アリとキリギリスのアリは不幸なのか?

今回は転職というより、労働全般に関する話題です。先生はアリとキリギリスの寓話をご存知だと思います。結論は様々なものがありますが、アリがよく働いて、キリギリスは働かずに遊んでいるという内容は同じだと思います。一般的には、未来に備えるアリが称賛されると思いますが、アリがいつ報われるのか、ある意味アリの方が不幸なのではないかと思うことさえあります。今回は医師転職と関係ない話で申し訳ないのですが、こちらの話題で考えて行きます。

医師はアリが多い

アリは未来のために頑張り、将来に備えた結果、冬が来ても困ることがなく生き残ることができたという話から、アリを見習って未来のために今を頑張りましょう、という教訓を子供の頃に読んだ記憶があります。この記事をご覧の先生は、アリかキリギリスかと問われれば、ほとんどがアリだと思います。多かれ少なかれ、子供の頃から受験勉強に時間を投下し、大学に入ってからも、社会に出てからも、勉強、仕事に多くのリソースを割いて来られたと思います。もちろん医師の間でも頑張る人と、そこそこの人はいますが、それは医師の中の話であって、世間一般的に見れば、医師になるような人はほぼ全員アリだと思います。

アリはいつ報われるのか?

ところで医師はいつ将来に備えた努力が実を結んで、安穏な生活が送れるのでしょうか?専門医を取って少し勤務がゆっくりの病院に移ったときでしょうか?大学や病院で目標とする地位まで上り詰めたときでしょうか?それとも定年後でしょうか?

私は忙しく、一生懸命働いていたある日、ふとそのような日は一生来ないのではないかと思いました。一生何かしらの目標に向かって、未来を思って何かに駆り立てられるように働き続けるのではないかと。自分が一体何のために、こんなに働いているのか、今までなぜ我慢ばかりして生きてきたのか、立ち止まって考える時期がありました。

アリは働き損なのか

先生も同僚の中には、業務を超えて働いている先生も、正直サボっている先生もいると思います。病院組織の中には、頑張る方もいれば、そこそこで抑える方も、サボっている方もいますが、トータルでみるとバランスがとれるようになっていると思います。組織というのはそういうものなのでしょう。組織で生きていくとき、頑張って働く人は、正直損をしてしまうことも少なくないと思います。一生懸命頑張る働きアリは働き損なのでしょうか。それは私も答えが出ない問いです。

おそらく先生は使い切れないお金を稼いでこの世を去る 

資産形成の観点で考えると、おそらく多くの先生は使い切れないお金を残してこの世を去ると思います。資産を使い切って寿命を迎えたり、まして生きている間に資産が枯渇してしまう先生は、かなり稀だと思います。多くの方は晩年に資産が足りなくなることを恐れて、一生懸命資産を形成しますが、実際には杞憂に終わることが多いようです。それはそれで立派だと思いますが、生きている間に、もう少し若い時に、欲しいものに、お金を使うことができたのなら、人生はもっと充実したものになったかもしれません。少し前に『DIE WITH ZERO』という本が話題になりましたが、こちらの内容を参考にしています。結構オススメです。

キリギリスの方が幸せなのか?

このように考えると、今のこの瞬間を、未来を心配することなく楽しんで生きるキリギリスの方が幸せのように感じます。一生我慢し続けて、やりたくない仕事も頑張って、結局ほとんど自分で使うことのない蓄えをせっせとためて続けて、、という生き方をする働きアリよりは、幸せだと思います。結局アリは働き損で、苦しい労働だけの一生なのでしょうか。

少しはキリギリス的な要素も取り入れるのはどうかと思います

私が思うのは、少しでもキリギリスの良いところを取り入れるのが良いのではないかと思います。少なくとも一生やりたくない仕事を我慢して、生活を切り詰めて資産形成をするのは、どうかと思ってしまいます。もちろんやりたい仕事だけして、入ってきた給料をすべて使ってしまうというわけには行かないと思いますが。それでも、未来のための努力や我慢だけではなく、今この瞬間を充実させることにも、目を向けることが大切だと思います。

ありきたりな表現ですが、過ぎ去った時間は決して戻りません。私もひたすら過ぎ去るのを耐えるのではなく、その時の瞬間をもっと楽しめればよかったと思うこと、後悔も多くあります。過去には戻れませんので、これからのことを考えるしかありません。いま思うことは、未来を心配しすぎず、ほどほどに頑張って、あとはいまこの瞬間を大切にして生きる、それしかできないとだと思います。それが不幸なアリや、晩年に困窮するキリギリスになることを避ける方法なのだと思います。先生も少しはキリギリスになりましょう笑。

最後に転職に絡めると

全く転職と関係無いのもどうかと思うので、最後に転職に絡めると、もし先生がいまの仕事や状況に迷いがあるのなら、一歩踏み出して、現状を変えて頂ければと思います。以前の記事(人生は30000日しかない)でも触れましたが、人生は計算すると思ったより時間がありません。臨床医ができる時間は思った以上に短いです。やりたくない仕事をしている暇はありません。院内政治で心労を抱えるのも時間がもったいないです。医局を辞めても、職場はいくらでもあります。どうか先生が価値があるとお考えになる、やりたい仕事を、気持ちよく働ける職場を選んでください。人生で時間的に多くのリソースを割くのはやはり仕事です。仕事の充実は、人生の充実に直結します。この記事が先生が良い環境に移るきっかけ、後押しになれば幸いです。

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