30代の先生の転職

今回は30代の先生の転職に関する話題です。30代は初めて転職する先生が多く出てくる年代です。専攻医を修了し、専門医取得後のキャリアを考えたときに、そろそろ転職をと考える先生や、医局を辞めて、ご自身で新たな道を模索される先生が多いです。転職市場でも募集が多い30代の先生の転職についてみていきます。

専門医の有無

この年代での転職は専門医の有無によって考え方が変わってきます。専門医を取得済の先生、専門医を取得されていない先生の場合に分けて考えてみます。

専門医取得後の場合

専門医を取得されている先生は、その専門を活かした転職が一般的になると思います。専門医取得済みであれば、先生のスキルは担保されているので、条件の交渉もしやすいです。さらなるキャリアアップや、症例経験を多く積みたい先生や、年収をアップを狙いたい先生など、ご希望に応じた転職先を探していくことになります。専門医があればすべてOKのような絶対的なものではありませんが、やはり客観的な資格を持っている方が、転職活動が有利に運べる場面もあります。

専門医取得前の場合

専門医を取得前の先生の場合、2パターンに分かれます。1つ目は専門医取得を目指すパターン。2つ目は専門医はとらない選択をするパターンです。

専門医取得を目指す

専門医取得を目指される場合は、専門医が取得可能な認定施設への転職が必要です。専門医取得の条件は学会によって異なり、また変わることもあるので、最新の動向をチェックしましょう。医師求人会社に相談して、〇〇専門医を取りたいので取得可能な施設を紹介してほしいと希望を出すと、該当する求人を紹介してくれます。ただ転職の求人数は限られてしまうので、あまり選ぶことはできない可能性もあります。また新専門医制度の影響で大学医局に所属しないと専門医取得が難しい診療科もありますので、注意が必要です。

専門医はとらない選択をする

専門医にこだわらなければ、転職先としては選ぶ幅がかなり広がります。今までの経験を活かせるような環境びつつ、条件も色々と選ぶことができます。しかし客観的に先生のスキルを示す指標がないので、場合によってはそこが不利になる可能性は否めません。現状は専門医の有無で診療報酬が変わることもなく、医師求人も専門医が必須のところは少ないですが、今後もし専門医取得が当たり前になった場合は、どうなるかわかりません。10年、20年先には専門医がないとスキルがあっても、転職市場では不利になる可能性は否定できないというデメリットがあります。

転科も診療科によっては可能な年代

30代であれば、まだまだ体力もあり、転科も現実的であると思います。転科先で専門医を取り直すことも診療科によっては可能でしょう。もし本格的に転科を考えておられる先生は、最後のチャンスとなる年代かもしれません。

家庭との両立

30代では家庭を持っておられる先生も多いので、その場合家庭との両立も課題になります。30代後半で、現場でも中堅医師になり、家庭を大切にしたいと、業務負担を減らした転職活動をされる先生もいらっしゃいます。病院勤務から、在宅やクリニックの勤務に以降し、休日やアフター5の時間を確保するというのも、ひとつの良い選択であると思います。

30代のキャリア形成は重要

一般的に医師の30代は若手から中堅になる途上で、専門医を取得したり、学位の論文を書いたりしながら、臨床もこなすなど多忙で、充実した時期であると思われます。この時期のキャリア形成は重要です。すなわち30代のうちに、どこで、どのような仕事をしていたかが、後の医師人生を左右するとも言えるでしょう。

しかし仕事だけではない

しかしながら医師の人生は仕事だけではありません。医師個人の人生としても30代は貴重でしょう。家族と過ごす時間、ご自身の趣味の時間、ゆっくり過ごす時間、旅行や好きなことをすること、どれも大切なものです。一度過ぎ去った時間は戻りません。転職が一般的になる前は医師のキャリア形成は限られた選択肢でした。しかし今は選ぼうと思えば多くの選択肢から選ぶことができる時代です。仕事に全振りするのが称賛される時代ではなくなりました。大切なのは先生が最も納得できること、幸せと思うキャリア、人生を歩まれることだと思います。

まとめ

30代は医師転職市場も活発です。選択肢も豊富にあります。先生にとってよりよいキャリア形成や人生設計に転職がお役立て出来るのであれば、利用しない手はないと思います。

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