転職の知識

土日祝日の回診はどうあるべきか|主治医制と医師の休日について考える

今回は、病棟を担当する常勤医師にとって、少し難しい問題について考えてみたいと思います。それは、土曜日、日曜日、祝日の回診をどうするのかという問題です。休日であっても必ず病院に来て、自分の担当患者を回診する先生もいれば、休日の診療は当直医や日直医に任せ、基本的には病院に来ない先生もいます。また、グループ内で休日の担当を決め、交代で回診する医療機関もあります。これは病院の診療体制によって大きく異なる問題ですが、医師自身の働き方やワークライフバランスにも直結します。今回は、こうした休日回診のあり方について、私自身の経験も交えながら考えてみたいと思います。

休日回診には大きく分けて3つの形がある

まず、月曜日から金曜日まで週5日勤務し、土日祝日は休みという、比較的一般的な勤務形態を想定してみます。この場合、休日の病棟管理には、大きく分けて3つのパターンがあると思います。もちろん、診療科や病院の規模によってさまざまな運用があり、必ずしもこの3つに分類できるわけではありませんが、休日の働き方を考えるうえでは、ある程度整理できるのではないでしょうか。

1つ目は、土日祝日は基本的に完全な休日となり、自分が日直や当直の担当でない限り、病院に出勤する必要がないという形です。担当患者に何かあった場合も、基本的には日直医や当直医が対応します。もちろん、主治医にしかわからない事情があれば電話で相談を受けたり、必要な指示を伝えて当直医にオーダーを出してもらったりすることはありますが、原則として休日に回診する必要はありません。このような勤務体制であれば、比較的休みを確保しやすく、休日の予定も立てやすいと思います。

2つ目は、完全な主治医制で、土日祝日であっても自分の担当患者については基本的に自分が責任を持つという形です。患者の病状に変化があれば主治医に連絡が入り、必要に応じて病院へ出向きます。ある程度自分の裁量で回診の必要性を判断できる場合もありますが、土曜日や日曜日も毎週午前中だけ病院に来て、担当患者を一通り診察する先生もいます。このような働き方では、休日であっても仕事から完全に離れることが難しく、特に重症患者を担当している場合には、休みがほとんどなくなってしまうこともあります。

3つ目は、いわゆるグループ制です。例えば3〜4人の医師で数十人の入院患者を担当し、そのグループ内で休日の当番を決めておきます。今週の土曜日はA先生、日曜日はB先生というように役割を分担し、当番の先生がグループ全体の患者を回診して、必要な対応を行います。もちろん、それぞれの患者には主治医が決まっていることも多いと思いますが、休日の診療については当番医が責任を持つという仕組みです。これであれば、担当の日にはしっかり働く一方、担当でない日は完全に休みを確保することができます。

実際には、これらを組み合わせた形や、患者の病状によって対応を変える医療機関もあると思います。また、当直医や日直医がどこまで病棟の診療を担当してくれるのかによっても、主治医の負担は大きく異なります。同じ主治医制であっても、休日にはほとんど連絡が来ない病院もあれば、何かあるたびに主治医へ連絡が入る病院もあるでしょう。こうした違いは、実際にその医療機関で働いてみなければ、なかなかわからない部分でもあります。

休日の回診は労働として扱われているのか

ここで、いったん医師という職業の特殊性を脇に置いて、一般的な労働という観点から考えてみたいと思います。例えば、土日祝日が休日という契約で働いている会社員が、休日に会社へ来て仕事をしているとします。それが本人の純粋な自由意思によるもので、業務上必要な仕事ではないということであれば、必ずしも労働時間になるとは限りません。しかし、本当は休みたいと思っていても、業務上の必要性から出勤せざるを得ない場合はどうでしょうか。これは単に休日に会社へ来て、自分の好きな勉強をしているという話とは違います。

医師の休日回診にも、同じような問題があります。もちろん、自分の患者が気になるので、休日でも自主的に病院へ行きたいという先生はいると思います。自分の判断で回診し、患者の状態を確認したいという気持ちも理解できますし、医師としての責任感から、そのように行動することもあるでしょう。一方で、本当は休日に予定があり、できれば休みたいと思っているにもかかわらず、患者の病状や病院の診療体制の問題から、出勤せざるを得ない先生もいます。このような場合、実質的には業務として診療を行っているにもかかわらず、休日の労働時間として記録されず、賃金も支払われていないとすれば、それは問題ではないでしょうか。

