問診のみの医師はスタッフから軽く扱われる?

医師の仕事の中には、問診のみを担当する勤務という形もあります。主に自由診療、美容系クリニックなどで見られるもので、実際の施術は看護師が行い、医師は問診やトラブル対応を担うスタイルです。

この働き方は、労働負荷が少なく人気が高いお仕事のひとつです。実際には1日数件の問診のみで、ほとんど待機に近い時間の過ごし方になることも多く、個室で待機しているケースが一般的です。

デメリットとしては、拘束時間がやや長めで夜遅くまでになる場合もあること。しかし、通常の勤務医と比べれば業務は軽く、**医師の仕事の中では比較的「負担が少ない部類」**に入るでしょう。

さらに魅力的なのは報酬面です。時給換算すると高額で、1日待機するだけで8〜9万円前後になることもあり、週一日の非常勤の勤務でも、サラリーマンの平均年収に匹敵する収入を得られるケースもあります。そのため、効率的な働き方として選ぶ先生も増えているのです。

しかしこのような優良な仕事でも思わぬ落とし穴があり、それが他の職種とのギャップからくるものです。今回はこちらについて考えていきます。

スタッフから見れば「楽をして高給取り」に映ることも

こうした問診のみの仕事では、当然ながら他の職種とも顔を合わせます。しかし現場を見れば、事務スタッフはカウンセリングを行い、看護師は実際の施術を担当しており、皆それぞれに忙しく働いています。

一方で医師は、1日の実務が実質30分程度というケースもあり、ほとんど座っているだけに近い働き方になることもあります。にもかかわらず給与は高く、しかも空き時間には自由に過ごせる。

こうした状況は、周囲から見れば「自分たちより働いていないのに待遇は良い」と感じられやすく、面白くない・不公平だと思われてしまうこともあるでしょう。実際、そうした不満が腹立たしさにつながる場面もあるのではないでしょうか。

「不公平だ」と感じられてしまう現実

職種や役割が違うとはいえ、やはりスタッフからすると「面白くない」と思われることはあるでしょう。もし自分が相手の立場であれば、明らかに自分より働いていないのに、高い給与をもらっているとしたら、やはり腹立たしさを覚えるのは自然なことです。

もちろん、医師になるためには受験勉強や医学部の学費など大きなコストをかけてきた背景があり、全く同じ待遇にすべきではないのかもしれません。ですが、目の前の現場だけを切り取れば、労働負荷と待遇の差があまりに大きいと見えるのも事実です。

さらにそこで、医師の態度が悪ければ、不満は一気に増幅されます。実際、「態度が良くない医師」への反感は非常に強いものになりやすく、「腹が立つ」と感じられるのは無理のないことかもしれません。

時に冷たい態度をとられることも

実際の現場では、スタッフから冷たい態度を取られることもあります。明らかに「良い感情を持っていないな」と伝わってくる接し方をされることも、実際のところあります。

ただ、これはある意味仕方のないことだとも思います。スタッフ側の気持ちも理解できる部分がありますし、不公平感からくる態度であれば納得できる面もあるからです。

そのため私は、そうした場面でも フラットに接することを意識しています。無理に取り繕うのではなく、「そういうこともある」と受け止め、必要以上に気にしない。これが一番自然な向き合い方なのではないかと考えています。

スタッフからの態度がきつい時の対策

フラットに接する

対策としては、やはり フラットに接することが一番だと思います。

確かに医師側が得をしている部分があるのは事実で、スタッフから見れば不公平に映るのも理解できます。そこはこういう仕事にも、「メリットもあればデメリットもある」と割り切って受け止めるのが現実的でしょう。

重要なのは、決して強硬な態度をとらないことです。感情的になれば状況はさらに悪化し、かえって自分も働きにくくなってしまいます。だからこそ、常にフラットに、丁寧に接することを意識するのが一番です。

例えば、挨拶をしても返ってこないこともあるかもしれません。悲しい話ですが、実際にあります。しかしそれも「仕方ない」と割り切って気にしすぎない。そういう姿勢が、結果的に関係を悪化させず、自分にとっても働きやすさにつながるのではないでしょうか。

すごい先生は「親切心で殺す」

これは他所からの引用ですが、**「すごい人は親切心で人を殺す」**という言葉があります。
つまり、どんな態度を取られても、あくまで 気持ちよく、丁寧に返す。その姿勢が結局は相手との関係を和らげることにつながる、という考え方です。

