優秀なエージェントとは

医師転職でもっとも先生に関わる人は、医師転職会社のエージェントです。
今回は私が出会った経験から、優秀なエージェントについて考えてみます。

そもそも求人エージェントとは

求人エージェントとは、医師求人会社の職員で、先生の転職を様々な面からサポートしてくれる人のことです。主な仕事は先生にマッチする求人の提案、紹介ですが、先方の医療機関との条件交渉や雇用契約の締結なども行ってもらえます。もちろん医療機関への質問や面談の調整などの事務的なことはお任せできますし、履歴書の書き方のポイントなども教えてくれます。
給与を上げる交渉や、時短勤務、当直免除などの交渉は先生が直接行うことは、敷居が高く、遠慮してしまう先生も多いですが、エージェントを介するので問題ありません。むしろ条件交渉がエージェントの腕の見せどころです。もちろんあまりに無理な希望は通りませんが、求人票で出ているよりも、良い条件を引き出せることは割と多いです。
私の具体例では、交通費が給与に含まれる求人だったところ、交渉してもらい、交通費は別途支給に改善してもらうことができました。何も言わなければ、まず先方からこちらに良い条件に変えてくれることはありません。私の例は小さいことかもしれませんが、交通費は非課税になることもあり、長期で勤務する場合はわりと大きな差になります。最初の交渉は後々に結構効いてくるので、思った以上に重要です。

優秀なエージェントの特徴

ここでは、私が実際に出会った中での、優秀なエージェントの特徴を挙げてみます。

レスポンスが早い

私が出会ったエージェントで、仕事ができるエージェントは、例外なくレスポンスが早い方でした。連絡を取ると遅くともその日の内にレスポンスがあり、先方に確認が必要なことなど、すぐに返答できないような内容でも、かならず現在の経過を細かく連絡してくれる方でした。なかには夜中にメールの返信があることもあり、いつ休んでいるのかとこちらが心配になるくらいの方もいました。資料も完璧でなくても、外出先でもとにかくすぐに一度はレスポンスをくれる方が多いです。

無理にすすめない

医師求人会社は、先生を医療機関に紹介する仲介業で成り立っています。求人会社としては、先生に転職していただくことで、成果報酬が発生します。そのため、求人会社としては、自分の会社が紹介した求人で、先生に転職してもらいたいという思惑があります。向こうもそれが商売なのですから、当然でしょう。そのため、転職エージェントによっては、何としても自分が紹介した求人に転職してもらおうと、色々言ってくる人もいます。普通のエージェントでも自分が紹介した求人と、他社の求人で迷っていると相談した場合、積極的に他社の求人をすすめることはしないでしょう。これは利益構造を考えればやむを得ないと思います。
しかし優秀というか、人との関係を大切にする転職エージェントは、無理に自分の求人をゴリ押しするようなことはまずありません。自分の手持ちに、先生にとって良いと思われる求人がない場合は、率直にその旨を伝えます。長い目で見れば、一時の目先の成果よりも、信頼を大切にした方が、良いということを認識しているのでしょう。

※余談 転職業界の裏話

これは医師業界に限りませんが、知り合いの先生から聞いた話では、数年おきに転職を促して、そのたびに手数料を儲けようとする会社もあるそうです。転職後、1年以内に離職してしまうと、紹介した医療機関からもらえる仲介手数料が減ってしまうという事情から、1年以上経過したところで、近況お伺いのような形で声をかけます。どんな優良な職場でも1年も勤めると、多少の不満や欠点は出てくるものです。少し不満が出たタイミングで、いまこんなオススメの求人がありますよ、と声をかけ、言葉巧みに転職を促すこともあるようです。これは医療機関としては仲介手数料を支払って入職してもらい、研修もして、やっと戦力になったようなタイミングで辞められてしまういう、医療機関泣かせのパターンです。この話は雇う側の立場である、開業医の先生から聞いた実際のお話しです。

長期の視点に立ってキャリアを考えてくれる

優秀なエージェントになると、先生のキャリア形成も長期的な視野でみて考えてくれます。常勤で優良な医療機関に就職し、定年まで勤めたいと考えているようなケースでは、年齢的なタイムリミットも場合によっては考えなくてはなりません。優秀なエージェントはそのような視点をもって、一緒に転職後のキャリアや生活も考えてくれます。定年後も嘱託職員として勤務を続けたい場合などは、そのような再雇用のシステムがある医療機関を選ぶ必要があります。ここまでのことを、先生個人で調べ上げて転職をすることはおそらく困難です。優秀なエージェントと組む必要があります。

転職後もフォローがある

転職エージェントとしては、転職を仲介すれば、そこで基本的には仕事は終わりです。しかし一部のエージェントは転職後も、近況の連絡をくれたり、、長期休暇前に出た優良なスポット勤務の情報を提供してくれたりします。(ちなみにこれは先ほどの度々の転職を斡旋することとは全く異なります)。仕事が終わっていても気にかけてくれる方はやはりこちらとしても嬉しいものです。もし再度私が転職しようとした場合も、やはりそのエージェントに仲介してもらおうと思います。

医療機関側からの評判もいい

優秀なエージェントは、医療機関の担当者からも信頼されています。エージェントと医療機関で信頼関係ができている場合などは、話が非常にスムーズに進みます。〇〇さんが紹介してくれる先生ならまず大丈夫でしょうという流れで、あっという間に話がまとまったケースもあります。
実際、私はとある非常勤に応募した際に、面接直後にエージェントの方から、(明らかにまだ医療機関に確認していないタイミングで)大丈夫ですと言われました。その方は同じグループの法人にいままで何人もの医師を紹介した実績のあるエージェントでした。そこまで権限があるエージェントは稀かもしれませんが、ここまでのエージェントがいるものかと驚きました。

逆に医療機関から、あまりいい印象をもたれていないエージェントは注意したほうがよいです。業界評判が良くない人は基本的に注意が必要かと思われます。これも私の経験で、偶然エージェントがいないタイミングで先方の医療機関の担当の方と一対一で話をしたときに、ここには詳しくは書けませんが、、、そのように感じました。

求人エージェントの出会いは縁

私はこれまで多くの求人エージェントと実際に面談などでやり取りをしてきました。優秀な方や、やや怪しい感じがする方、上司とともにいらっしゃった新人の方からベテランのエージェントまで本当に多様な方との出会いがありました。エージェントとの出会いは縁であり、先生にとってよい求人もやはりタイミングがあります。超優秀なエージェントでも、その時に先生にマッチする求人を持っていないこともあります。それはなんとも仕方のないところなのかもしれません。

人より多くの転職活動経験がある私が伝えられることは、最初の数人が合わないエージェントにあたってしまっても、決して諦めないで欲しいということです。エージェントはやはり人なので、先生との相性もあります。タイミングでどのような方にあたるかの運もあります。もし合わなければ、別の会社にあたってみましょう。実は大手でもいいとは限りません。中小の求人会社でも優秀な方は多くいます。転職活動は思うようにいかないこともあります。思うような求人や人に恵まれないこともあります。しかし続けていくと、いつか先生にとってよい転職ができると思います。これからも私は先生の転職活動を応援していきます。

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