ひとつの求人に執着しないことが、転職成功のポイント

転職活動を始めると、これは!と思う求人が見つかることがあると思います。特に転職活動を始めた最初の頃に巡り合うと、その求人をきっかけに転職活動を本格化させるケースもあるかもしれません。しかし転職では一つの求人にあまり執着しない方が、うまくいくケースが多いように思います。今回は良い求人に巡り会えたときの注意点について、考えていきます。

これは!という求人がみつかることも。

求人会社のサイトで求人を検索していたり、メールマガジンで流れてくる求人をチェックしていると、ごく稀に、まさに求めていたような、条件ピッタリの求人が見つかることがあります。転職活動を始めるとすぐに分かりますが、なかなかピッタリと条件が合う求人というのは珍しいです。給与や労働条件は良いけれど、家から遠かったり、通勤は便利で給与もよいけれど、終業時間遅くて家族との生活と合わせられないなど、なかなか難しいです。もちろん時間をかけて求人を探したり、いくつかの会社を併用してアンテナを広げれば段々条件にマッチする求人は出てくるようになりますが、それでも完全ピッタリというのは難しく、80%くらい条件が折り合えば、まあ合格点かなと思います。

しかし偶然95%くらい条件がマッチした求人に巡り会うこともあります。これを逃したらもう次は巡り会えないのではと思うレベルです。このような求人が見つかった時こそ、実は冷静になる必要があります。

よさそうと思ったときこそ注意が必要

ご自身にピッタリと思う求人が見つかったら、とりあえずその求人を扱う会社に問い合わせて詳細な情報を教えてもらいましょう。冷静に条件をチェックすると、細かいところで条件が合わない箇所もあるかもしれませんので、念入りな確認が必要です。こういうときこそ、落ち着いて念入りにチェックすべきです。

また可能なら、他の求人会社のサイトからも検索して、条件に差がないかをチェックしてください。もし同じ求人が、A社よりもB社の方が待遇良く募集している場合は、B社からアプローチする方がおトクです。あまり露骨な違いは少ないものの、微妙に条件が違う場合はあります。

わたしの経験

私が以前、非常勤で仕事を探していたときに、私の条件にちょうど当てはまる求人を偶然見つけました。給与や勤務時間帯、勤務内容もちょうど良く、何より家から近いという利点がありました。求人は探せば条件が良いものや希望にマッチするものは、わりと見つかるのですが、家から近い求人というのは意外に難しいのです。

これは逃すまいと、すぐにエージェントに連絡をとり、アプローチをはじめました。しかし同時に他の先生もアプローチをかけていたようで、結論としては、週に勤務できる回数の多い別の先生が採用され、私は選ばれることはありませんでした。正直けっこう落ち込むというか、ガッカリしてしまいました。

しかし落ち込んでいても仕方有りません。もうこれ以上マッチする求人はないだろうと思いましたが、再び求人会社の検索ページで条件を変えて検索をします。以前と同じような検索条件をかけても目新しいものは無いだろうと思い、思いきって自由診療も範囲に入れるなど、以前とは異なる切り口からも求人を探してみました。するとある求人が目につきました。それは自由診療の問診業務で、給与は前の求人よりも少ないですが、空き時間に比較的自由に過ごせる案件でした。しかも家からも近いです。今度はこちらの求人にアプローチして、結果その求人で働くことになりました。数年経ったいまでもそちらの非常勤を続けています。

振り返ると、後に決まった求人の方が私にとっては実は都合が良いものでした。空き時間に事務仕事が自由にできたので、時間を有効に使用できますし、拘束時間は自由診療なのでやや長く、時間も遅めですが、労働負荷は軽めなので、疲れてしまうこともありません。他の曜日の方が忙しいので、むしろ今では週1回、少しほっとできるような日になっています。最初の求人でトントン拍子に決まっていたら、この環境は得られませんでした。人間はどう転ぶかわからないものです。

うまく行かなくても次がある

先生にお伝えしたいことは、もしも希望した求人に、思うように決まらない場合でも、決して諦めないでいただきたいということです。意図した求人が得られなかったとしたら、それは残念なことかもしれませんが、後になってもっと良い求人が出てくるかもしれません。求人は水物です。いつ、どんなタイミングで良いものが流れてくるかは全く予想できません。私のように後から見つかった求人の方が良かった、ということも十分考えられます。

釣り広告、釣り求人には注意 

良いと思った求人を見つけた場合の注意点としては、いわゆる「釣り求人」である可能性を考えることです。具体例としては、すごく待遇が良い条件を出しておいて、まず多くの問い合わせを集めます。そうすると求人会社としては、転職を直近で希望している、ホットな先生の情報を集められます。これは会社としては喉から手が出るほど欲しい情報なわけです。まずは問い合わせがあった先生に、「お問い合わせ頂いた求人はすでに充足してしまったのですが、他にも良い求人があるので、先生の状況や希望を詳しくお聞かせ下さい」と先生に営業をかけます。そこから自社で取り扱っている求人を案内して、転職を斡旋するわけです。

最初に出していた求人は、言葉を選ばずに申し上げれば、いわば「撒き餌」であり、それをエサに先生の情報を集めて、そこから営業をかけるという手法です。

これ自体はややグレーではありますが、違法とは言えず、倫理的にはどうかと思いますが先生にとっても必ずしも悪いことばかりではないように思います。しかし、やはりグレーなやり方をする会社には、それなりの理由があります。私個人としては、そのような手法を取る会社とは距離を置いたほうが無難だと思います。経験的にですが、転職エージェントさんが疲れ果てていたり、ノルマに追われて余裕がなかったりと、先生に適切な提案が出来ない可能性があるためです。

賃貸でも同じ手法が使われる

以前、転職は不動産の賃貸と構造的に似ているという記事を書きましたが、賃貸でもこのような手法は使われるそうです。こちらの場合は「釣り物件」というらしいです。とにかく問い合わせを集めて、そこからホットな顧客にアプローチして、契約を得る手法ということですが、どこの業界でもやっていることは似ているものだとつくづく思います。(参考記事→転職で2-3社併用する実際