
転職における収入の話題です。基本的に多くの先生は転職する際は以前の職場よりも年収アップを目指すことが多いと思います。しかしお金よりも、仕事を減らしてQOLを重視したいケースや、転科を目指すケースもあり、その場合は以前よりも年収が減ってしまうこともありますが、工夫次第で維持することもできます。
基本的には年収アップを目指す
多くの先生はせっかく転職をするのであれば、年収アップを目指すのではないでしょうか?実際今と同じ内容の仕事でも、勤務先を変えるだけで年収が上がることは普通にあります。転職市場をチェックしてみると、市場価値よりも低い年収で働いてしまっている先生は少なくありません。そういう意味でも平時から転職市場の動向を見ておくことは価値があります。
今と同じ労働条件で年収アップを目指すには、単純に転職するだけで上手くいく場合もありますが、今の年収がある程度高い場合は少し工夫が必要です。
今回は仕事の内容は変えずに、年収アップのための戦略を考えてみます。
1. 働く場所を変える
働く場所ですが、場所にこだわりがなければ、年収アップは容易です。需要と供給のバランスから、医師不足の地域の方が年収は高くなる傾向にあります。地方や、都会でも交通の便がやや不便な地域では年収が他の地域より高めで設定されていることが多いです。
これは保険診療の構造を考えてみると簡単にわかります。保険診療は日本全国料金は一律です。銀座の一等地にあるクリニックでも、山奥にあるクリニックでも、受診した場合料金は変わりません。都会よりも田舎の方が圧倒的に土地代は安いため、賃料を中心にランニングコストが安くすみます。同じ患者数を診察した場合は、ランニングコストが安い分、先生の人件費を多く払うことが可能です。
2. 急ぎの求人に応募する
急な医師の退職などで、急募している医療機関がたまにあります。このような案件は、医療機関側が急ぎで医師を確保する必要があるので、通常よりも有利な条件で転職できることがあります。このような案件に巡り合うことは稀ですが、上手く活用すると、先生の希望が通りやすいので、年収に限らず、他の待遇面でも好条件で転職できることがあります。
しかし医師が一斉退職した場合など、医療機関に構造的な問題がある場合が注意です。ブラックな環境ではないかをチェックする必要があります。
転科の場合、収入は下がってしまう傾向。
転科については、他の記事でも解説していますが、年収の面ではどうしても下がってしまう傾向にあります(参考記事→転科一般の知識)。最初の数年は研修のような形で即戦力になることが難しいため、交渉もしにくい面があります。もし年収を維持したい場合は、常勤を週4に押さえて、週1で元々の診療科の非常勤を兼任することが考えられます。その場合非常勤先は単価が高めのところを探しましょう。
QOL重視の転職も収入は下がってしまう傾向。
いままで急性期の忙しい病院に勤めていた先生が、少しゆっくり働くために転職するケースです。当直を元々やっていた先生が、当直なしで働く場合は、どうしても年収は下がってしまう傾向にあります。QOLを重視して、年収をそこまで求めないケースでは問題ないですが、子育てを理由に仕事をセーブする場合などは、お子さんの今後のためにもお金は必要でしょう。その場合は、こちらも非常勤をうまく併用すると収入を維持できる可能性があります。
またQOLを重視する医療機関では、有給休暇もフルで使えるところも少なくありません。有給休暇をとって月に1日でもスポットアルバイトに行くと、収入の助けになります。スポット勤務でも、自由診療や訪問診療、夜遅くまでの外来を行うと、一日で10万円近く収入を得ることも可能です。スポット勤務を上手く使えば、年収を100万円以上アップすることも現実的です。
非常勤をうまく併用する手法
転科やQOL重視の転職の場合、非常勤を併用することで、収入を維持できることがあります。常勤を週4日に抑え、週1回非常勤を兼任するような形です。週4日であれば、対応可能な医療機関が多いですし、常勤で採用してもらえます。常勤であれば健康保険、厚生年金にも加入できます。
非常勤の勤務先ですが、単価が高い自由診療や訪問診療の勤務がオススメです。自由診療で問診中心のアルバイトであれば、診療科に関係なく勤務可能です。訪問診療では元々の専門性も活かしつつ勤務することが可能で、日給10万円も現実的に可能です。週4日の常勤+高単価の週1非常勤を上手く活用すると、収入を維持ないしアップが見込めます。また体力がある先生は非常勤を週2に増やしたり、常勤で有給休暇を取得してスポットでアルバイトをすることも可能です。
このケースでは、収入にもよりますが、週5日で勤務するよりも、社会保険料(健康保険、厚生年金)を削減して手取りを増やせるといった隠れたメリットもあります。
収入面で安易な妥協はもったいない。
転科やQOL重視など、高収入を目指すにはやや不利な転職の場合、収入のことは二の次にしてしまう先生も多いですが、少しの工夫で収入は維持できます。医師の場合、収入の戦略を立てるか否かで、年間数百万円の規模で違いが生じます。本来は得ることができた収入を手放してしまうのはもったいないことです。転職の一手間が生涯年収を数千万円単位で変えてしまうこともあるので、今回の記事が少しでも先生の転職、資産形成の参考になれば幸いです。
戦略的な転職は優秀な転職エージェントと行うことが必要です。元々週5日募集の求人の場合も転職エージェントの交渉で週4日に変えることは求人によっては可能な場合もあります。非常勤のアルバイトも併せて相談に乗ってくれます。医師求人会社は下記を参考にしてください。