別解 マイクロ常勤+非常勤

シリーズ 医師転職の最適解

医師転職は先生によって、状況、希望条件が異なるため、最適解は先生それぞれで異なります。それを承知の上で、当サイトでは、経済面、QOLを最大化する方針で、医師転職の最適解を考えてみようと思います。先生が転職する際の、ひとつの参考としてご覧いただければ幸いです。

今回は常勤と非常勤をうまく組み合わせるケースを想定します。
週3の常勤をベースに、週2回の非常勤を組み合わせる方法です。

別解 マイクロ常勤+非常勤
週3常勤+週2非常勤を組み合わせる!

常勤、非常勤どちらもメリット、デメリットがあるので、一概にどちらが良いとは言えません。先生の好みや、求める収入、働き方のスタイルにもよると思います。今回は、常勤、非常勤どちら一方を選ぶのではなく、それぞれの良いとこ取りをしようとするスタイルを考えてみようと思います。このスタイルを紹介している記事はかなり稀です。ぜひ一度このような働き方もあるのだと参考にしていただければ幸いです。

週3日の常勤を探す!

実は求人をよく観てみると、週3日から常勤として扱ってくれる医療機関も、数は多くありませんが存在します。また週4日から常勤可能なところはかなり多いですが、そのような医療機関でも相談次第で週3日でも常勤にする相談に乗ってくれるところもあります。私がかつて勤めていた病院では週20時間から常勤可能でした。まずは週3日で常勤で働ける医療機関を探すことから始めます。

常勤先を探すときのポイントは、先生がストレスなく働けるところがよいと思います。給与は非常勤で高給の勤務先を探すことで調整が可能です。常勤は長く勤める可能性があるので、働きやすさを重視してください。

次に非常勤を探す!

常勤先が確保できた後は、非常勤で働けるところを探します。今回は週2日の非常勤を想定しますが、もちろん先生のスタイルで週1日から週4日の間で調整可能です。非常勤も週4だと休みがありませんが。。。

週2日同じところでもいいですし、週1の非常勤を2つに分けるのも良いです。週1の非常勤先を探すことは比較的容易と思います。

非常勤を探すときのポイントは、非常勤のメリットを活かすために、給与が高いところを選ぶのがオススメです。在宅診療や美容系の自由診療を選択肢に入れるのがよいと思います。これらは週1日の非常勤の募集も比較的多いのでオススメです。

常勤+非常勤のメリット

常勤と非常勤をかけ合わせると、それぞれの良いとこ取りをすることが出来ます。メリットを以下で上げてみます。

メリット1 社会保険料の管理が不要

常勤先を確保すると、社会保険料の支払いについては先生が管理する必要がなくなります。常勤先におまかせできます。常勤の場合は健康保険、厚生年金に加入することが出来るので、先生の手間はありません。これは特に事務的な手続きが面倒な先生には大きなメリットです。

メリット2 社会保険料の負担を小さくできる

週3日の場合、当然ですが、週5日勤務に比べて給与が少なくなります。それにより給与に連動する(正確には標準報酬月額)、社会保険料の支払いも少なくなります。健康保険は多く払っても特にメリットはありません。もちろん保証は同じです。現行制度(2025年現在)では、たとえ他の非常勤先でいくら稼いでも、常勤の社会保険料については上がることはありません。

メリット3 常勤の安定性+非常勤の高給を狙える

週3日といえども常勤は立派な常勤です。週5日働いている先生と同様に、労働者として法律により非常に強固に保護されます。医療機関の一方的な都合で解雇されることはまずありません。

また非常勤では求人を選ぶことで高給を狙うことができます。一般的には両立が難しい、常勤の安定性+非常勤の高給を得ることが可能です。まさにいいところ取りと言えるでしょう。

メリット4 退職金がもらえる

週3日といえでも常勤である以上、退職金がもらえる可能性があります。こちらはここの医療機関で異なるので確認が必要です。退職金は受け取り時の税金も優遇されているので、非常勤単独では得られないメリットです。

メリット5 ある程度のリスク分散が可能

医療機関もいつ、どうなるかわからない状況です。医療機関が閉院することも少なくない時代です。今回のケースでは常勤+非常勤なので、いずれかがたとえうまく行かなくなっても、全ての職を一気に失うことはありません。もちろん非常勤で一日ごとに勤務先を変えている先生には敵いませんが、ある程度のリスク分散はできています。しかしメインの常勤先を失うと結構痛いので、常勤先はある程度経営が安定しているところが良いと思います。

メリット6 診療以外の雑務が増える可能性が低め

常勤の隠れたデメリットは、診療以外の業務が増えることです。管理業務や教育、委員会など診療とは直接関係ない仕事が、先生によっては結構なストレスになります。しかし週3であれば、そのようなリスクは週5日の先生に比べれば低めです。やはり多く勤務する先生の方が適任と判断されることが多いでしょう。もちろんゼロには出来ないかもしれませんが、比較的診療に集中できるケースの方が多いと思います。これはわりと地味ですが、先生によっては大きなメリットになると思います。

常勤+非常勤のデメリット

デメリット1 週3日常勤が多くない

求人を探してみるとお分かりになるかと思いますが、週3日で常勤を募集している医療機関があまり多くないのが現状です。しかし週4日なら結構多くあり、週4日で募集している医療機関も相談次第では週3日で常勤扱いにしてくれるところもあり、相談して見る価値は十分あります。

週3日常勤を探したり、週4日の医療機関を週3日に交渉するのは、求人エージェントに頼んだほうが効率的です。先生ご自身が行う必要はないので、代行してもらいましょう。

またもしどうしても週3日でよい勤務先がなければ、週4日の常勤で、週1日の非常勤を組み合わせるスタイルももちろん可能です。こちらも先生によっては合うと思います。

デメリット2 退職金、厚生年金は週5勤務には敵わない

社会保険料のところで少し触れましたが、健康保険については給与が低くても保証は同じです。むしろ高額療養費制度を使用する際は給与が低いほうが有利に働きます。しかし厚生年金については、給与が高い方が、年金を受給するときにもらえる額も多くなります。

ただ現状では、厚生年金は払い損になる可能性が高いことが指摘されており、厚生年金についてはデメリットをよりもメリットの方が大きいと私は考えています。

退職金も給与に連動して高くなるので、退職金がもらえる場合でも、週5日働いた場合より低めになります。これは少なくないデメリットでしょう。非常勤の給与をある程度積み立てるなどして、対策を取る必要があります。

デメリット3 確定申告が必要

一般的に、複数の勤務先から給与所得がある場合、ご自身で確定申告を行う必要があります。常勤先によっては、他の源泉徴収票を提出すると代行してくれるところもありますが、多くの場合ご自身で行う必要があるでしょう。しかし今回のケースでの確定申告は、全く難しいものではありません。一度行うと翌年からはルーティンで出来ると思います。

まとめ

常勤+非常勤は両者のメリットの良いところ取りができる画期的なスタイルです。もし常勤、非常勤どちらかに決めかねている先生がいらっしゃいましたら、このような中間を選ぶ方法もあります。
少しでも先生の転職の参考になれば幸いです。

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