転職のメンタルの保ち方

医師転職はスムーズに決まるケースもありますが、思うような求人がなかなか見つからず、メンタルが辛くなる時もあります。アプローチを変えたり、単純に時間の経過が解決することも少なくないのですが、途中で妥協してしまう先生もいらっしゃいます。今回は転職活動がうまく行かないときの考え方やアプローチの方法を解説します。

初心を忘れずに保つ

転職活動で最も大事なことは、先生がはじめに転職しようと思ったきっかけを忘れないようにすることです。とても単純なことですが、単純ゆえなのか、実行することは実に難しいです。転職活動を開始すると、なかなか思うような求人に出会えなかったり、面接までいったものの、内定しなかったようなケースにも遭遇します。多くのケースでは2-3ヶ月もするとだんだん気持ちが萎えてきます。例えば当初当直なしの常勤を探していたしとします。しかし思うような求人がみつからず、当直を少しならやってもいいか、、、というように妥協してしまうことはよくあります。

しかし当初の条件で、譲れないものについては妥協するのは避けましょう。これを妥協してしまうと何のために転職をするのか、分からなくなります。先生が希望する条件については、なんとなく頭で考えていると曖昧になってしまいがちなので、簡単なメモやリストを作成して見返せるようにしておくと便利です。

時間的に余裕をもたせる

転職には時間に余裕をもって行うことが成功のポイントであり、なおかつメンタル維持にも非常に重要になります。例えば先に退職をしてしまって、背水の陣で転職活動を行うのは危険です。転職はどうしても相手があることなので、先生の努力だけでは、どうにもならないケースもあります。よい求人が出てくるまで時間がかかるケースもあります。時間的に余裕をもって転職を開始することで、変に妥協してしまうこともなくなります。

ではどのくらい前から転職活動をするべきでしょうか?答えは転職を少しでも考え始めた時です。転職活動は長くとればとるほど先生の希望にマッチする求人が見つかりやすくなります。特に絶対に転職したいといった段階でなくても全く問題ありません。転職市場を少し覗いてみて、良さそうなものがあれば考えようかなという段階でも大丈夫です。むしろそのくらいの余裕がある方がいい求人が見つかりやすいと思います。

転職が決まってから退職をする

時間に余裕をもたせることにも通じますが、前の職場の退職は、転職先から内定をもらってからにしましょう。転職活動は、退職後に始めることではなく、退職前から入念に準備が必要です。転職先が決まらない段階で退職をすると無職の状態で転職活動をすることになります。これはやってみるとわかりますが、かなり精神的にツライです。また収入も入らなくなるので、金銭的にも追い詰められることになります。精神的、金銭的に追い詰められた状況で余裕をもって転職活動を行うことは不可能です。先生の状況にもよるかもしれませんが、可能な限り退職は内定後がよいです。

実は私にも無職の状態で転職活動をした経験があります。その際は前職のお世話になった病院がある手前、転職活動をすることに後ろめたさがあったのです。また地元に戻ろうと考えていたため、地理的に病院に面接に行くことや、地元のエージェントに相談することが難しかった事情があります。しかし今振り返ると、退職前に入念に準備をするべきであったと反省しています。土日や有給休暇を使えば、病院の面談も、地元のエージェントに面談に行くことも可能でした。転職活動を遅らせる言い訳として、自分に言い聞かせていたのでしょう。

私は退職後に転職活動を初めたので、時間的に余裕があったので、複数の会社と面談したり、少しでも気になる医療機関には話を聞きに行くなどはできました。しかし1ヶ月、2ヶ月と時間がたつにつれてだんだん追い詰められていくことになります。また社会的な所属を失った不安というものがこれほど堪えるとは思いませんした。人間は社会的動物であると身を持って知ったのはこの時です。最終的には決まりましたが、転職には時間的、精神的余裕が必須であることを学びました。

複数の求人会社への登録は必須

先生にとってよい転職先を見つけるには、複数の求人会社に登録は必須です。なかなか希望する求人が見つからない場合、単純に打席に立つ回数が不足しているだけの場合もあります。医師求人はもちろん会社によって重複しているものもありますが、その会社だけの独占求人というのもあります。当然その求人は独占している会社に登録しなければ情報が得られません。可能な限り求人会社への登録は3つ以上がオススメです。

もし迷うようなら一度白紙に戻すことも考慮

求人が思うように見つからない場合や、いくつか希望に近い求人は見つかったものの、どうもピンと来ない場合などは、転職自体を一度白紙に戻すこともありです。悪くはないけど、就職したいかと言われるとちょっと、、というような求人であれば転職はしない方が無難です。もし転職を急ぐ状況でなければ、時間をゆっくりかけて待ってみましょう。実は転職活動では待つことも大事な活動であったりします。

条件の視点を変えてみる

もしある程度長いあいだ、例えば1年以上転職市場をみているけれど、どうも思うような転職先が見つからない場合は、条件を見直してみたり、視点を変えてみると、案外あっさりみつかることもあります。いくつか例を上げてみます。

当直なしで、内科の病院勤務の常勤を探している先生では、当直なしを優先したいのであれば、訪問診療クリニックの常勤に切り替えるという手もあります。逆に常勤にこだわらないのであれば、内科外来を複数のクリニックで掛け持つという手もあります。

また年収アップを望む先生は、常勤は週4日でできるところを探し、週1回、訪問診療や美容など単価が高い非常勤を組み合わせることで実現できる場合もあります。週4日であれば常勤で採用してくれるところは多くあります。また非常勤を組み合わせると、社会保険料の負担が減ります。そのため手取りとしては普通に週5日常勤よりもだいぶ良くなることもあります。

危険なのは妥協してとりあえず転職

転職でメンタル的にも追い詰められた時に、もっとも避けたいのが、とりあえず妥協して転職をしてしまうことです。特に退職後に転職活動を開始された先生に多いです。これだと転職後に高確率で後悔することになります。もしかしたら転職エージェントは、とりあえず転職してから、転職後も転職活動を続けておいて、ある程度勤めた時期に再転職をしたらどうかと勧めてくるかもしれません。しかしこれは全くオススメできません。上記のパターンは求人会社が最も儲かるパターンのためです。先生の履歴書にも早期に転職した経歴は残ります。先生が納得した上で、再転職なら全く問題ありませんが、安易な転職は気力も体力も消耗するだけです。

まずはスポットや非常勤で立て直すのもよい

退職後に転職活動を行う場合、転職活動を行いながら色々なところでスポット勤務をするとよいです。経済的にも助かりますし、色々な現場を覗いてみると転職活動にも役に立ちます。働くことが精神衛生上もプラスになりますし、現場の勘も維持できます。

常勤をお探しの先生で、なかなか思うようなところが見つからない場合は、常勤にこだわらず、非常勤をいくつか組み合わせるのも良い手です。実は給与やQOLや自由度を考えると、常勤よりも非常勤をかけ合わせた方が良い場合もあるのです。

家族のサポート

転職活動を円満に行うには、家族を持たれている先生には、家族のサポートが重要です。家族が先生の転職を応援してくれていれば、メンタルも保ちやすく、結果的に転職活動は上手くいきます。

まとめ

転職活動がご自身のメンタルとの戦いと行っても過言ではないかもしれません。なかなか上手く行かず、行き詰まってメンタルダウンしそうなときは、是非今回の記事を参考にしてみて下さい。

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