自分の時間を取り戻す転職プラン

医師の仕事は本当に忙しく、過酷です。学生時代から、研修医、専攻医とその後も休むことなく忙しく働かれている先生も多いと思います。臨床経験もある程度積んで、一通りのことはご自身で出来るようになった頃、それまでの疲れがどっと出てくる先生も見えます。そのような時期に転職を初めてお考えになる先生も多いようです。

転職を機に、先生ご自身の人生を取り戻したいと思われる先生もいらっしゃると思います。今回はそのような先生に向けたプランを考えていきます。

非常勤の仕事は、ライフワークバランスを調整しやすい

上記のように、少々仕事に疲れが出てきて、仕事を完全に辞めたいわけではないけれども、ダウンシフトして仕事を減らし、ご自身やご家族との時間を確保したいという先生もみえると思います。そのような先生には、常勤よりも、非常勤のお仕事を週に数日行うことがおすすめです。非常勤のお仕事は先生の状況によって調整しやすいですし、オンコールや当直もありません。

たとえば週1日でも、日給10万円の高単価のお仕事を選べば年収は500万円ほど確保することが可能です。独身で生活コストを抑えれば生活は可能でしょう。それで週6日休めるのであれば、人生の大半をご自身のために使うことができます。人生の一時期このような時期があっても良いのではないでしょうか?

このような生活スタイルを、選ぼうと思えば選べる医者という仕事は、厳しい時代になったとはいえ、まだまだ恵まれていると思います。

おすすめは週3日の非常勤生活

さすがに週1日のアルバイトでは、多くの先生にとっては今までと落差がありすぎて時間を持て余してしまい、不安になったり、もっと働きたくなったりすると思います。私としては週3日の労働が一番バランスが取れているのではないかと思います。週4日と週の半分以上は休めますし、上記のように高単価のお仕事を選べば年収として1400-1500万円ほどは確保することが可能です。社会保険料の負担や税金もあるので、単純な比較はできませんが、これは一般的な病院での週5日常勤の年収に匹敵するものです。週3日でこの給与を確保できればご家族がいる先生にも現実的であると思います。

高単価をえらべば、意外にも高収入

上記のように非常勤で勤務日数を減らしても、高単価の仕事を選んで、戦略的に転職を行えば収入はそれなりに維持することは可能です。むしろ時間単価は上がるので、タイパ、コスパ的には非常に利回りが良くなります。収入面で常勤の忙しい現場を辞められないとお考えの先生は、一度非常勤の求人を覗いてみると、思ったよりも良いことに気づかれると思います。

このスタイルには、柔軟性、発展性がある

非常勤のお仕事で週3日から始めるとして、もっと仕事の割合を増やしたくなれば、週4日や週5日に増やすことも可能ですし、週3日ではやや多いと感じた先生は、週2日に減らすことも可能です。先生の状況や好み、スタイルに合わせてかなり柔軟に仕事を調整できることが、このスタイルのメリットです。

また常勤に戻りたいと思った際も、スムーズに現場に復帰できます。非常勤でも仕事を継続していれば、臨床の勘が途切れることもありません。採用する側としても、仕事を継続して続けていたことが分かればプラス評価に働き、安心して採用できます。

人生のある時期には最適かもしれない

医者の人生は、学生時代からの勉強の延長で、社会人になってからも、やはり仕事中心の人生を送られる先生が多いと思います。それはそれで非常に立派で誇れるものであると思います。ただ人生のある時期に、このように少しダウンシフトして、ゆっくり働きつつ、ご自身の生き方を見直すのも良いのではないでしょうか?

月並みな言い方ですが、人生は仕事だけではありません。仕事に人生のリソースを割きすぎて、ご自身のこと、ご家族との時間を犠牲にしてしまい、晩年後悔するハードワーカーは少なくないと聞きます。おそらくこの記事をご覧の方は、ほとんど医師で、多くの先生が勉強や仕事をハードにしてきた方だと思います。ここまで来るまでにも、多くのことを我慢して、犠牲にして、受験や仕事に勝ってきた先生だと思います。そのような先生へ今回の記事が、ご自身のことを大切にするきっかけにして頂ければ嬉しく思います。

医者は働き方を選びやすい

医者は資格職業なので、働き方が選びやすいです。医師を取り巻く環境は年々厳しくなっていますが、それでも現代の日本において、医師免許は依然としてゴールドライセンスであり、医師免許ひとつあれば、全国どこに行っても仕事が無いということはありません。非常勤で週1日から働けて、それだけでサラリーマンの平均年収を賄えてしまう仕事は、合法的で汎用性があるものは医師くらいでしょう。普段はあまり自覚をしませんが、私を含めて先生はこの恵まれた状況に実はあるのです。

もちろんこの状況はいつまで続くのか、先のことは分かりませんが、今の状況で、恵まれている面を思う存分享受するのは、生き方としては有効なのではないでしょうか。もちろん結果的には、一つの病院で長く勤めた常勤の先生が有利になる可能性はあります。しかしそうでない可能性もあります。大切なのは今の状況で先生の人生にとって、ベストと思われる選択をすることです。もし今の状況に迷いがあるなら、少し働き方を変えてみるのもありだと、私は思います。

非常勤の注意点

非常勤はメリットも多いですが、いくつか注意する点もあります。このサイトでも非常勤の記事は多くあるのでそちらもご参考に頂ければと思いますが、今回のケースで特に注意する点をおさらいしてみます。(参考記事→常勤か非常勤か? 非常勤転職の最適解 常勤医師の目に見えないメリット

勤務先の分散

勤務先は一つに絞らずに、分散することが重要です。週2日以上の場合は、かならず2つ以上の医療機関に勤務を分散させてください。非常勤はどうしても雇い止めのリスクと隣り合わせにあります。リスクヘッジは必ず必要です。

キャリアアップにはなりにくい

非常勤ではどうしても常勤に比べると、スキルアップやキャリア形成の面では不利になります。しかしすでに専門医を取得するなどのある程度の経験があり、それ以上のものを望まない先生であれば、特に問題にならないと思います。

一度非常勤に慣れると、もう戻れないかも(笑)

隠れたリスクとしては、一度非常勤の勤務を経験して、それがうまくハマった先生は、常勤には戻れなくなる可能性があるということです。常勤も非常勤もそれぞれメリットデメリットがありますが、非常勤の方が好きで続ける先生もいらっしゃいます。特に給与面や、自由なスタイルを重視する先生で、リスクを伴う働き方も受け入れられる先生には、非常勤にハマって抜け出せなくなる可能性があります。

働き方も多様性の時代

医師の働き方は、一世代前と比べるとだいぶ多様化している印象です。従来のスタイルにとらわれることなく働き方をご自身でカスタマイズして選べるのは、ある意味良い時代かもしれません。特にITの普及で以前よりも簡単に求人を検索できるようになったのが大きいと思います。一度出来始めたこの流れは、今後もますます加速していくでしょう。医師を取り巻く環境は年々厳しさを増すものの、時代の流れに乗って見方を変えれば、悪いことばかりではないと思います。

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