もちろん、実際に労働時間に該当するかどうかは、業務の必要性や病院側の指示、勤務実態などによって判断されます。ただ、少なくとも業務上必要な診療を行っているのであれば、単に本人が自主的に病院へ来ているという説明だけで片づけるべきではないと思います。休日に病院へ来て診療を行っているにもかかわらず、それが勤務として扱われず、何の手当も支払われないという状況は、一般的な労働者の感覚からすれば違和感があるでしょう。こうした働き方が、長い間当たり前のように続いてきたことも、日本の医療現場が抱える問題の一つではないでしょうか。何十年も前に比べれば改善しているとは思いますが、十分に改善されたとは言い難い部分が残っていると感じます。海外の医療関係者から見れば、驚かれるような働き方もあるのではないかと思います。

休日にも病院へ来ることが事実上の義務になっている

さらに問題だと思うのは、休日の回診が事実上の義務になっている医療機関があることです。例えば、土曜日も日曜日も必ず1日1回は主治医が回診することが、長年の慣習として定着している病院があります。患者の状態が安定しており、当直医や日直医でも十分に対応できるような場合であっても、とりあえず主治医は一度病院へ来るべきだという雰囲気になっているわけです。病棟の看護師も、主治医が毎日回診することを当然と考えており、休日に来ない先生がいると、仕事に対する意欲が低いとか、患者をきちんと診ていないとか、そのように受け取られてしまうこともあります。

実際には、休日の診療を適切に引き継ぎ、当直医や日直医が対応できる体制になっていれば、必ずしも主治医本人が毎日回診しなければならないとは限りません。それにもかかわらず、休日に病院へ来ないこと自体が問題視されるのであれば、少しおかしな話ではないでしょうか。本来は休日であるにもかかわらず、出勤しないと周囲からやる気がないと思われるため、仕方なく病院へ来ている先生もいると思います。そして、病院側もそうした状況を特に問題視せず、休日に医師が病院へ来て診療することを当然のものとして受け入れてしまっている場合があります。結果として、実質的には休日の診療体制の一部を無償の労働によって維持しているような状況になってしまうわけです。

特に若手の先生にとっては、こうした慣習に逆らうことは簡単ではありません。上級医から休日にも来るように言われれば、断ることは難しいでしょう。明確な指示がなかったとしても、周囲の先生が全員来ている状況で、自分だけ休むという選択をするのは非常に難しいと思います。本来、休日に病院へ来るかどうかを自由に決められるのであれば問題はありません。しかし、来なければ評価が下がったり、やる気がないと思われたりするのであれば、それは本当の意味で自由意思による出勤といえるのでしょうか。特に立場の弱い若手医師に対して、こうした形で休日の出勤を事実上強制することは、労働者としての権利という観点からも問題があると思います。

医師としての修業期間だから、若いうちは休日も病院に来て勉強するべきだという考え方もあると思います。実際、自分から積極的に症例を経験し、診療技術を身につけたいという先生もいるでしょう。本人が純粋に勉強のために病院へ来ており、それが業務上の指示によるものではないのであれば、自発的な研鑽として考えられる場合もあります。ただ、それと実際の診療業務を無償で担わせることは別の問題です。本人が勉強のために自主的に来ているという建前になっていても、実際には来なければならない空気があり、来れば通常の診療業務を任されるのであれば、労働として適切に扱う必要があるのではないでしょうか。本人の意思による研鑽と、事実上の義務として行われている診療業務を、都合よく一緒にしてしまうことには疑問を感じます。