実際、相手によって態度が変わることはよくあります。こちらが柔らかく接すれば、相手も少しずつ態度を変えてくれるケースも多いものです。だからこそ、「冷たくされたから自分も冷たく返す」ではなく、一貫してフラットかつ親切に接することが、最終的には一番賢いやり方なのだと思います。

医師側にも一定の問題があることも

確かに、最初から冷たい態度を取るわけではなかったスタッフもいるはずです。
しかし一部の医師の中には、対応に問題のある人がいるのも事実で、美容、問診系の現場ではそうしたケースが一部見られることも事実です。

スタッフ側が過去にそうした医師と接した経験があれば、どうしても医師全体に対して偏ったイメージや先入観を持ってしまうことがあります。そうなると、こちらがどれだけ丁寧に接しても態度を変えてもらえないこともあるでしょう。

つまり、必ずしも先生への評価ではなく、医師全体への印象が影響している場合もあります。この場合は先生個人に問題があるわけではないですが、そういう意味では、「医師側にも一定の問題があった」という視点も持っておく必要があるのかもしれません。

しかし次第に評価が変わっていく

しかし不思議なことに、こちらがフラットに接していると、次第に相手の態度も変わってくることが多いものです。もちろん全員がそうなるわけではありませんが、気持ちよく対応してくれるスタッフは確実に増えていきます。

結局のところ、こちらが嫌な態度を取ったり、攻撃的な姿勢を見せたりしなければ、相手もフラットに返してくれるケースが多いのです。そうした関係の変化はありがたいことであり、働きやすさにもつながっていきます。

面倒事を引き受けると、信頼につながる

また面倒なことや対応の難しいお客様をこちらが引き受けると、それだけでスタッフからの信頼が高まることがあります。

例えば、事務スタッフに強く当たっていたお客さんでも、医師が出ていけば意外と普通に話してくれるケースがあります。そうした場面で問題を収められれば、周囲からは「助かった」と思われ、評価も自然と上がっていきます。

つまり、ちょっとした負担を引き受けることが信頼につながり、スタッフの態度も変わってくるのです。結果的に、自分自身も働きやすい環境を得られることになるのだと思います。

徐々に味方が増える

美容系の現場は、医師も看護師も事務スタッフも入れ替わりが激しい世界です。せっかく良い関係を築けたと思っても、人が入れ替わればまた新しい対応が必要になることも珍しくありません。

ただ、それでも丁寧な対応を積み重ねていけば信頼は残るものです。以前からいるスタッフはそれを見ていて、次第にこちらにフラットに接してくれるようになります。

最初は医師に対して偏見を持っていた人であっても、誠実な対応を続けていれば態度が変わることもあります。人の入れ替わりによって一時的にリセットされる部分はあるものの、信頼を積み重ね続けることこそが大事だと思います。

まとめ:労働負荷は少ない仕事だからこその人間関係の難しさ

総じて言えるのは、問診のみの仕事は業務自体は軽く魅力的だが、人間関係で嫌な思いをすることがあるという点です。もちろん、強いストレスを感じる場面はそう多くはありません。ただし、ときには腹が立つことや不快に思う出来事があるのも事実です。

これはどんな職場でも起こり得ることですが、特にこちらが「負担の少ない業務をしている」という自覚があるからこそ、余計に気になる部分もあるのだと思います。

結局のところ、どんな現場でも丁寧な対応を積み重ねていけば相手の態度は変わっていくことが多いと思います。もちろん、すべてがうまくいくわけではありませんし、ときには嫌な思いをすることもあります

それでも、こちらが少し工夫して接するだけで、不快な経験は大幅に減らせます。周囲も見ている人は見ていて、きちんと評価してくれることも少なくありません。特にたまに会う経営幹部に人は、やっぱり見ていないようで、しっかり見ていると感じます。

そして何より、信頼を一つひとつ積み上げていくことは最終的に先生ご自身のためになるのだと思います。たとえその職場を離れることになっても、丁寧な対応を続けてきたことは次の現場でも必ずプラスに働きます。誰かのためというよりも、先生ご自身がより良く働いていくために、信頼を積み重ねる姿勢が大切だと感じています。