
今回は医師のQOLの話題です。仕事が忙しすぎたり、オンコールや当直の業務負担が多いなど、先生方の転職のきっかけの一つとして、QOLの低さがあります。給与や待遇よりも、QOLを重視される先生は近年増えています。QOLを重視した転職について以下で解説していきます。
非常勤は現実的な選択肢。
QOLを上げるための転職で、もし常勤にこだわらないのであれば、非常勤のお仕事は現実的な選択肢となります。常勤では一般的に経験年数が増えるに連れて、診療以外の管理業務や、委員会、教育など、色々な雑務も増えてくる傾向にあります。またオンコールや当直などを頼まれることも多く、すべてを断るのは難しいケースもありますが、非常勤ではまずこのようなことはありません。
また非常勤では、勤務日数も先生の希望に応じて調整が可能です。常勤は少ないところでも週3日が最小で、多くが週4日からになります。
非常勤の場合は、確定申告や、社会保険料の支払いなどをご自身で管理する手間はありますが、常勤では得られないメリットもあるのも事実です。もし非常勤を候補に入れられるのであれば、選択肢はかなり広がり、先生好みのお仕事にカスタマイズすることが可能です。
常勤と非常勤の違いについては、こちらの記事も参考にして下さい。(参考記事→常勤か非常勤か?)
お金にこだわらなければ、選択肢は無数にある。
また給与はそこまで高くなくてもよいから、QOLを最優先したいとう先生も選択肢は多いです。健診や産業医のお仕事は、一般臨床に比べると、どうしても給与は低い傾向になりますが、急変などもなく、心に余裕を持った勤務が可能です。また多くの場合残業も少なめで、アフター5充実させることができます。子育てや、介護など家庭が忙しい先生にも働きやすい環境です。
療養病棟の管理なども、比較的余裕がある場合が多いですが、稀に急変があったり、割り切れないような症例もあり、心の平穏を求める先生には不向きかもしれません。
何を優先するか?
まずは、先生が何を最優先したいかが、大事です。このときのポイントは安易な妥協は禁物です。欲張りなくらいに、希望を出して行後で削ることがいくらでもできます。時短を最優先にしたいからといって、安易に給与を諦めてしまうと、後でもったいないと感じる可能性があります。
勤務日数を減らしたいケース
→訪問診療や自由診療など単価が高い仕事を週2-3回。
週3くらいのペースで仕事をしたい先生には、非常勤で、比較的単価が高いお仕事を組み合わせることがよいです。上手く勤務先を選ぶと、常勤でゆるめの週5と給与があまり変わらないケースもあります。例えば日給10万円の訪問診療や自由診療の仕事を週3で行った場合、概算で年収は1500万円ほどです。もちろん税金や社会保険料がここから引かれますが、健診や産業医の仕事だと、週5日でもこれより給与が低いケースはザラにあります。(常勤の場合は社会保険料を半分負担してくれることや、福利厚生、退職金など非常勤にはない利点ももちろんありますが。)
多少忙しくても、週の実働日を減らしたい先生には、このパターンの非常勤はよい選択肢となり得ます。配偶者にも収入がある場合などは、非常にコストパフォーマンスのよい、働き方になります。
オンコール、当直をなくしたい
→単純な転職で実現できる可能性が高い
オンコール、当直がつらいという先生は、単純にこれらがない就職先に転職すればいいだけなので、話は単純です。注意なのは、転職未経験の先生に多いのですが、オンコール、当直を条件とする代わりに他の条件を安易に妥協してしまうことです。オンコール、当直なしだから、給与は低めて良いというと、当然ですが、先方は給与を上げようとは思いません。そのため本来はもっと良い条件で転職できたはずの先生は、結果的に損してしまうケースは珍しくありません。条件については、こちらの希望をはっきり伝えつつ、他の条件も極力よい条件にもっていくのがコツです。(もちろんあまりに無理な要求は通りませんが。。)
都会から離れて、田舎でゆっくり医者をやりたい
→タイミングによって、非常に条件が良い求人がある!
都会から、離れて田舎で医者をやりたいという先生もおられると思います。実は地方のやや不便な地域の募集では、想像以上に高待遇の求人も存在します。中には一軒家の住宅を準備してくれる求人もあり、年収以上に手元に残るお金が多い場合もあります。また帰省手当という一風変わった福利厚生を準備してくれる求人もあります。これらの優良求人はどうしてもタイミングが物をいう世界になるので、気になる先生は求人サイトのメールマガジンを購読したり、全国規模の大手の求人エージェントと一度面談しておいて、いい求人が出たら知らせてもらうように頼んでおくと良いと思います。特にこのケースに限りませんが、求人エージェントと面会して、一度関係を作っておくと、有益な求人の情報をもらえることがあります。
勤務時間を減らしたい
→午前中の外来のみ勤務を掛け持つ
子育て中などの先生は夜遅くまでの仕事は難しく、できればお昼までで上がりたいという先生もおられると思います。このようなケースでは、外来、健診のお仕事がオススメです。これらは午前中のみの募集も結構多くあります。トータルの勤務時間が短いので、給与は少なくなりがちですが、時給換算での給与はそこまで悪くないので、時間を有効に使いたい先生にはオススメです。
美容や訪問診療など高単価な求人は全日の募集が多いので、今回のケースでは不向きです。
9-17時の仕事にしたい
お昼までとまでは言わないけれど、17時には上がりたいという先生は、比較的緩めの病院を選ぶという選択肢もあります。非常勤ですと半日勤務は多くありますが、全日勤務だと18時過ぎまでのところが多く、17時上がりでは、探すのがやや難易度が高いです。それなら、17時で確実に上がれる病院を探すのが意外に良かったりします。小さめの病院や、健診専門の医療機関がこちらに該当します。給与はまずまずのところが多いですが、半日勤務に比べればよく、また常勤で採用してもらえば安定性が得られます。
まとめ
一口にQOLが高い転職と言っても、先生によって何が重要かはそれぞれです。もっとも先生が優先することをまず最初に決めて、その上で転職活動を進めていくことをおすすめします。もっとも避けたいのが、なんとなくで転職先を決めてしまい、転職後に後悔するパターンです。特に安易に条件を妥協してしまうのは、とても勿体ないので、十分な戦略を立てて転職活動を行っていきましょう。