医療脱毛クリニックへの転職

医療脱毛クリニックの医師の仕事|一日の流れ・忙しさ・給与・職場の人間関係

※この記事は、2023年に別のサイト「医療脱毛クリニックバイト.com」で書いた記事を、このサイトに移してまとめ直したものです。その後、2025年には大手の医療脱毛クリニックが相次いで経営破綻するなど、業界の状況は変わっています(参考記事:医療脱毛クリニック経営破綻の衝撃)。

私は、保険診療の仕事をしながら、医療脱毛クリニックで非常勤の医師として働いています。この記事では、医療脱毛クリニックで医師が実際にどんな仕事をしているのか、一日の流れ、忙しさ、給与、職場の人間関係まで、働いてみて分かったことをまとめます。これから医療脱毛クリニックで働いてみようか迷っている先生の参考になれば幸いです。

医師の仕事は、カウンセリングと皮膚トラブルの対応

医療脱毛クリニックでの医師の仕事は、大きく分けて2つしかありません。初診のお客様のカウンセリングと、再診のお客様のカルテ記載や皮膚トラブルへの対応です。

初診のカウンセリングは1件10分ほどで、一日に1〜2件、多い日でも4〜5件です。平日は初診がない日も珍しくありません。再診のお客様は、特に問題がなければカルテに名前を入力するだけで、一人30秒もかかりません。皮膚トラブルの対応は、5回勤務して1回あるかないかくらいです(参考記事:医療脱毛クリニックの皮膚トラブルと医師の対応)。

その結果、業務として手を動かしているのは、一日働いても平均30分ほどです。それより少ない日もあります。医療脱毛クリニックの最大の特徴は、空き時間が圧倒的に多いことです。

一日の流れ

私が勤務しているクリニックでの、ある一日の例です。

  • 11:00 出勤。初診のお客様のカルテを確認します。
  • 14:00 休憩。1時間、外で休憩をとれます。ここで遅めの昼食を摂ります。
  • 15:00 クリニックに戻り、勤務再開。
  • 21:00 退勤。ほぼ定時で帰れます。私は5分以上の残業をした経験がありません。

出勤は10時から12時始業のところが多いです。10分前には着くように心がけましょう。あまり早く行っても、スタッフさんが掃除などの準備をしているので、早すぎないように注意します。慣れない場所のクリニックなら、早めに着いて近くのカフェで待っているのがよいかもしれません。

遅刻は厳禁です。医療脱毛は医療行為にあたるため、医師が在院し、医師の指示の下で施術を行う建前になっています。先生がいらっしゃらないと、施術を始められません。遅刻は、今後の採用にもかなりマイナスになります。

着いたら、用意されている白衣やスクラブに着替え、パソコンにログインしてお客様を迎える準備をします。初めての勤務では、スタッフさんから電子カルテの簡単なレクチャーがあります。カウンセリングのマニュアルは動画にまとめられていることもあるので、目を通しておきましょう。

勤務終了は現場にもよりますが、20時から21時です。

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初診のカウンセリング

カウンセリングは、同意書をお客様と一緒に読み合わせていく作業です。初めてだと緊張するかもしれませんが、難しいことはまったくありません。一字一句読む必要はありませんが、副作用や禁忌など大事なところは、ゆっくり、丁寧に説明します。

大事なのは、副作用や合併症を、正確に、かつ必要以上に不安をあおらない言葉で伝えることです。起こりうることは隠さずにお伝えしたうえで、どのくらいの頻度で起こるのか、起きたときにクリニックでどう対応するのかを、あわせてお話しします。そのほうがお客様も納得して判断できますし、結果として信頼にもつながります。実際の施術では、機械の出力設定を間違えるなどしなければ、深刻な副作用が出ることはまずありません。医療脱毛は、美容外科の手術などに比べれば、リスクの低い美容医療です。

来院される方は、患者さんではなく「お客様」です。そこが保険診療との最大の違いです。先生より若いお客様のほうが多いかもしれませんが、敬語を使い、物腰やわらかく、丁寧に対応していただければと思います。

自分で受けた経験が、説明に生きる

私は医療脱毛クリニックで働く前に、全身の医療脱毛を受けたことがあります。お客様がいちばん心配されているのは、効果と痛みです。実際に受けたことがあると、痛みの強さや効果の出方を、実体験を交えて説明できます。ヒゲの脱毛を追加しようか迷っているお客様に、マスクを外してお見せしたところ、その場で追加を決められたこともありました。

