一旦離れる選択肢もあり

転職活動をしていると、どうしても順調にいかない時期があります。
求人が見つからない、面接で落ちる、見学に行って印象が違った──そんなことが続くと、気持ちが疲れてしまい、「自分は転職に向いていないのではないか」と不安になる先生も少なくありません。

私自身も転職活動をする中で、同じように壁にぶつかり悩んだことがあります。だからこそ思うのは、ときには転職から一旦距離を置くことも立派な選択肢になるということです。

本記事では、転職がうまくいかないときに「一旦離れる」ことで見えてくるものや、そのメリットについて考えてみたいと思います。

気持ちが続かないときは無理しない

転職活動が長引くと、どうしても気持ちが辛くなるものです。中には「もう医者の仕事自体が嫌になってきた」「働きたくない」と感じる先生もいるでしょう。そんなときに無理に続けても、良い結果にはつながりにくいと思います。

もし今の職場を続けられるのであれば、一旦転職のことは忘れて、目の前の仕事に集中するのも一つの方法です。直近で転職しなければならない理由がなければ、無理に動かず時間を置くのも有効です。

思い切って仕事から離れる

今の職場がきつすぎる、あるいはすでに退職している場合は、仕事そのものから一旦離れるのも選択肢です。
体調を崩しそうなときには、診断書を出して傷病手当を受けて休むこともできます。これも立派な労働者の権利ですし、税金を払っているのですから、制度は使えるときに使えば良いのです。

退職後の先生でも、経済的な余裕があれば1〜2か月休んでみる。スポットや非常勤で最低限をつなぎながら、しばらく仕事から距離を置く。それくらいなら、医師であれば十分に可能だと思います。

休んで気づいたこと

私自身も、常勤を退職して空白期間ができたときに休んだ経験があります。辛くて休んだときもあれば、転職活動に専念するために休んだときもありました。良い面も悪い面もありましたが、今振り返ると決して無駄ではなかったと思います。

不思議なもので、あれほど仕事が嫌だったのに、休んでいると逆に働きたくなってくるんですよね。2週間もすると手持ち無沙汰で「やっぱり働こう」と思える。そうなったら、また転職活動を再開すれば良いのです。

体調を崩したときは半年ほど休んだこともあります。ドクターストップがかかったので仕方なかったのですが、今思えば人生の中の貴重な期間でした。医者は学生時代からずっと走り続けてきた人が多いです。だからこそ、「休む」という経験そのものが必要だったのだと思います。

一番避けたいのは心を壊すこと

転職や仕事において、最も避けたいリスクは転職に失敗して履歴書の見栄えが悪くなることではなく、心や体を壊すことだと思います。
キャリアに多少の空白があっても、医師免許と一定の経験があれば再び働くことは可能です。けれども、メンタルを壊して復帰できなくなれば、それこそ取り返しがつきません。

だからこそ、辛いときは休む勇気を持つことが大切です。半年休んでも1年休んでも、医者であれば十分に立て直せます。それよりも倒れるまで無理をしてしまうことの方が、はるかにリスクが高いと思います。

待つのも戦略

転職活動には「時期を待つ」という戦略もあります。これは意外と見落とされがちですが、非常に有効です。
タイミングが合わないときには、どれだけ頑張っても決まらない。逆に少し待つだけで条件の良い求人が出てくることもあります。時間的な余裕がある先生であれば、焦らず待つことも有力な選択肢です。

どうしても生活費の不安があるなら、非常勤やスポットで食いつなげば良い。あるいは思い切って数か月休んで旅行に出るのも良い経験です。これができるのは、やはり医師という資格を持っているからこその強みです。

医師は恵まれている

医師は国家資格を持っているため、休んでも仕事に困らないという強みがあります。3か月休んでも、1年休んでも、再び転職先を見つけることは可能です。
もちろん体を壊して働けなくなれば別ですが、そうでなければ資格の力は非常に大きい。

ただし忘れてはならないのは、医師免許の強さは**「働けることが前提」**だということです。どれだけ立派な資格や肩書があっても、心身を壊して働けなければ意味がありません。

まとめ

  • 転職活動がうまくいかないときは、一旦離れるのも立派な選択肢。
  • 休むことで気持ちがリセットされ、むしろ働きたくなることもある。
  • 一番避けるべきリスクは、履歴書の空白ではなく心身の破綻
  • 時間を待つことも有効な戦略。焦って不本意な転職をするよりは、遠回りのようで近道になる。
  • 医師は資格による強いセーフティネットがある。だからこそ健康第一で。