金曜日の緊急入院が敬遠される理由

こうした休日回診の問題を考えるうえで、もう一つ触れておきたいのが、金曜日の緊急入院です。病棟勤務を経験した先生であれば、金曜日の緊急入院や金曜日午後の時間外当番が敬遠されるという話に、心当たりがあるのではないでしょうか。例えば、それまで担当患者の状態が落ち着いており、週末には家族との予定や個人的な用事を入れていたとします。ところが金曜日になって比較的重症の患者が緊急入院してきた場合、状況は大きく変わります。金曜日に入院させて月曜日まで一度も様子を見ないというわけにはいかない症例もあり、土曜日や日曜日にも病院へ出向いて、回診や検査結果の確認、治療方針の調整などを行わなければなりません。結果として、もともと予定していた週末の用事はキャンセルになり、十分な休日も取れないまま翌週の勤務が始まってしまいます。

もちろん、患者に必要な診療を行うことは大前提です。しかし、その負担を誰が引き受けるのかという問題は、別に考えなければならないと思います。こうした事情があるため、金曜日の緊急入院をできれば担当したくないと考える先生も出てきます。金曜日午後の時間外当番を誰も引き受けたがらず、結果として若手の先生や、あまり強く断れない先生に負担が集中してしまうこともあります。患者の受け持ちを押し付け合うような状況が生まれてしまうのも、ある意味では仕方のないことなのかもしれませんが、やはり健全な診療体制とはいえないでしょう。これは個々の先生の責任感の問題というよりも、病院の診療体制や業務分担の問題ではないでしょうか。

私自身も金曜日午後の時間外当番を長く担当していた

ちなみに、これは私自身も経験したことがあります。私が以前勤務していた医療機関では、金曜日午後の時間外当番を、何年もの間ほぼ一人で担当していました。そして、その時間帯に緊急入院となった患者については、ほとんどすべて私が主治医として受け持つことになっていました。それが一時的なものであればまだよいのですが、何年も同じような役割分担が続いていました。なかなか改善されることもなく、正直なところ、少し不公平ではないかと感じていました。

正直なところ特に腹立たしかったのは、金曜日の午後には比較的手が空いている医師も多く、医局で新聞を読んだり、ゆったりと過ごしたりしている先生がいる一方で、私だけが次々とやってくる患者の対応に追われ、非常に忙しく働いていたことです。しかも、経験年数が長いというだけで、そうした先生方の方が給与も高いという状況でした。仕事の負担がこれほど違うにもかかわらず、待遇にはまったく反映されていないという現実に、私自身も強い不公平感を覚えたことを記憶しています(参考記事:仕事の難易度と給与は必ずしも相関しない)。

こうした状況が続けば、負担を引き受けていた医師ほど疲弊してしまいます。そして、ある時点で限界を感じ、その職場を離れるという選択につながることもあるのではないでしょうか。病院としては、誰かが担当しなければならない仕事なのかもしれません。しかし、それを特定の医師の責任感や我慢によって成り立たせることには、やはり無理があると思います。医師が退職してしまえば、結果として病院側も新たな人員を確保しなければならず、残された医師の負担がさらに増える可能性もあります。負担の偏りを放置することは、長い目で見れば病院にとっても決してよいことではないでしょう。

土曜日の回診が当たり前になっている外科医の話

私の知り合いにも、似たような働き方をしている先生がいます。その先生は外科医で、基本的には月曜日から金曜日までが勤務日となっており、土日祝日は休日という契約です。しかし、実際には毎週土曜日の午前中に病院へ行き、自分の担当患者を回診しています。土曜日の出勤は本来の勤務日には含まれていませんが、事実上、病院へ行かざるを得ない状況が常態化しているそうです。本人としても、できれば休日は休みたいと思っているものの、診療科の慣習や担当患者への責任を考えると、なかなか休むという選択ができないようです。

しかも、病院へ行けば自分の担当患者を回診して終わりというわけではありません。他の先生が病院に来ていなければ、その先生の担当患者についても、処方や検査のオーダーなど、細かい仕事を頼まれることがあります。場合によっては、状態のよくない患者について相談され、そのまま診療を依頼されることもあります。そうなると、なかなか断ることもできず、結局は予定していた以上に長い時間を病院で過ごすことになります。自分の患者を少し見に来るだけのつもりだったとしても、実際に病院へ来てしまえば、さまざまな仕事を頼まれることは珍しくありません。特に外科系の診療科では、術後患者の管理などもあり、こうした負担が大きくなることもあるでしょう。

