週5常勤のまま年収を上げる

常勤で週5日、同じ医療機関にて勤務を行う形態は、最もスタンダードな働き方の一つです。最も安定している働き方の一つではありますが、その分、非常勤をかけ合わせるケースなど、他の雇用形態と比べると、ほとんど同じ内容の仕事をしているのに給与が低くなりがちというデメリットがあります。

それを改善するために、以前常勤の安定性も確保しつつ、給与や手取りを多くする戦略として、週4日常勤+週1非常勤という選択をご提案しました。これはこれで一つの最適解だと考えますが、週5日の常勤は維持したいという先生もいらっしゃると思います。
今回は週5常勤のまま年収を上げる方法を考えていこうと思います。

有給休暇を使って、スポットのアルバイトをする

週5日の常勤の先生は、有給休暇が年間10日以上もらえます。勤務年数が増えるごとに増加していき、6年半以上同じ医療機関で勤務している場合は、年間20日もの有給休暇が発生します。これをスポットのアルバイトに充てることで、年収アップを狙っていきます。

参考までに有給休暇の資料も掲載しておきます。週5日常勤の先生は、上の(1)の表になります。

厚生労働省のホームページより引用。

スポットのアルバイトでも高単価なお仕事を選ぶと、日給10万円を狙うことも可能です。やや勤務時間が長いお仕事や、訪問診療のお仕事では高単価を狙いやすいです。仮に日給10万円のお仕事を、年間20日間行ったとすると、それだけで年収は200万円アップさせることが可能です。有給休暇を取得した日に仕事をすることになりますが、もともと常勤先でも仕事をしていたと考えれば、そこまで負荷を増加させることなく、年収アップが可能です。

有給休暇の日にアルバイトはしても良いのか?

有給休暇は労働者の権利ですので、取得することに特に理由は不要です。医療機関の就業規則で、副業や兼業を明確に禁止している場合を除いて、他院でアルバイトをしても特に問題ないと考えられます。医師はそもそも兼業することが多い職種です。副業禁止の病院はあまり聞いたことがありません。公立病院に勤務している先生で、身分が公務員になるような特殊なケースを除けば、特に問題にならないでしょう。

確定申告が必要にはなる。

複数の医療機関から給料をもらっている場合、先生ご自身で確定申告をする必要があります。これが少々手間になりますが、特に難しいものではありません。アルバイト先、常勤先から源泉徴収票を無くさないように集めておけば、あとは手順に従って入力をしていくだけです。難しいものではなく、一度行えばこんなものかと思われると思います。

この手法はノーリスク

週5常勤を維持したまま、スポットアルバイトを増やして、収入を増やす今回の手法はノーリスクです。

週4常勤に移行した場合、また週5常勤に戻りたくなっても、すぐに戻れるかどうかは、相談になってしまいますが、今回の手法では、もし有給休暇の日に仕事をするのが負担になれば、好きな時に辞められます。また有給休暇のすべてを仕事に充てる必要もなく、例えば年間10日だけアルバイトをするようにしてもいいわけです。この場合、月に一回ほどの頻度でスポットアルバイトを行うだけでも、年収としては100万円ほど増額が見込めます。これをやるかやらないかでは、結構な違いがでます。

特に有給休暇を使用せず、知らず知らずのうちに消滅してしまっている先生は、非常にもったいないです。この手法を使えば、年間100万円以上の収入の差が生まれます。常勤で仕事をしている日に、別の医療機関で仕事をするだけです。労力としてはさほど違いはないと思います。同じ労力をかけるなら、良いパフォーマンスが出せたほうが良いと思います。ぜひ参考にしていただきたい手法です。

優良なスポット求人はどのように探すか?

この手法で難しい点と言えば、先生が有給休暇を取れる日に、優良なスポットアルバイトがあるかということです。たとえば常勤先で外来がある日や、重要な会議がある曜日が決まっていれば、その日に有給休暇をとるのは、ある程度前もって準備しないと難しいと思います。有給休暇を事前に申請していても、その日に仕事が得られなければ、その日は普通の休みになってしまいます。(それはそれで貴重な日になるかもしれませんが。)

私が行っていた手法は、いくつかのスポットアルバイト情報を出してくれるメールマガジンに登録しておき、良い求人がでたらすぐに申し込んで、確保できたら、その時点で、有給休暇を申請するということを行っていました。これであれば、せっかくの有給休暇を無駄にせずに済みます。もちろんこの手法が使える日は、私の外来がなく、比較的手が空いている、休みやすい曜日に限定されてしまいますが、わりと有効でした。

私がよく使用していたスポットアルバイトの情報は、MRTという会社と、m3の2社です。とくにMRTはメールマガジンが優れていて、優良求人情報がよく送られてきました。しかし優良求人は医師間でも争奪戦なので、すぐに申請しても、仕事が確保できないことがありました。スポットバイトは争奪戦になるので、スピードが勝負です。躊躇っているうちに充足してしまいます。

社会保険料はスポットバイトでいくら稼いでも増えない

週4日常勤+週1非常勤のときと同様に、スポットのお仕事でいくら給与をもらっても、社会保険料は増えません。(所得税、住民税は増えますが)。社会保険料は常勤の標準報酬月額に連動するため、アルバイトでいくら稼いでも、社会保険料には影響を与えないのです。

まとめ

今回は、収入を上げることには興味があるものの、転職したり、非常勤をかけ合わせることには抵抗がある先生を想定して書いてみました。この手法であれば、もし合わなければノーダメージで引き返せるので、リスクを背負うことなく、年収アップを狙えます。またこの手法が気にいって、外部での仕事に慣れれば、以前ご提案した週4日常勤+週1非常勤の手法も、前向きに検討できるようになるかもしれません。

私としては、無理に勤務形態を変えたり、転職を促すつもりは全く有りませんので、先生のお好みのスタイルで、今よりも良い環境を手に入れて頂ければと思います。今回のようにスポットバイトは、リスク無く、色々なスタイルを探っていく一つのチャンスです。もしご経験がない先生は、半日の健診バイトなどから始めてみると、面白さに気づくかもしれないので、オススメです。

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