退職は跡を濁さず。。。

このサイトは先生の転職を応援する内容ですが、転職には、今働いている医療機関の退職が伴います。円滑な退職についてのポイントを解説していきます。

退職は余裕を持って伝える。

退職を伝える時期ですが、可能なら早めに伝えておいたほうが良いです。就業規則などでは3ヶ月前と定められているところが多いですが、医療機関側からすると、3ヶ月で新たな医師を確保するのは少々厳しい事情があります。労働者の権利としては、就業規則にかかわらず、2週間前に退職を申し出れば一応退職は可能ですが、直前の申し出はかなりの混乱を招くので避けるほうが無難です。

もし家族の転勤や、開業など、スケジュールが前々から決まっているもので、理由も建設的なものであれば、1年前などでも伝えるほうがよいでしょう。先生の業務引き継ぎや、手続きもだいぶ余裕をもって行うことができます。この場合は転職先が決まっていない段階で伝えてもよいと思います。

退職理由は?

退職理由ですが、家族の事情や、開業、地元に戻るなど退職理由として誰が見ても妥当なものであれば、揉めることはないでしょう。配慮が必要なのが、その医療機関に何か不満はあって辞める場合です。残業が多い、当直やオンコールがつらい、受け持ち患者さんが多すぎる、、、など理由は色々あると思います。

もしその医療機関での勤務条件が変われば継続して勤めてもよいと思っている場合は、困っていることを率直に伝えてみる方法があります。交渉によっては、当直を免除に変えてもらうなど、思った以上に相談に乗ってくれる場合はあります。というのは、医療機関としては新たに、特に常勤医師を確保するのは時間もコストもかかるので、可能なら条件を変えても医師を確保して置きたいという事情があります。そこの事情を上手く利用すると、先生にとって有利な労働条件を引き出すことも可能です。

もちろん他の先生の手前もあるので、あまりに無理な要求や条件は通らないでしょう。また露骨にやりすぎると、他の先生の手前、居づらくなってしまう可能性があるので、常識的な範囲に留める方がよいです。根本的に条件見直しが必要な場合は、転職した方がスムーズでしょう。

退職理由が何らかの不満や不都合がある場合でも、ケンカしてやめるようなことは避けるべきです。家族のために時間を作りたい、体力的に今の勤務形態がきつくなってきたのでダウンシフトしたい、急性期からは退いて慢性期の患者さんをみたい、新たな領域に挑戦したいので応援して欲しい、、など元の職場を否定することなく、可能な限り前向きな理由をつけて退職にもっていきましょう。

医者の世界は、本当に思った以上に狭いです。思わぬところで人が繋がっていることもあります。実際、私も転職先に、以前の職場とつながりがある人をみつけたこともあります。地域としてかなり遠方だったのにもかかわらずです。特に悪いことをしていたわけではないですが、これは本当に気をつけなければならないと思いました。

ケンカ別れは避けるべき。

医者、医療業界は本当に狭い世界です。たとえ不満やおかしなことがあったとしても、辞める前に問題を起こすことはやめた方が良いです。うまく退職すれば、今後も関係を続けることができます。たとえ常勤を辞めたとしても、その後非常勤で声をかけてもらえることもあります。今後特に関わりがないと思われるところでも、良い印象を残して退職できればそれに越したことはありません。

先に転職先は、退職を伝える前に決めるか否か?

転職先は先に決めておいて、内定をもらってから退職の意向を伝えるべきか、それとも転職先を決める前に伝えるべきか、という問題については、多くの先生が悩まれるのではないでしょうか?
私は基本的には、転職先から内定をもらってから伝える方がよいと考えています。

現在の職場に先生が退職の意向を伝えると、多くの場合は引き止めにあうと思います。転職しようと思っていても、引き止めにあうと気持ちが揺らぐ可能性も否定できません。そのまま結局ズルズルと同じ職場に留まってしまう可能性もあります。すでに内定が出ていることを伝えれば、無理に引き止められることはまずないでしょう。

前述の条件を交渉して、もとの職場に留まる場合も、転職先の内定があった方が有利に交渉できる余地があります。もし少しでも、もとの職場に留まる可能性が残っている場合は、転職先にも事前にその旨を伝えておきましょう。現在の勤務先と労働条件を交渉中であり、上手く行かなかった場合は、すみやかに転職したいが、もしかしたら辞退させていただく可能性もある、と伝えて置けば、もしもの時もスムーズに対応できます。転職エージェントにもその旨をよく伝えておきましょう。
(※転職エージェントは先生が転職しないと商売にならなので、転職を勧めると思いますが、先生が留まった方がよいと思われたら、ご自身の心の声にしたがってください!これは転職の落とし穴の一つです。)

お世話になった部署にはお茶菓子を。

医局や外来、病棟、師長室、検査科、放射線科など、関係が深かった部署には退職時にお菓子を持参しておくと良いです。高いものでなく、小分けのものをデパ地下で買って持参すると良いと思います。もらった方は案外嬉しいものです。私は退職時は思いつく限りお菓子を配って歩きました。

まとめ

転職と退職はセットです。退職を気持ちよく行えると、先生も新天地でよいスタートを切れると思います。またどこで、どんな縁があるかわかりません。本当に意外なところから、縁がつながることもあります。先生がよい転職ができることを応援しています。

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