
今回はいつもとは少し切り口が異なりますが、医師という職業と今後の見通しについて考えて行こうと思います。先生も肌で実感されているのと思いますが、医師を取り巻く環境は、年々厳しくなっています。診療報酬の削減、医師給与の低下、患者への説明の厳格化、増える一方の書類の山、待遇は厳しくなる一方ですが、仕事はなかなか減らず、むしろ余計な業務が増えて、臨床に支障をきたす程です。また製薬会社の接待、患者さんからの袖の下など、やや問題があったものの、既得権として従来あったものが現代では失われています。税金、物価が上がっても医師の給与は変わらず、数十年前の医師に比べて、今の医師は相対的に貧しくなっています。たとえば30年前の医師といまの医師では、待遇や社会的地位が全く異なります。そして今後も、医師を取り巻く状況は、ますます厳しくなっていくことが予想されます。医師にとっては非常に厳しい冬の時代です。
これからの時代をどう生きるか
診療報酬や社会的地位、制度上の問題などは、われわれが頑張ったところで変えることは難しいです。厳しい時代に適応して、取れる対策を行うしかありません。我々が取れる対策の一つに、良い待遇を求めるということがあります。医師の待遇が厳しくなっている状況ですが、低い待遇に甘んじてしまうと、状況はどんどん悪くなっていきます。逆に悪い待遇の求人募集にだれも応募がなければ、募集する側も待遇を改善せざるを得ません。ブラック企業がなくならないのは、ブラック企業で働く人がいるからだ、という言葉があります。待遇が悪い職場が存在するのは、そのような劣悪な環境でも、働いてしまう人がいるからだということでしょう。
もし今の先生の状況が、他の職場よりも悪いと思われる状況であれば、すぐに転職活動を始めることをおすすめします。医師の労働環境が以前よりは厳しくなってきているとはいえ、まだ市場には優良な求人も多く存在するのも事実です。多くの先生が知らないことで、損をしている現状があります。悪い待遇に甘んじて耐える必要はありません。よい環境を求めて飛び出しましょう。
お金について、医師も真剣に考える時代
数十年前までは、医師はお金のことは考えなくても、そこそこ良い暮らしができて、一生食うに困らない時代でした。しかし医師免許の特権は徐々に失われてきており、相対的に医師が貧しくなってきている状況です。今後この状況が改善することは、少子高齢化、医師数の増加、診療報酬の悪化などを踏まえると、難しいと思われます。医師サイドでお金のことを真剣に考えなくてはなりません。
転職は現実的な選択肢
我々が取る対策として、もっとも現実的なのは、このサイトのテーマでもある、転職であると思われます。すでに優良な職場を確保している先生は安心です。そこで勤め上げて、資産を形成して、逃げ切ってしまえばよいためです。しかし激務の割に、給与も安く、休みもなく、ただただ日々消耗してしまっている先生は、早急に行動を起こされることをおすすめします。気付いたら、そこそこの年齢になり、体力も落ちて、気力もなくなり、、というような状況で建設的な転職をすることは困難です。できれば気力も体力も、消耗しきってしまう前に、良い求人に出会って、転職をすることがおすすめです。
医師は厳しいが、他に良い職業があるかというと。。。
我々はもう医師を行うほかありませんが、先生のお子さんの時代はさらに難しい状況になることが予想されます。私立大学の医学部に進学しても学費の元を取るのが難しくなるかもしれません。すでに歯科の先生は医科よりも激しい競争で、非常に厳しい状況だと伺います。
医師の子供は医師になることが多い世の中でしたが、流れが変わってくるかもしれません。しかし他にちょうど良い職業というとなかなか難しい現実もあります。だれでも再現性が高く年収1000万円以上を安定的に確保して、国家資格であり、全国どこでも働けるような職業は、いまだに医師くらいでしょう。いわゆる3大国家資格といわれる、医師以外の弁護士、会計士でも、同様になかなか厳しいといいます。一生懸命勉強して受験に勝っても、非常に難しい世の中になったものです。なかなかつらいですね。