転職インタビュー① 後編

医師転職は一般的になりつつあるものの、実際の医師の転職の一部始終をみることは多くありません。またネットで見るインタビュー記事はほとんどが、医師求人会社がプロモーションで行っているもので、中立な立場で書いている記事は本当に稀です。
先生方が、転職活動をする際に、少しでも参考になればと思い、実際に医師求人会社を利用して、転職をされた先生のインタビュー記事をお届けします。
(プライバシー保護のため内容に差し支えない範囲で一部表現を変えてあります。)

今回はS先生転職の体験の後編です。

管理人
後日談というのに興味がありますね。差し支えない範囲で教えていただけますか?

S先生
結論から言うと、オンコールなしの条件が、入職後に破棄されてしまったということです。

管理人
えっ??それはどういうことでしょうか???

S先生
えっ??となりますよね(笑)。ちなみに先生も転職の経験はおありでしたよね?そのとき雇用契約書は入職前に交わしましたか?

管理人
もちろん用意してもらいました。

S先生
その雇用契約書にも私は、オンコールなしの契約で用意してもらったんです。しかし入ってみたら、違ったという。。
ちなみに、他の常勤の先生も普通にオンコール体制でした。常時です。

管理人
それはだいぶ話が違うような。。。

S先生
そうですよね。これは前提が違うぞと。その後、本当に色々あったのですが、ここでは話しきれないと思いますので、結論から言うと、早々に退職の方向になりました。これでは長続きしないと思いまして、早めに見切りをつけました。

管理人
本当に大変でしたね。退職されて、その後再転職の活動を?

S先生
そうです。これもまた話が長くなるので、その時のことはまた別記事にでもしていただければ。

管理人
ありがとうございます。是非またお話いただければと思います!
それはそうと、オンコールの契約のことは、転職エージェントを介しても、うまく伝わっていなかったのでしょうか?

S先生
これは転職エージェントの問題でも、民間医局さんのせいでもないと私は思います。転職エージェントの方も、さすがにそれはないだろ、、というような感じでしたから。

いま冷静になって振り返ると、病院の体質だったかなと。ある内科の年配の先生がいたんですけど、その先生は年中無休オンコール至上主義のような人で、そういう先生が一人いると、科の空気が支配されてしまうんですよね。病院の経営や管理の人は、つまり私の採用に関わった方は、そういう空気を変えたかったようなんですけど、実務上私が関わるのは、先生のほうですから。。。まあ若手の私がどうこうするには荷が重かったかなと思います。

管理人
3年目の大事な時期の転職なのに、本当に大変な思いをされましたね。

色々経験をされた先生だからこそ、これから転職される先生に伝えられることも多いかと思います。これから転職される先生に、医師転職のポイントについて、教えていただければと思います。

S先生
まずは、医師求人会社は必ず複数社を関わった方がよいと思います。求人会社は、自分の会社が持っている求人しか先生に提示できません。大手でも、けっこう他の会社を見比べてみてみると、A社にはあるけど、B社では募集がないというようなことは、ザラにあります。色々な会社に登録するとメールや電話で営業があるのがイヤだという先生もいるかもしれませんが、自分にマッチした求人を見つけるという点では、門戸は大きく開いた方が絶対によいです。先生好みの求人がないケースでは、単に登録しているサイトが少なかったり、極端にマイナーな会社だったりする可能性もあります。

管理人
なるほど。やはり医師求人会社は複数登録するのがよいのですね。当サイトでも、私自身の経験からも、少なくとも2-3社は登録して見比べてみてみることをオススメしています。1社では見えてこない情報がありますから。

S先生
あとは、条件ですね。私と同じ轍を踏んで、時間や労力を無駄にして欲しくないという思いです。雇用契約書のチェックはもちろんですが。私の場合は、それでも防げませんでした。。
なので担当者に念を押して確認することや、可能なら実際に働いている医者、同僚となる医者と直接話してみるのがよいと思います。一番生の声ですからね。普通の職場であれば、断られることもないと思います。採用側もミスマッチは避けたいわけですから。もしなにか理由をつけて渋るような医療機関は、何か都合が悪いことがあるのかもしれません(笑)。

管理人
先生の話を聞いた後だと重みがありますね。。たしかに実際に働いている先生にインタビューするのはよさそうですね。そういえば、初期研修で病院見学する時も、入ってから2年目になる先生の話をよく聞け!というアドバイスがありました。実際の生の声が、一番正確な状況を伺えますからね。

S先生
そうですね。当然医者として働くわけですから、いいことばかりではないというのは、どの医療機関も同じだとは思います。でも人によって、これは耐えられるけど、これは無理!というのはありますから。入ってみてから気付くより、入職前に気付いて、避けたほうがお互いにとってもよいと思います。医療機関によっては、トライアル勤務を受けているところもあるようです。こういうのも利用するのは私はアリかなと思います。

管理人
転職活動をして、大変なことも多かったと思いますが、良かったことはありますか?

S先生
一つ目は、客観的に自分の市場価値を知ることができたことですかね。3年目でも、働き方を選べば思いの外、高収入を得られるということは、転職活動をするまで知りませんでした。

管理人
実際、転職活動をして今の年収が見合っていないと初めて気付かれる先生も多いようです。
もちろんお金だけではないですし、市場価値というと抵抗がある先生も多いと思います。しかし今の年収が、明らかにやっていることに追いついていない先生というのは少なくないようですね。

S先生
2つ目は、人との出会いですね。実は転職活動中、医療機関の担当者や先生、転職エージェントなど、多くの人と出会い、話をする機会がありました。医療業界、転職業界は本当に色々な人がいる業界です。多くの社会勉強をさせてもらいました。その後、多くの本を出版して現在では有名になっている先生とも話す機会がありました。本当に転職活動をしなければ得られなかったものがあります。

中でも、とある医療法人の理事長の先生との出会いは大きかったです。その先生は非常に成功されている先生で、全国に多くの分院をもつ先生でした。その先生は私が3年目の医者でも、一人の医者として扱ってくださり、色々アドバイスをしていただきました。今でもお付き合いがある人生の先輩です。

管理人
転職活動を通して、本当に多くの経験をされたようですね。
最後に、これから転職される先生に一言いただければと思います。

S先生
転職活動は、特に初めての転職は、わからないことだらけで本当に大変だと思います。また転職をする時期というのは、いまの職場で大変なことがあったり、不満があったりと、忙しくて精神的にも余裕がない時期だと思います。
最初の一歩は正直重いです。でも転職活動を始めて見ると、今まで気が付かなかったものが見えてくると思います。多くの出会いもあります。うまく行かないこともあるかもしれませんが、悪いことばかりではありません。実際転職に至らなくても、多くの学びがあると思います。いまの職場で自信をもって働くきっかけになるかもしれません。

どうか先生の転職活動が上手くいくことを願っています。

管理人
本日はありがとうございました!

S先生
ありがとうございました。