さらに、その先生は大学院にも所属しており、土曜日の午後には研究を進めなければならないそうです。つまり、午前中は病院で診療を行い、午後は大学院の研究に時間を使うという生活になります。加えて、日曜日についても交代で救急外来やオンコールの担当が回ってきます。そのため、週によっては土曜日も日曜日も仕事から離れることができず、事実上、ほとんど休みのない状態で働き続けることになるそうです。診療だけでなく研究も進めなければならない立場であれば、なおさら自由に使える時間は限られてしまいます。

その先生自身も、このような働き方は長く続けられないと話していました。私は、それは当然のことだと思います。いくら医師として責任感があり、仕事にやりがいを感じていたとしても、休みが十分に確保できない状態が長期間続けば、心身ともに疲弊してしまいます。特に、こうした勤務が一時的な繁忙期ではなく、毎週のように繰り返されるのであれば、将来にわたって同じ働き方を続けることは難しくなるでしょう。実際、こうした労働環境が原因で、勤務先を変えたいと考える先生も少なくないのではないかと思います。

休日の診療体制は転職先を選ぶうえでも重要になる

もちろん、入院患者の診療は土曜日や日曜日だからといって止めるわけにはいきません。重症患者や病状が不安定な患者であれば、休日であっても適切な回診や診療が必要になります。ただ、そのことと、主治医が毎週土曜日や日曜日にも病院へ来なければならないということは、同じではないと思います。日直医や当直医に適切に引き継いで対応してもらう方法もあれば、グループ制を採用して休日の担当を分担する方法もあります。どうしても主治医による診療が必要な場合には、その勤務をきちんと労働として扱い、別の日に休みを確保するなどの対応も考えられます。重要なのは、患者に必要な診療を提供することと、医師自身が適切に休息できることを両立できる仕組みにすることではないでしょうか。

転職を考えている先生にとっても、これは決して小さな問題ではありません。求人票に「土日祝日休み」と書かれていても、実際には毎週土曜日に回診することが当然になっている医療機関もあるかもしれません。また、主治医への休日の連絡がどの程度あるのか、金曜日に緊急入院した患者を週末に誰が担当するのかによっても、実際の働き方は大きく変わります。同じ週5日勤務、土日祝日休みという条件であっても、休日の病棟管理がどのように行われているかによって、生活の質は相当違ってくるはずです。特に、休日回診が勤務として扱われるのか、代休や手当があるのか、当直医や日直医がどこまで対応してくれるのかという点については、入職前に確認しておく価値があると思います(参考記事:入職前に実際に現場の医師に話をきく、入院患者さんを受け持つ場合でもオンコール免除の求人はあるのか?)。

また、休日回診の問題は、単に勤務条件だけでなく、職場の人間関係や文化とも密接に関係しています。制度上は休日であっても、上級医が毎週病院へ来ているため、若手の先生も休みにくいという職場はあるでしょう。一方で、休日の診療を適切に引き継ぐことが当然になっており、当番でない先生はしっかり休むという文化が定着している医療機関もあります。こうした違いは求人票だけでは把握しにくく、実際に働いている先生から話を聞かなければわからないことも多いと思います。転職によって勤務条件を改善したいと考えている先生にとっては、給与や当直回数だけでなく、このような職場の実態を知ることも大切です。

私自身の経験からも、病院の勤務条件は、給与や勤務日数だけで判断できるものではないと感じています。特に休日の診療体制や、負担が特定の医師に集中していないかという点は、長く働ける職場かどうかを考えるうえで重要です。医師が自分の担当患者に責任を持つことは大切ですし、休日であっても必要な診療を行う姿勢そのものを否定するつもりはありません。しかし、その責任感に頼ることで、休日を十分に取れない働き方が当たり前になってしまうのであれば、一度見直す必要があるのではないでしょうか。患者のために必要な診療を続けながら、医師自身も安心して休日を過ごせることは、本来、決して贅沢な要求ではないと思います。

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この記事を書いた人:管理人 転職経験のある現役医師。複数の医師求人会社と面談し、いくつもの医療機関の採用面接を受けて転職しました。自分が転職するときに知りたかった情報を、失敗談も含めて書いています。 プロフィールを見る →