私が受けた当時は蓄熱式の脱毛はまだなく、冷却装置も今ほど発達していなかったので、痛みはかなり強かったです。しかも麻酔なしでした。今は機器が改良されて痛みが減っていること、麻酔の選択肢も増えていることも、あわせて説明しています。

未経験の先生も、面接で脱毛経験を聞かれることはまずないので、心配はいりません。またクリニックによっては福利厚生で、職員が5割引〜8割引で施術を受けられます。非常勤でも使えることが多いので、働き始めてから受けてみるのもおすすめです。抜け毛の掃除が減るなど、生活も快適になります。

空き時間の過ごし方

カウンセリングや診察以外の時間は、基本的に自由に過ごせます。パソコンで仕事をしたり、本を読んだり、映画を見たり、デスクでできることなら自由です。水分補給やトイレも基本的に自由で、においの強いものでなければ、お菓子などを食べても問題ないところが多いです。私が勤務しているクリニックは診察室が完全に個室なので、ほかの職員に気を遣わずに過ごせます。

パソコンで作業をするなら、通信環境も大事です。多くのクリニックでは、医師用に Wi-Fi を使わせてくれます。求人の段階で「勤務中は自由にパソコンをお使いいただけます」と書いてある親切なクリニックもあります。ただ、スポットの医師にはセキュリティ上の理由でパスワードを教えないクリニックもありました。スマートフォンのテザリングやモバイルルーターを用意しておくと安心です。

休憩は1時間、外出してとれます。医療脱毛クリニックは繁華街にあることが多いので、食事は楽しみの一つです。難点は、休憩が15時など中途半端な時間になりやすく、ランチが終わっているお店が多いことですが……。

忙しさ:曜日、季節、分院による違い

土曜日・日曜日・祝日は、平日に比べて初診、再診ともに多めです。それでも、初診のカウンセリングが数件増える程度で、空き時間のほうが圧倒的に多いことに変わりはありません。平日の曜日による違いは、ほとんど感じませんでした。給与は、私が経験したクリニックではどこも曜日による違いはありませんでした。年中無休のところが多いので、土日祝という考え方が薄いのかもしれません。

曜日よりはっきりしているのは、季節による繁忙期です。一般的には夏前に需要が高まると言われますが、私の体感では、新学期前の春休み頃から初診の相談が増え始めます。多い日は一日に5〜6件のカウンセリングをしたこともあり、さすがに少し疲れました。

大手クリニックで働く場合、どの分院を選ぶか迷うこともあると思います。新宿、渋谷、上野など人の多い駅の分院はお客様が多めですが、増えるのは主に再診で、業務の負担はそれほど変わりません。負担を減らすために遠くの分院を選ぶより、通勤の便で選ぶほうがよいと思います。

シフトと休み

医療脱毛クリニックは定休日がないところが多く、平日の非常勤でも祝日は基本的に勤務があります。ただ、シフトは事前に申請できるので、休みたい日を前もって伝えれば、基本的に認められます。私の勤務先では2か月ほど前に勤務希望の確認があり、学会や旅行の日は休みにしてもらっています。祝日はスポットの医師も集まりやすいので、気兼ねなく休めます。

逆に「この日に入りたい」という希望を出すこともでき、空いていれば仕事をもらえます。私の勤務先は分院が多いので、勤務先を選ばなければ、追加の勤務も結構もらえます。急な欠員で、いつもの分院ではなく隣の駅の分院に入ってほしいと頼まれ、特別手当をいただいたこともありました。分院の多い大手ならではです。非常勤を探すときは、ある程度分院を展開しているクリニックを選ぶのも一つのポイントです。

給与と、ほかのアルバイトとの比較

給与の相場は、地域差はありますが日給7〜10万円ほどです。いちばん多いのは、実働8時間、休憩1時間で日給8万円、時給にして1万円というクリニックで、これが一つの基準になっています。

医師のアルバイトとしては、正直、もっと時給の高い職場はいくらでもあります。保険診療の外来アルバイトは半日で4万円ほど、時給にして12,000円前後でしょう。ただ、内科外来なら半日で20〜25人、1時間に6〜8人のペースで診ていく必要があり、休めるのはトイレと水分補給くらいです。医療脱毛クリニックは少し時給が下がる代わりに、忙しさは比べものになりません。

