
今回は医師の節税対策の話題です。収入が多い先生には、税金でごっそりお金を持っていかれるのは悩みのタネであると思います。開業医で医療法人を経営しておられる先生は多くの節税策が可能ですが、勤務医がとれる節税対策は多くはありません。しかし意外にも、とれる対策をしていないドクターも結構います。今回はどのような先生にも簡単にできる節税策から、やや応用の節税策をご紹介します。
基本的な節税対策
どのような環境の先生でも可能な最もポピュラーな節税対策をご紹介します。これら以外にも細かいものはありますが、詳細は専門書を読んでいただくとして、まずこれらを行っているかチェックして下さい。
1.ふるさと納税
ふるさと納税は多くの先生がご存知で、行っている先生も多いと思います。しかし知ってはいるものの、なんとなく面倒という理由で、行っていない先生が同僚にかなりいることに驚いたことがあります。ふるさと納税については、税金の一部の前払いを行うことで、返礼品がもらえるシステムです。2000円が個人からの持ち出しになりますが、返礼品を考えると、十分元がとれます。また税金の前払いなので、節税というと語弊がありますが、返礼品の給付や、ふるさと納税に伴うポイントを考えると節税と言ってよいのではないかと思い、こちらに紹介しています。
ふるさと納税については、全くのノーリスクです。医師は所得が多いので、ふるさと納税の枠も数十万円の枠があるのも普通です。今までふるさと納税を行っていなかった先生には是非まず最初に行っていただきたい節税策です。
具体的な方法としては、ふるさと納税を扱っているサイトから、返礼品を選び、寄付を行います。その後、年末調整や確定申告の際に、寄付した金額を書類を添えて記載するだけです。非常に簡単です。常勤先がある先生は、年末調整の際に、書類を経理課に渡せば処理してもらえます。
ふるさと納税の書類が送られてくるのは少し時間がかかるので、12月ギリギリに行うと、年末調整の処理に間に合わない可能性があります。もちろんご自身で確定申告をすれば問題ありませんが、面倒な先生は早めにふるさと納税の枠を使うことがオススメです。
先生のふるさと納税の枠は、各サイトのシュミレーションで簡単に計算できます。前年度の源泉徴収票を用意して頂き、シュミレーターに入力するだけです。
ふるさと納税の注意点としては、どこに納税したかを忘れないようにしておくことです。エクセルなどの表計算ソフトで管理すると楽です。私もふるさと納税をしたら、その都度表計算ソフトに入力して、その年の管理を行っています。また納税証明の書類も無くさないようにファイルしておきましょう。
ふるさと納税をどこでやるかという問題ですが、最初は100点を求めない方が無難です。ポイントの還元率はキャンペーンで頻繁に変わります。ベストの結果を求めると先生の労力を考えるとコストパフォーマンスが悪くなります。ふるさと納税はどのような形でもやれば得をします。ひとまず目についたところでやってみるのがよいです。ちなみに私の場合は、楽天市場、ヤフーショッピング、さとふる、ふるなび、ふるさとチョイスなど色々なサイトを試しましたが、最近は「ふるなび」を使うことが多いです。使いやすく、扱っている品も豊富で、Amazonのアカウントで支払いもできるのでオススメです。サイトによって扱っている商品が少しずつ異なりますので、先生の好みで大丈夫です。
2.iDeCo
iDeCoも有名なので、入職時に手続きをしている先生も多いかもしれません。しかしこちらもやっていない同僚の医師が結構いましたので、ご紹介します。iDeCoは決められた資金枠で投資信託を買う、投資になります。ややリスクを伴うものですが、適切な投資信託を選べば得をする可能性が高いです。iDeCoで投資した分は、運用益が非課税になり、しかも所得からも控除されます。60歳まで受給できないことや、受け取る時には課税される問題もありますが、退職金の控除を使って受け取ることが出来るなど、結論としては得する可能性が高いと思われます。
iDeCoはどこの銀行で行うかで手数料が変わりますが、こだわりがない場合は住信SBIネット銀行または楽天銀行がオススメです。私の場合は住信SBIネット銀行が使いやすいので使用しています。一般的にメガバンクや大手の方が手数料は高くなりがちなので、上記2つから選ぶのがよいと思います。ネット銀行というと怪しい印象を持たれる先生もいらっしゃるかもしれませんが、他の銀行と同様に安全です。ペイオフも対象です。手数料も最安クラスで、優良の投資信託を扱っています。
iDeCoに限りませんが、メガバンクで投資信託を買う場合は、注意が必要です。間違っても窓口で勧められるものを購入してはダメです。今の時代でも、医師はお金を持っているというイメージを持たれています。カモにされてしまう可能性が高いです。投資を行う場合は、基本的にはネットから行うことが、現代の第一選択です。窓口で買うものは人件費が大幅に上乗せされており、損する可能性が高いです。
iDeCoは購入する投資信託を選ぶ必要があるので、やや面倒ですが、もし迷う場合は、低コストのインデックス・ファンドがよいです。全世界株または米国株がよいと思います。iDeCoの選び方は多くの先人が解説動画を出しているので、You Tubeを参考にしてみると良いです。ちなみに私は記事作成時点で、住信SBIネット銀行から、SBI・全世界株式インデックス・ファンドに投資しています。
避けた方がいい節税策
先生はワンルームマンションにて節税する投資の勧誘を受けたことはないでしょうか?これは結論から言えば損する可能性が高い投資なので、止めたほうがよいです。そもそも人に勧める場合は、自分がまずやると思いますが、不思議と勧めるだけで営業マンは自分ではやりません(笑)。つまり儲からないということでしょう。
やや応用の節税策
所得税、住民税の他に、重くのしかかるのが、社会保険料(健康保険+厚生年金)です。社会保険税と記載されることもあり、事実上税金です。これらの節税は常勤では難しいですが、非常勤の勤務と、マイクロ法人を組み合わせると、大きく節約することが可能です。しかし先生ご自身でプライベートカンパニーを設立したり、診療以外の収入も用意する必要があり、難易度はやや高めです。
既に資産を気付いておられる先生は、資産の一部を法人に移して運用する資産管理会社の形をとることもできます。興味のある先生は「マイクロ法人」でYouTubeを検索していただくと、色々と解説動画が出てきますので、参考にしてください。法人を保つ場合は、税理士さんとの契約が一般的には必要です。税理士費用、法人の維持費用を考えると、社会保険料の節税効果よりも、コストの方が上回ってしまうこともあるので、よくよく検討が必要です。