
転職活動をしていると、これでいいのだろうか?というモヤモヤとした気持ちがよぎることがあると思います。それは求人であったり、労働条件であったり、担当の人であったり、様々なケースがあると思いますが、その違和感に対しては蓋をせずに、一度落ち着いて向き合った方がよいと思います。今回は転職活動中に、何かがおかしい、、と感じたときの対応について考えていきます。
転職中になにかおかしいと感じたら、、
先生がもし転職活動をしている中で違和感を感じた場合は、その気持ちを無視せず向き合っていただくのが良いと思います。多くの場合、その違和感は正しく、何らかのシグナルである可能性があります。忙しい最中の転職活動なので、違和感を覚えても、無視して突き進んでしまいたくなる気持ちは痛いほど分かります。しかし場合によっては逆に遠回りになってしまうかもしれません。もし何かがおかしいと感じた場合、一度立ち止まって、その違和感に向き合って頂きたいです。
転職において、何かが変だと感じる対象はいくつかあります。求人であったり、転職先の担当者だったり、病院見学に行った雰囲気だったり、転職エージェントだったり、、。先生が何か、ざわざわと胸騒ぎというか、嫌な印象を受けた場合は、おそらくその直感は正しいです。一旦はその対象から距離をとることをオススメします。
後から振り返ってみると、あの時距離をとっておいて良かったと思える日が来るかもしれません。その時はすぐわからないこともありますが、最後は直感に従って行動した方が、結果的に上手くいく気がします。違和感を覚えつつ転職しても、結果後悔してしまうリスクは低くないように思います。
自分の経験
私も転職期間中にはこれはおかしいと思う場面があったので、私の具体例をご紹介してみようと思います。
エージェントに対する違和感
ある時期の転職活動中に出会った転職エージェントでした。直接対面で一度話をして、そのときは普通の方という印象でしたが、後にかなり熱心というか、必死に営業をかけてみえる方でした。いくつか希望を伝えて求人を探してもらいましたが、その中には標榜診療科を変えて、先生の好きにやっても良いという、なんとも怪しげな求人を含めて紹介してくる状況で、私は何かおかしいと感じました。そのときはすぐに距離を取ることにしました。その後どのようになったかは、わからないのですが、あの時そのエージェントの話に乗って転職をしていたら、道を踏み外していたのではないかと思います。
求人、病院に対する気が進まない気持ち
これは私が以前実際に転職に失敗したときのエピソードです。オンコールなしの求人を探しており、幸い条件に合う求人が見つかり、実際に転職をしました。しかし入職してみたら実際はオンコール有りの職場で、そのことに転職した後に気づいて後の祭りだったという話です。
実はこの時は転職する前から、少々違和感というか、何となく気が進まないという思いがあったのです。書類を見る限り条件的には悪くないかなと感じていましたが、どうしても気が進みませんでした。病院見学にも行きましたが、率直に言えばこの病院では働きたくないなあ、、という思いがありました。しかしその時は退職後に転職活動をしており、仕事をしない無職の期間が1ヶ月、2ヶ月と過ぎていくと、とにかくどこかに所属しないと不安だという気持ちに抗えませんでした。自分の気持ちに蓋をして、無理に転職しましたが、案の定上手く行かず、再転職を余儀なくされた苦い思い出です。
今から振り返ると、自分の気持ちに正直に向き合い、直感に従って、その転職は控えるべきでした。長い医師人生を考えれば、もう数ヶ月ゆっくり仕事を探しても予後は変わらなかったでしょう。またもっと言えば、退職する前から転職活動をして、内定を得た後に退職をするべきであったと思います。それであれば余裕をもって転職活動をすることができますから。(参考記事→医師転職の流れ 最初にやること)
転職に対する対策や、自分と正直に向き合うことが不足した結果、私は遠回りをしてしまいました。私の苦い失敗談を共有させて頂くことで、先生には同じ轍を踏まないで頂きたいと思います。
高待遇すぎる美容求人
これは研修医の後の進路に迷っていた頃の話です。その当時の美容医療はまだ偏見が根強く、研修後に自由診療に行く医師は変わった先生というイメージでした。やはり行く人が少なく、正直に言って偏見もある分、給与は非常に優遇されており、3年目の医師であってもかなりの高給の募集がありました。今でこそ初期研修直後に美容医療に振り切る、いわゆる”直美”という言葉もあるくらいですが、その当時はかなりレアでした。
なんとなく求人をみていると、3年目の医師でも非常に給与もQOLも高く、実務はほぼ問診のみという募集もありました。正直に申し上げると、いいなあ、と思いましたが、どうしても私は気が進まず、私は結局、普通の保険医になる選択をしました。
それから数年後、知り合いの後輩医師が、初期研修直後に美容医療へ行きました。その後、思いもかけないような大変な目に遭い、高給を得るどころか借金を背負ってしまったようです。どうも管理医師契約(いわゆる雇われ院長)のワナに嵌まってしまったようで、大変だったと聞きます。もしかしたら私も同じような目に遭っていたかもしれません。とても人ごととは思えない気持ちです。
もちろん言い出したらキリはないかもしれないが
転職中はこの求人で本当によいのか、この転職はするべきか、などの迷いや不安が出てくることは普通のことです。転職はある程度人生を左右する問題なので、当然だと思います。今回私が申し上げたいのは、そのような正常な気持ちではなく、「あきらかに、これは何かがおかしい、、」というレベルの違和感です。上手く言語化できなくて申し訳ないのですが、自分の無意識がアラートをガンガン鳴らしているイメージです。このような何かを感じたら、転職中のどのような場面であっても、すぐに逃げて欲しいと思います。おそらくその直感は正しいと思いますし、たとえそれで損をしてもご自身の直感に従って決断したことは、後悔することはあまりないと思います。