「ゆったり勤務」と呼ばれるほかのアルバイトとも比べてみます。

忙しさ給与勤務時間割の良さ
寝当直日によって忙しい一晩4万円ほど(時給2,000円台)15時間前後✕
健診職場による半日4〜5万円(時給12,000円前後)半日が多い○
医療脱毛クリニックいちばん暇日給8万円ほど(時給1万円前後)ほぼ一日○

寝当直は、拘束が長いわりに給与が低く、一人当直のプレッシャーで深く眠れない先生も多いと思います。健診は時給はよいものの、一日勤務の募集が少なめです。医療脱毛クリニックは、半日勤務がほぼなく、夜まで一日拘束されるのが難点ですが、空き時間に自分のことができるぶん、総合的には最も割の良いアルバイトだと思います。

なお、2023年の時点でも、この流れがいつまで続くかは分からないと感じていました。都会では医療脱毛クリニックが乱立して価格競争が激しくなり、医師の人件費も削られる方向にありました。2014年頃には、男性向けの医療脱毛クリニックは数えるほどしかなかったことを考えると、大きな変化です。

スタッフとの関係

勤務中はほとんど個室で一人なので、スタッフの方と関わる時間はわずかです。それでも、気をつけておきたいことがあります。

先生の時給はおよそ1万円、一日で8〜9万円です。少しの時間カルテを書いたりお客様と話したりして、ほかの時間は座って好きなことをしていてもです。一方、ほかのスタッフは一日働いて1.5〜2万円ほどでしょうか。立っている時間のほうが長く、一日中お客様に脱毛の機械を当て、医師より早く出勤して準備をし、医師が帰ったあとも掃除をしています。同じ職場でここまで待遇が違えば、医師に複雑な気持ちを持つ人がいても、自然なことだと思います。どうか、スタッフさんには優しく接してあげてください。多少おかしな質問をされても、同じことを何度か聞かれても、決して怒らないようにしましょう。

良い関係を築くコツは単純で、挨拶をすること、きちんとした身なりで出勤することです。挨拶をしただけで驚かれたこともありました。私はいつもスーツで出勤していますが、スポットで行ったクリニックで、お客様と間違えられたこともあります。それだけラフな格好の医師が多いのでしょう。この2つに気をつけるだけで、ほかの医師と差がつきます。

私自身も、勤め始めの頃は、なんとなく居心地の悪さを感じた時期がありました。楽な仕事の割に高い給料をもらっているという負い目が、自分にもあったのかもしれません。ほかの医師が残していった仕事を頼まれたときもすぐに引き受け、休憩中でも声をかけてもらって構わないと伝えるようにしました。数か月たつと居心地の悪さはなくなり、今はスムーズにやりとりできています。

職場の雰囲気は、経営陣の姿勢にも左右されます。医師や看護師、カウンセラーを大切にしない職場は、基本的に危険です。特に医師を「お金ばかりかかる存在」のように扱い始めたら赤信号です。ほかの面でもモラルが崩れている可能性が高く、転職を考え始めたほうがよいでしょう。

判断に迷ったら、マニュアルに沿う

医療脱毛クリニックは、スポットや非常勤の医師が多く、日によって別の医師が対応するのが普通です。そのため、よくある事例はマニュアルにまとめられています。先生が独自の判断をすると、別の日の医師が困ってしまいます。迷ったときはマニュアルを拠り所にしましょう。それが先生自身を守ることにもなります。

マニュアルでも判断がつかないケースは、本部に相談できます。法人の幹部や管理医師が判断してくれますし、相談して不利益を受けることはありません。本部への連絡はスタッフさんがやってくれます。

まとめ

  • 医師の仕事は、初診のカウンセリングと再診の対応だけで、実働は一日30分ほどです。
  • 給与は日給8万円、時給1万円ほどが基準です。拘束時間は長めですが、空き時間に自分のことができます。
  • 土日祝や春先はお客様が増えますが、それでも空き時間のほうが圧倒的に多いです。
  • スタッフさんとの関係は、挨拶と身なりで大きく変わります。

まずは一度、スポットで働いてみるのがおすすめです(参考記事:スポットバイトのススメ)。どんな先生が向いているかは、こちらにまとめています(参考記事:医療脱毛クリニックで働けるのはどんな先生か)。

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この記事を書いた人:管理人 転職経験のある現役医師。複数の医師求人会社と面談し、いくつもの医療機関の採用面接を受けて転職しました。自分が転職するときに知りたかった情報を、失敗談も含めて書いています。 プロフィールを見る →