医師とマンツーマンで内科的な病棟管理も学んでいらっしゃいました。赴任された当初は最初が救急だったこともあり、かなり忙しそうでしたが、週一回の他院での精神科外来も併行して頑張っておられました。

美容→内科

もうひとりの先生は、初期研修後に元々目指されていた美容の業界に入られましたが、想定していた仕事内容とギャップがあり、また美容業界特有のややブラックな面に耐えきれなくなり、一般内科への転科を希望されいらっしゃいました。保険診療から数年遠ざかっていましたが、元々優秀な先生であったこともあり、すぐにどんどん知識を吸収して内科病棟の戦力になられました。この病院では以前にも内科へ転科した先生を受け入れた実績があり、指導体制も整っていたのも良かったのかもしれません。

専門医にこだわらない方が転職はしやすい

専門医を目指すかどうかという問題ですが、やはり専門医にこだわらない方が転職はしやすいです。元々他の診療科で専門医をお持ちの先生は、元の専門医を維持する方向で考えても良いかもしれません。専門医を希望する場合は、はじめから専門医の取得が可能な施設を探したほうがよいです。専門医取得にはどうしても数年かかりますし、レポート等も身近に書いたことがある人がいると、指導してもらえる可能性があります。

以前は内科認定医の制度があったため、こちらは認定施設に1年勤めれば受験資格を得られました。しかし専門医制度の変化に伴い、現在は新規では取得できない状態となっています。

専門医がなくても良ければ、カリキュラムにとらわれる必要がないので、先生が学びたいことを中心に教えてもらうことも可能です。たとえば開業を目指している外科の先生が、開業後は内科も標榜したいため、勉強のため就職したいケースがあるとします。この先生にとっては、病棟管理をやるよりも、外来や訪問診療を重点的に学んだ方が将来的には有効です。事情を説明すれば、相談に応じてくれるケースはわりとあります。そのため純粋に内科を学びたい先生なら資格にこだわらなくてもよいと思います。専門医にこだわらなければ、内科を教えてくれる医療機関ならクリニックを含めてどこでも候補になります。

先生の元の診療科の経験、知識をアピールするとプラス

また元々専門をお持ちの先生であれば元のキャリアをアピールすると、さらに就職しやすくなります。内科を学ぶことの交換に、今ある先生の知識や手技を提供することができれば、対等な関係で転職できます。例えば元の診療科の外来を1単位担当することなどを提案してもよいでしょう。転職先の医療機関としても、先生の知識や経験は非常にありがたいものです。特に医師が少ない地域や病院では、医師が来てくれるだけで感謝されるようなケースもあります。

まとめ

転科当初はたしかに多く学ぶこともあり、大変なこともありますが、一般内科への転科は現実的な選択肢の一つです。私の周りにも最も多い転科先は一般内科です。内科への転科を検討されている先生は是非参考にしてみてください。
転科の転職は、転職の世界でもやや特殊なケースですので、可能であれば転職斡旋の経験をもつエージェントに依頼するのがよいと思います。また求人会社によっては、転科については最初から乗り気でない対応のところもあるようなので、求人会社の選択肢は多めに持ったほうがよいと思います。ダメだと思ったら早めに見切りを付けて他に移りましょう。通常は3社をオススメしていますが、転科の場合は5社ほどは登録して選択肢を多めに持った方がよいと思います。

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